猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

妹の恋人

2013-10-31 04:01:34 | 日記
アメリカ映画「妹の恋人」。
静かな田舎の町で自動車修理工場に勤める青年ベニー(エイダン・クイン)は、両親の死を
きっかけに精神を病んでしまった妹ジューン(メアリー・スチュアート・マスターソン)と
2人で暮らしていた。
ジューンは精神不安定で、ジューンの世話に耐えかねて辞めていった家政婦は何人もいた。
精神科医はジューンをグループホームに入所させることを勧めるが、ジューンに振り回され
ながらも、12年間ジューンを支えてきたベニーは決心がつかない。
友人にももっと自分の人生を大事にしろと言われ、悩む。
そんなある日、ふとしたきっかけで友人のいとこのサム(ジョニー・デップ)を家で預かる
ことになった。サムはとても風変わりな文盲の青年だった。バスター・キートンやチャッ
プリンが大好きで、いろんな俳優の物まねが得意だった。
やっかいな男をしょいこんでしまったと思うベニーだったが、意外にもジューンはサムを
気に入ったようなので、サムを新しい家政婦がわりに使うことにした。

ジョニー・デップがいなければ見ていられない映画だった。ネットのレビューでは好評価
なのだが、私は好きになれなかった。
「ほのぼのする」「心温まる映画」といった感想が多かったが、そう思わないでもないのだが、
とにかくヒロインのジューンが嫌いで、見ていてイライラした。いくら精神を病んでいる
とはいえ、わがままで自分勝手で、10何年も兄に甘えてんじゃないよ、と思った。おまけに
女優がちっともかわいくない。ベニーがジューンを甘やかすのもムカッとした。
ジョニー演じるサムも、ジューンに負けないくらい変な人なのだが、ジョニーの演技はすば
らしかった。サムはパントマイムが得意なのだが、本当に大道芸人がやっているみたいに
ジョニーはうまかった。体の芸、目の芸、すごくかわいかった。
ジョニーってかっこいいのにどうしてかわいいんだろう。
ジューン役の女優がもっと美人だったら、私のこの映画に対する感想はかなり違っていたと
思う。残念である。

サザエさん家のおやつ

2013-10-26 05:21:25 | 日記
私は「サザエさん」についてずっと気になっていることがある。
どうしてサザエさんちには「おやつの時間」があるのだろう?おやつの時間って必要か?
昔からアニメのサザエさんを見る度に気になっていた(漫画でもおやつの話は出てくる
が、アニメの方が断然多い)
子供たちは給食をお腹いっぱい食べて帰ってくるのだ。それなのに「ただいま。お腹
空いた、今日のおやつは何?」と言いながら家に入る。そんなにお腹って空くか?
私の家はおやつの習慣がなかった。と言ってもお菓子類を全く食べない訳ではなく、
適当に食べていたのだが、きちんと「おやつの時間」を決めて食べることはなかった。
だからと言ってダラダラ食べていた訳でもない。
当然私が子供を持ってからも、おやつの時間を設定したことはない。幼稚園や学校から
帰ったら、適当に少し食べる、といった程度である。
しかもサザエさんちは、おやつにケーキやホットケーキやドーナツなど、結構ボリューム
のあるものを食べている。そんなに食べたら夕食に差し支えないか?ホットケーキなんて
私にとっては食事なのだが。信じられない。
しんちゃんも幼稚園から帰ってきたら「おやつ~」と言っているが、みさえは「おせんべい
があるでしょー」といった感じで、やはり「さ、おやつの時間よ」という雰囲気ではない。
サザエさんのおやつのシーンを見る度に気になってしょうがない。世間ではあんな風に
おやつの時間が決まっているのか?それって私から見ると1日4食なのだが。
あああ気になる。


今「恐怖新聞」を読んでいる。文庫を長らく2巻までしか持っていなかったのだが、やっと
3~5巻を買った。ついでに「うしろの百太郎 平成版」と「恐怖新聞 平成版」が出ている
のを知って、それらも買った。
こーわーいー( ̄▽ ̄;) 絵も怖いしストーリーも怖い。つのだ先生はどうしてこんなに
怖い漫画が描けるのだろう。

マークスの山

2013-10-22 04:05:32 | 日記
1995年の日本映画「マークスの山」。
南アルプスで10歳の男児が保護された。両親が車の中で心中しようとして、奇跡的に助かっ
た男児だった。
16年後、畠山(井筒和幸)という元暴力団組員の死体が発見される。畠山は正体不明の凶器で
殺害されていた。管轄の合田警部補(中井貴一)らは捜査を始める。
数日後、国家公務員住宅の前で、松井(伊藤洋三郎)という法務省勤務の男が他殺体で発見
される。解剖の結果、畠山に使われた凶器と同一のものである可能性が出てきた。
合田らは恐らく同一犯による連続殺人事件だと推測し、合同捜査になるだろうと考えるが、
何故か上層部から「別の事件である」と断定され、刑事たちは腑に落ちない。
元暴力団組員と法務省勤務の男、この2人を結びつけるものはないように見えた。しかし
合田ら刑事たちは同一犯の犯行であることを前提に捜査を行う。やがて、畠山の家を訪ねて
きていたある男の存在が浮上する。

高村薫氏の小説を映画化したものなのだが、実は私は原作がものすごく好きなのだ。映画を
見て、その後に小説を読んだのだが、比較にならないくらい小説の方がいい。映画はかなり
省かれていたり設定が変えられていたりするのだが、時間が限られる映画というものを作る
に当たってそれは仕方なかったことだろうし、配役もとてもイメージに合っていたので、この
小説の映画化としてはかなり良くできていたと思う。
これは映画もいいが是非原作を読んで頂きたい。大きな相違として、冒頭で男児が一家心中
から助かる場面があり(これは映画でも描かれている)、次に南アルプスで建設作業員として
働く岩田という男が、幻覚に襲われて殺人を犯してしまうエピソードがあって、これがとても
おもしろいのだが、この部分がまるまる省かれている。確かにこの部分を映画で描くとなると
時間的にも表現的にも難しくなると思う。そのため登場しない重要人物が何人かいたりする。
この岩田に関する話が16年後の殺人事件につながっていく辺り、とてもおもしろい。
一応ミステリーのジャンルに入れられてはいるが、事件の犯人は割と早くにわかるので、その
意味ではミステリーとは言えないかもしれない。ただ、犯人の動機や目的がなかなかわからない。
被害者たちとのつながりもわからない。主人公である合田警部補や刑事たちが必死の捜査をして
いく中で少しずつ真相が明らかになっていく、その過程がとてもおもしろい。読み出したら止ま
らないタイプの小説だ。
そして私はラストの3ページがものすごく好きである。感動というのとは違うが、魂を揺さぶ
られるような思いで、涙が出た。私は海外の小説に比べて日本の小説はあまり読まないのだが、
この「マークスの山」は自分でも何故だかわからないけど異常に好きなのだ。

高村氏は単行本から文庫化されるに当たって、改稿をするので有名な人である。私は最初に
映画を見て、次に文庫本を読み、次に単行本を読んだのだが、最初に書かれた単行本よりも
文庫本の方が圧倒的に好きだ。最もこれは読者の間でも意見が分かれるところで、単行本の
方が好きな人、文庫本の方が好きな人といるらしい。私がラストの3ページがいいと書いた
のは文庫本の方だ。
確かに改稿されたのを読むと、単行本のここの描写は削らないで欲しかったな、と思う箇所が
いくつかある。でも全体的に文庫本の方がいい。(私は)
重い統合失調症である水沢という青年が登場するのだが、この水沢の精神病の描写が、単行本
では少し違和感というか矛盾があるのだ。それが文庫本だとすんなり頭に入ってくる。高村氏
もそう思って書き直したのかもしれない。
また高村氏はこの小説を書くに当たって綿密な取材をされたらしく、物語が非常にリアルな
感じがする。警察内部の腐食、上層部からの圧力といったものが的確に表現されているように
思う。
それと、映画で水沢の役を演じた萩原聖人さんがすばらしかった。あの役は難しかっただろう
な、と思う。バグパイプによる音楽も作品世界に合っていて良かった。でもこの映画、DVD化
されていないのだ。是非DVDを出して欲しいものだ。
私は今でも、テレビなどで南アルプス、北岳、雪山、ビバークといった言葉を聞くとこの小説
を思い浮かべる。

レインメーカー

2013-10-18 03:25:50 | 日記
1997年のアメリカ映画「レインメーカー」。
弁護士志望のルディ・ベイラー(マット・デイモン)は、苦学して大学を卒業し、アルバイト
先の店長の紹介で悪名高きブルーザー・ストーン弁護士(ミッキー・ローク)の事務所で働く
ことになった。
ルディの初仕事は、白血病の息子ダニー・レイ(ジョニー・ウィットワース)に対し保険料を
支払おうとしない悪徳保険会社ベネフィット社を訴える決意をした、ダニーの母親ブラック
夫人(メアリー・ケイ・プレイス)の弁護をすることだった。ダニーは骨髄移植をすれば高い
確率で助かるのに、ベネフィット社はもう7回も保険金の支払いを拒否している。ダニーの
容態は悪いが、貧しいブラック家には治療費はなかった。司法試験に合格して喜ぶルディだが、
雇い主のストーンが悪行を摘発されて行方不明になってしまう。相棒のデック(ダニー・デ
ヴィート)は独立することを提案し、2人は小さな事務所を構えた。そんな矢先、ダニーは息を
引き取った。
ルディは夫から暴力を受けて入院しているケリー(クレア・デインズ)と知り合う。ルディは
離婚を勧めるが、夫からの報復が怖いケリーは決心がつかない。
ベネフィット社との裁判が始まった。会社側の弁護士はベテランのドラモンド(ジョン・ヴォ
イト)で、若いルディは苦戦する。

法廷ものではあるが、裁判の行方をハラハラしながら見守る面もある一方、感動的な映画
だった。希望を胸に抱いて弁護士になったルディだが、すぐに現実に打ちのめされ、悩む。
弁護士の仕事に疑問を抱きながらも雇い主に言われる通りに働くルディの苦悩を、マット・
デイモンがよく表現していたと思う。
白血病のダニーのエピソードは見ていて胸が痛んだ。まだ若い、ルディと同年代くらいの
ダニーはやせ細り、鼻血を出し、ベッドに横たわっている。病院ではなく家のベッドにだ。
アメリカだけではない、日本だってどこだってお金がなくて満足な治療を受けられない人は
いるだろう。でもそのためにダニーの母親はつましい生活の中から保険料を払っていたのに、
保険金を貰えないのだ。悪徳保険会社と、それを弁護する弁護士。
悲惨な事件が起きる度に、こんな加害者を弁護する人もいるのだなあ、と誰でも思ったこと
があるだろう。加害者にも人権がある以上仕方のないことなのだが。
ダニーの裁判での、ルディの最終弁論には涙が出そうになった。
また夫からのひどい暴力に悩むケリーは、夫を殺した容疑で逮捕されるが、正当防衛が認め
られ不起訴になる。当たり前だ。夫の父親がケリーに「なんて女だ、息子を殺しやがって」と
叫ぶシーンがあるが、あんたの息子が妻を殺そうとしてたんだよ、と言ってやりたかった。

保険会社の弁護士がジョン・ヴォイトだとずっと気づかなかった。ジョン・ヴォイト年取った
なあ~。他にもダニー・グローヴァー、ロイ・シャイダーなどスターが出演していた。
見応えのある、いい映画だった。
ヴァージニア・マドセンを見た時は「キャンディマン」を思い出してしまった。「キャンディ
マン」怖かったなあ。

ロンリーハート

2013-10-13 04:38:18 | 日記
アメリカ映画「ロンリーハート」。実際に起きた事件を元にした映画である。
1940年代のアメリカ。結婚詐欺師のレイモンド・フェルナンデスは新聞の恋人募集欄
「ロンリーハート・クラブ」で獲物を探していた。そこで知り合ったマーサ・ベックを
次の標的にするが、彼女が裕福でないことを知って、彼女の元を去る。
しかしその直後にレイモンドはドジを踏んでしまい、逮捕されそうになったところを
マーサに助けられる。
マーサはレイモンドを深く愛し、レイモンドもマーサを愛するようになった。マーサは
レイモンドの妹と名乗り、2人で組んで結婚詐欺をするようになる。
レイモンドの標的は、夫が戦死した未亡人や、独身の中年女性であった。しかしマーサは
異常に嫉妬深く、レイモンドが騙した女性たちを殺害してしまう。
一方刑事のエルマー・C・ロビンソン(ジョン・トラボルタ)は、結婚記念日に妻が自殺して
以来、投げやりな暮らしになっていた。が、ある未亡人の自殺を殺人だと睨み、捜査して
いくうちに、レイモンドとマーサに行き当たる。

アメリカを震撼させた連続殺人事件で、レイモンドとマーサは21人殺したと言われている。
映画はちょっと退屈な感じがした。21人も殺した殺人鬼の話なのに、2人が組んで犯罪に
走るようになるまでが長いと思った。
でも恐らく2人がどんなふうにたくさんの人を殺したか、ではなく、どんなふうに2人の
心が結びついて、凶悪な犯罪を繰り返すことになったのか、を描きたかったのだろうなと
思った。ジョン・トラボルタも渋くて良かったので、まあまあおもしろかった、かな。
しかし実物のマーサという人はすごいデブで、レイモンドはどうしてこんな女を好きに
なったのかな、と思った。熱烈に愛されて、愛情表現が濃いと、好きになってしまうもの
なのだろうか。
レイモンドもマーサも、生まれつきの体質や、家庭環境などが原因で精神異常と言える
程になってしまったようである。幸福な少年時代を送っていれば、こんなふうにはならな
かったのだろうか。
ロビンソン刑事も実在の人物で、この映画の監督トッド・ロビンソンは彼の孫だそうだ。