猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

ホーリー・モーターズ

2013-04-27 02:24:26 | 日記
フランス映画「ホーリー・モーターズ」を見にいった。レオス・カラックスの13年ぶりの
長編映画だ。
ホテルの一室でレオス・カラックスが目覚める。変な壁に、隠し扉を見つける。扉を
開けると、顔のない観客でいっぱいの映画館につながる。
朝、富豪の男オスカー(ドニ・ラヴァン)はパリッとスーツを着こなし、迎えにきた白い
リムジンに乗り込む。リムジンはセリーヌという中年女性が運転している。
オスカーは「今日のアポは?」と尋ね、セリーヌは「そこにファイルがあります」と答える。
座席にファイルを見つけたオスカーは、それを見る。携帯電話で何者かと話し終えると、
車の中にあるロングのかつらを梳かし始める。
リムジンを降りたオスカーは、腰の曲がった老婆に変身し、道で物乞いを始める。
やがて車に戻り、全身タイツの男になり、どこかへ出かけていく。同じように全身タイツの
女性と踊り始める。
オスカーは変身しては車に戻り、セリーヌに「次のアポは?」と尋ね、電話で確認する。
オスカーは様々な人に変身する。車の中は化粧道具や衣装でいっぱいで、役者の楽屋の
ようだ。
不気味な男にも変身する。モデルの撮影が行われている所へ行き、その狂気に満ちた姿に
人々は驚く。そしてカメラマンの助手の指を食いちぎり、モデルを連れ去る。
車の中にオスカーのボスらしき男が待っており、「最近の君の仕事ぶりが疲労していると
噂されているよ」と注意をする。
思春期の少女の父親になり、友達の家に迎えにいく。
瀕死の老人になり、財産を譲った姪とベッドの上で語り合い、息を引き取る。
長い1日が終わり、セリーヌに「今日の分」と給料をもらい、家に送ってもらう。
そこでは小さな家でチンパンジーと暮らす男である。

不思議な映画だった。オスカーの仕事はなんなのか。なんの目的でこんな仕事をしている
のか。仕事の組織自体の目的はなんなのか。最後にチンパンジーと暮らす男になったが、
あれは本当のオスカーなのか、あれさえも芝居なのか。
どこまで現実でどこから幻想なのか分からないシーンもあった。
でも久し振りのレオス・カラックスの映画、よかった。昔はまったなあ、カラックスに。
アレックス3部作の「ボーイ・ミーツ・ガール」はあまり好きではないが、「ポン・ヌフの恋人」
と「汚れた血」はすごく好きだった。
アレックスを演じたドニ・ラヴァンが今作にも主演しているが、年とったなあ~。当然か。
モデルを連れ去る変な男(というより化け物みたいな)を演じられるフランス俳優ってドニ・
ラヴァンしかいないんじゃないかと思ってしまう気持ち悪さだった。
おもしろかった。映像も美しく、惹き込まれる映画だった。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

幻影師アイゼンハイム

2013-04-23 02:45:24 | 日記
2006年のアメリカ映画「幻影師アイゼンハイム」。
19世紀末のウィーン。幻影師(奇術師)アイゼンハイム(エドワード・ノートン)の舞台が
好評を博していた。その華麗な奇術は人々の心をとりこにした。
ある日、結婚間近と噂されている皇太子と公爵令嬢がショーを見にきた。アイゼンハイムは
公爵令嬢を見て驚いた。昔の恋人ソフィ(ジェシカ・ビール)だったのだ。ソフィもまた彼に
気づいていた。アイゼンハイムは少年の頃エドワードという名前で、家具職人の息子だった。
偶然出会った公爵令嬢ソフィに手品を見せたところソフィは大変喜び、2人は親しくなって
いった。ソフィは「庶民と会うな」と1度は言われたものの、こっそりエドワードと会っていた。
だが3年後、2人は引き裂かれた。
その後エドワードは奇術の腕を磨くためにあちこちを旅し、アイゼンハイムと名前を変えて
有名になっていき、15年が過ぎた。
皇太子は冷酷で傲慢な男で、女性を殺したとの噂があり、父親である国王を、その座から
引きずり下ろす計画も考えており、ソフィは嫌っていた。
アイゼンハイムのショーで、皇太子はトリックを暴こうとしたため、アイゼンハイムは皇太子に
恥をかかせることになった。怒った皇太子は、ウール警部にアイゼンハイムの監視をさせる。
アイゼンハイムの身を案じたソフィはこっそり彼のもとへ行き、そこで2人の愛は再燃して
しまう。ソフィは皇太子と別れることを決意する。
ある晩ソフィと皇太子は激しく口論をし、ソフィは城から出ていった。その後を追う皇太子の
姿が目撃される。
翌日ソフィは遺体となって発見された。医者は他殺だと言った。悲しみにくれるアイゼンハイム。
皇太子はウール警部に絶対に犯人を捕まえろと命じるが、人々の間では皇太子が殺したのでは
ないかと噂される。
その後アイゼンハイムは、ショーで降霊術を行うようになり、大変な話題になる。
ある日舞台の上にソフィの姿が現れ、人々は「誰に殺されたの?」と呼びかけ、大騒ぎになる。
皇太子の命令で、アイゼンハイムはペテンの罪や秩序混乱の罪でウール警部に逮捕されてしまう。

なかなかおもしろかった。19世紀という舞台も私は好きだし。
なんといってもエドワード・ノートンの演技がすごい。ほんとにこの人はすばらしい俳優だと
思う。
ウール警部は実はアイゼンハイムに好感を持っているのだが、公僕として皇太子に逆らえず、
アイゼンハイムを付け回しているところに悲哀を感じた。そして意外なラスト。
ウール警部の笑顔がいい。
ただひとつ気になったのが、ソフィの年齢。ソフィとエドワードが引き裂かれた時16~17歳
くらいだと思うのだが、それから15年も経ってまだ独身というのはちょっとおかしいと思った。
公爵令嬢だし、昔は結婚が早いし、その点しっくりこなかった。
皇太子もソフィに向かって「年を取ったな。子供は産めるのか」「私の母は16歳で父と結婚した」
などと言ってたし。
まっ、いいか~( ̄∀ ̄)
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

きらめきの季節 美麗時光

2013-04-20 04:44:34 | 日記
2001年の台湾・日本合作映画「きらめきの季節 美麗時光」。
アウェイ(ファン・チィウェイ)とアジェ(ガオ・モンジェ)はいとこ同士で、大親友。家族
ぐるみの付き合いがある。2人ともまともに職についておらず、チンピラのような生活をして
いる。アウェイには双子の姉ミン(ウー・ユゥジィー)がいるが、ミンは末期がんで、残された
日々を家族と過ごすために病院から自宅に戻ってきていた。
アウェイにとってミンは最愛の姉だ。ミンを車椅子に乗せ、散歩したりして、世話をしている。
ミンはいつも水槽の熱帯魚を見ている。それは別れた恋人アチャ(ツェン・イーチャア)との
思い出だった。ミンは余命がわかってアチャに別れを告げたのだった。
アウェイとアジェは成り行きで暴力団に足を踏み入れてしまう。ピストルを持たされ、気が
大きくなる2人。
ある日取り立てに行った先の親分を射殺してしまう。2人はアチャのところへ逃げる。
アチャは安ホテルを経営していて、2人をかくまってくれた。
アチャのホテルにも、アウェイの家にあるものと同じ水槽と熱帯魚があった。
アウェイがアチャのホテルに泊まった日、ミンは息を引き取った。
アウェイとアジャは家に帰るが、再び外出した時、射殺したやくざの組員たちが、大勢待ち
構えていた。

高い評価を受けた映画である。とても良かった。タイトル通り、若者たちのきらきらした人生が
印象深い。
アウェイたちはいくつくらいなのだろうか?21~22歳くらいだろうか。そんな年齢で末期がんに
冒されたミンがかわいそうでならない。
アウェイが、ミンが死んだ後、ミンの遺した手紙を読むシーンが感動的だ。アウェイにとって
ミンは最愛の人だったのだ。アウェイが泣くシーンに、私も涙が出そうになった。
この映画の中で、水槽と熱帯魚が重要な役割を持っている。ミンと、別れた恋人アチャの思い出
である。アチャはずっとミンを愛していた。ミンのためを思って、あえて別れを受け入れたのだ。
そんなアチャの姿も悲しい。
アウェイの祖母の、「もうミンはいないんだね」という言葉が胸に残る。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

月夜の宝石

2013-04-17 02:37:26 | 日記
1958年公開のフランス映画「月夜の宝石」。
伯爵家に嫁いだ叔母のフロレンティーヌ(アリダ・ヴァリ)の住むスペインの村を訪れたウルシュラ
(ブリジット・バルドー)は、村の青年ランベルトを好きになるが、彼が叔母の愛人だと知って
ショックを受ける。
叔母の夫のリベラ伯爵は女たらしで、ランベルトの妹は伯爵に捨てられ自殺する。
怒って伯爵につかみかかったランベルトだったが、使用人たちに暴行され、大けがをする。
フロレンティーヌは彼を介抱し、自宅に送り届ける。
ランベルトは夜な夜なフロレンティーヌの部屋を訪れ、ウルシュラは悲しく思っていた。
ある夜、伯爵と鉢合わせしたランベルトは、伯爵に殺されそうになり、逆にナイフで彼を殺す。
警察の捜査によりランベルトは逮捕され、手錠を掛けられるが、ウルシュラが車に乗せて彼を
助ける。2人の逃避行が始まる。
ヤスリで手錠を切ったランベルトとウルシュラは、国境付近の村に辿り着く。
フロレンティーヌは、警察と一緒に2人を追っていた。
ランベルトはこのまま逃げていてもウルシュラのためにならないと思い、密かにフロレンティーヌ
に電話をかける。

うーん、たいしておもしろくなかった。これはもうブリジット・バルドーを見るための映画だろう。
若い頃のブリジット・バルドーをあまり知らないのだが、すごく可愛かった。声も可愛い。
セクシー・シーン満載だが、ストーリーはどうってことない。サスペンス色もないし。
スペインが舞台なのに皆フランス語を話しているし、国境付近ではスペイン語だし、なんだか
よくわからない。
それにしても今のブリジット・バルドーはすごいことになっている
きれいな人は年をとってもきれいなことが多いと思うのだが(例えばカトリーヌ・ドヌーヴとか)
彼女の変貌はすごい。もともと派手な顔だからかな。
セックス・シンボルと言われながら比較的早くに映画界を引退し、熱心な動物愛護運動家に
なっている彼女。それはそれで魅力的なのだろう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

エド・ウッド

2013-04-09 04:05:50 | 日記
ティム・バートン監督、ジョニー・デップ主演の「エド・ウッド」。
実在した映画監督エドワード・D・ウッド・Jr.の物語。
俳優、監督、脚本を手がける30歳のエド・ウッドは、ヒット作に恵まれず貧乏だった。
ある時性転換した男の映画を作るという話を噂に聞き、自分を監督に使って欲しいと
映画プロデューサーに売り込みにいった。
「僕は女装が趣味だから、主人公の気持ちがわかる。監督に適している」と言ったが、
バカにされて追い返された。
エドはその後、往年の怪奇スター、ベラ・ルゴシと出会う。年を取ったベラは、もう何年も
映画に出演していなかった。エドは大スターのベラを配して映画を作ることにする。
だが出資者がなかなか集まらず、資金集めに奔走する。プロデューサーのところに行けば
「ベラ・ルゴシ?まだ生きてたのか?」と言われる。
俳優仲間も集まり、どうにか映画製作にこぎつけたが、ヒロインを恋人の女優ドロレスでは
なく、出資してくれる別の女優にしたため、ドロレスとの仲はこじれ、やがてエドの女装
趣味にも耐えられなくなったドロレスは、エドの元を去っていった。
なんとか映画を完成したが、上映されても観客からは大ブーイング。
次回作に取りかかるエドだったが、ベラは長年の麻薬中毒で体が弱っていた。歩けない程
衰弱したベラを、エドは入院させる。その病院でキャシーという女性と知り合い、彼女は
エドの女装癖も受け入れてくれ、恋人になるのだった。
だがベラが健康保険に入っていないことがわかり、入院費が払えないとわかると、病院は
ベラを退院させた。ベラもまた、お金に窮していたのだった。
ある日エドはバーで尊敬するオーソン・ウェルズに出会う。ウェルズはエドに「作りたい映画
を作りなさい」とアドバイスする。
そしてやがてベラは死んだ。エドはベラの飼っていた犬たちを引き取り、ベラの代役を立てて
映画を完成することを誓うのだった。

ちょっと変わった映画だった。というより、主人公のエド・ウッドが変人だからこうなった
のか。エド・ウッドはアメリカ史上最低映画監督と呼ばれているそうである。
写真を見たが、ジョニー・デップがエドそっくりにメイクをしていておもしろい。
ジョニーは本当に映画ごとにいろんな顔を見せる人だなあ。
昔の映画の作り方は興味深かった。CGなどない時代、怪奇映画やSF映画を作るのは大変だった
だろう。作るのもだけど、まず資金がないと映画製作に入れない訳で、映画監督ってお金が
ないとやれないんだな、資金集めって大変なんだな、と、エド・ウッドに同情してしまった。
エドは終世映画がヒットすることはなく、晩年はアルコール中毒になり、54歳の若さで
亡くなったそうだ。

エド・ウッドのファンはこの映画を作ったティム・バートンや、デヴィッド・リンチ、クエン
ティン・タランティーノなど、おたくっぽい人が多いらしい。
それにしてもこの映画、女優陣がサラ・ジェシカ・パーカー、パトリシア・アークェットと、
ブスばかりなのは何故?







コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする