猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

許されざる者(オリジナル)

2013-09-29 02:55:19 | 日記
「許されざる者」のアメリカオリジナルを見た。
ストーリーは細かいところは変えてあるものの、ほとんど同じなので、配役だけ書いておく。
ウィリアム・ビル・マニー(クリント・イーストウッド)→釜田十兵衛(渡辺謙)
ネッド・ローガン(モーガン・フリーマン)→馬場金吾(柄本明)
リトル・ビル・ダゲット(ジーン・ハックマン)→大石一蔵(佐藤浩市)
スコフィールド・キッド(ジェームズ・ウールヴェット)→沢田五郎(柳楽優弥)

日本のリメイクもだが、オリジナルも大スター揃い。スコフィールド・キッド役の人は知らない
けれど。
牧場を営むマニーが、11年前に結婚し、子供を2人持ったが、3年前に妻を亡くして…という
最初のシーンは釜田十兵衛も同じである。
所々小さな変更はあったが大筋では同じだった。大体リメイクで成功することはほとんどないと
思うのだが(少なくとも私が知っているフランス映画のハリウッドリメイク、香港映画のハリ
ウッドリメイクはそうである。結果的にちょっとやめてよ~となる)、この映画に関しては日本版
の方が良かった。
アメリカの西部劇なので銃をパンパン撃ちまくるのだが、日本版は銃も出てくるが刀も出てくる。
そういう点で日本人には親しみやすかったのかもしれない。前にも書いたが私は刀が好きだし。
全体の雰囲気は日本版の方が暗く、重たい。これは映画の作り手であるアメリカ人と日本人の
気質の違いなのだろう。オリジナルの方があっさりした感じ。
大きく違うと感じたのは主人公のキャラクターだ。マニーは列車強盗や殺人で有名だったガンマン
で、妻となる女性と出会って人生が変わる。対して十兵衛は官軍と戦った幕府軍のリーダー的
存在だ。どれだけ人を殺そうとも、「人斬り十兵衛」と呼ばれて恐れられようとも、人を殺した
理由や目的が違う。
マニーは強盗犯、殺人犯だが、十兵衛は兵士である。この点がオリジナルの方は少しひっかかった。
小さなひっかかりではあるが。2人とも素晴らしい女性に出会ったことで武器を捨てているのだが、
マニーのその人生の転機に対して、「ふーん」という感じなのである。十兵衛の方は、いい人に
巡り会えて良かったね、という気持ちになる。
これは私の偏見だろうか。同じように感じた人はあまりいないかもしれないが、このことが映画
全体の雰囲気を変えている気がした。ラストも少し違うのだが、日本映画らしいな、と思った。
まあでもどちらもおもしろかった。イーストウッドも謙さんもかっこよかった。
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休暇

2013-09-25 03:33:35 | 日記
日本映画「休暇」。
刑務官の平井(小林薫)はベテラン刑務官として日々淡々と仕事をしている。
彼が勤める拘置所には、死刑囚の金田(西島秀俊)が収監されている。金田は模範囚で、毎日
絵を描いて静かに過ごしていた。その絵はとても素晴らしいものだった。
いい年をして独身の平井に、縁談が持ち上がった。夫を亡くして幼い息子を育てている美香
(大塚寧々)である。縁談はスムーズに運び、すぐに結婚の話になった。だが美香の息子・達哉が
心を開いてくれないことが平井には気がかりだった。
結婚式を間近に控えたある日、金田の死刑執行が決まった。刑務官たちの間で、執行の際に
落ちてきた体を受け止める、”支え役”を誰がやるかが話し合われた。皆、人の死に関わる仕事は
したくないのだ。
”支え役”を担当した者は、1週間の休暇が与えられることになっていた。平井は有給休暇を使い
果たしていて、美香との新婚旅行に行けないでいたのだが、苦悩の末支え役を志願した。
同僚たちは、休暇のために支え役をやることにした平井を、「人の命の重さがわかっていない」
と非難した。

静かな映画だった。主人公の平井の生活が淡々と描かれる。刑務官の仕事は想像はつくものの、
ああこういう仕事なんだ、と改めて理解した。意外と死刑囚と親しく話したりするんだなあ、と
思った。いつかは死刑が執行されるとわかっている人と毎日接するのはとてもきついと思う。
この映画では、死刑囚・金田の犯罪について全く描かれていない。誰をなぜ殺したのか?
死刑になって当然、な人なのか、そんなに悪い人ではなかったのに、運命のいたずらで殺人を
犯す結果になってしまった人なのか。後者なら、少しだけ気の毒に思うが、その辺りの描写が
全くない。
これは、刑務官である平井の心情や行動を理解するために、あるいは共感するために、あえて
金田がどんな人間なのか(死刑囚としての現在ではなく、事件を起こすまで)を描かなかったの
かな、と思った。
気になったのが、支え役。私はテレビのニュースで日本の死刑執行について詳しく説明している
のを見たことがあるが、支え役って必要か?と思った。落ちてきた体を受け止めると言っても、
絞首刑なので床にドスンと落ちてくる訳ではなく、足場を外され落ちてくる人を、どうして
受け止めなければならないのだろう。この映画で平井は、落ちてきた金田の体に抱きつくような
行動をとっていた。ニュースで支え役のことについて言ってたっけ?と思った。
重たいけど、いい映画だった。死刑になった人の魂は、どこに行くのだろう。
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許されざる者

2013-09-21 03:23:39 | 日記
「許されざる者」を見にいった。アメリカ映画のリメイクである。
1880年(明治13年)、北海道の開拓時代。農民として暮らす釜田十兵衛(渡辺謙)のところに、
ある日昔の仲間馬場金吾(柄本明)が訪ねてくる。
十兵衛と金吾は、幕末に幕府軍に所属し、官軍と戦った戦友だった。特に十兵衛は「人斬り
十兵衛」と言われ恐れられた存在だった。
北海道へ逃げてからも討伐隊に追われたが、行方不明となっていた。金吾は風の噂を頼りに
十兵衛の居場所を探し出し、やってきたのだった。
金吾は鷲路まで一緒に賞金稼ぎに行こうと誘った。女郎の顔を切り刻んだ2人の開拓民に、
女郎仲間が1000円の賞金をかけたと言うのだ。
十兵衛はこの地で妻と知り合い結婚したことをきっかけに、2度と人を殺さないと決意して
いた。妻は3年前に亡くなったが、その誓いを守り続けている。
1度は金吾の誘いを断ったが、幼い2人の子供たちが日々食べるものにも困っている現状を
考え、11年前に封印した刀を取り出し、金吾と一緒に鷲路に行くことにした。
途中で沢田五郎(柳楽優弥)という若者がついてきて、賞金稼ぎに加わりたいと言ってきた。
五郎は自分が役に立つことを売り込み、3人で鷲路を目指すことになった。
鷲路の村では、初代村長兼警察署長を務める大石一蔵(佐藤浩市)が絶対的な権力を持っていた。

私はオリジナルを見ていないので比べようがないのだが、おもしろかった。大体リメイクの
方は良くないことが多いと思うのだが(フランス映画をアメリカでリメイクするのだけはやめて
欲しい)、これは良くできているのではないかと思った。BSでオリジナルの「許されざる者」が
放送されたので録画しているのだが、そのうち見比べてみようと思っている。
とても重たい物語だった。不幸な目に遭う人がたくさん登場する。時代のせいなのだろうが、
見ていてとても痛ましい。
女郎の顔を切り刻んだ男たち(実は1人はもう1人を止めようとしたのだが、”悪人”になって
しまった)を殺して賞金を獲得するというメインのストーリーに、アイヌの話が入っている。
五郎もアイヌだし、十兵衛の死んだ妻もアイヌである。アイヌの話って入れなきゃならなかった
のかな?と思ったのだが、北海道の開拓時代が舞台になっている以上、避けては通れなかった
のかもしれない。個人的に、私はアイヌの問題は苦手である。
オリジナルはアメリカ映画なので当然アイヌ問題は絡ませていないだろうが、その代わりに
人種差別問題とかが描かれているのだろうか。
渡辺謙さんがかっこいい。かつて人斬りだったという十字架を背負い、農民として貧しい
暮らしをしている十兵衛が、再び刀を持たなければならない悲しさ。
佐藤浩市さんの憎たらしい暴君ぶり。2人ともすごいなあと思った。
この映画では銃と刀が出てくるが、私は刀の方が好きなので、もしかするとオリジナルより
日本映画の方が気に入るかもしれない。
「るろうに剣心」に少し設定が似ているのもいい。人斬り抜刀斎。剣心かっこいい。
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誰かがあなたを愛してる

2013-09-17 03:51:45 | 日記
1987年の香港映画「誰かがあなたを愛してる」。
演劇の勉強のためにニューヨークの大学に留学したジェニファー(チェリー・チェン)は
遠縁のサミュエル(チョウ・ユンファ)の世話で、彼の住むアパートに住まわせてもらう
ことになった。アパートのあまりのボロさに驚くジェニファー。電車がしょっちゅう通り
うるさく、環境も悪い。
サミュエルは中華レストランで働いているが、ギャンブルが大好きで、友人たちといつも
ギャンブルをしている、あまり真面目ではない男だ。英語もろくに話せない。
ジェニファーは先にニューヨークに来ている恋人のヴィンセント(ダニー・チャン)に会いに
いくが、彼には新しい恋人がおり、態度も冷たかった。
ジェニファーはショックのあまりアパートでガス事故を起こしかけるが、サミュエルに
助けられる。
サミュエルはなんとかジェニファーを元気づけようと、遊びに誘ったり、一緒に買い物に
いったりする。やがて2人はお互いに恋心を抱くようになるが、仲は進展しない。
ジェニファーはトラブルで子守りのバイトと中華レストランのバイトを次々クビになり、
ついていない。

高い評価を受けたラブ・ストーリー。舞台がニューヨークなので、「香港人の目から見た
ニューヨーク」が描かれており、興味深い。
サミュエルが住んでいるボロアパートには私も驚いた。ボロなだけでなく、狭く、なんだか
構造が変なのだ。ニューヨークにこんなアパートあるの?と思ってしまった。
そしてニューヨークの町も、壁には落書きだらけ、ゴミが舞い、ガラの悪い青年たちがたむろ
している、そんな場所が出てくるのだが、ニューヨークってあんなに汚いの?と思った。
まさか全域じゃないよね、一部だよね?
人なつこくて親切で、気のいい青年を、ブレイク前のチョウ・ユンファがかわいく演じている。
今だったら考えられないような役。
香港映画らしいロマンチックなラブ・ストーリーだった。ヴィンセント役のダニー・チャンは
35歳の若さで亡くなっていたんだなあ。知らなかった。
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グラディエーター

2013-09-02 03:37:05 | 日記
2000年のアメリカ映画「グラディエーター」。
ローマ帝国時代。ローマ軍将軍マキシマス(ラッセル・クロウ)は勇士として兵士たちの信頼を
得ていた。時の皇帝アウレリウス(リチャード・ハリス)に呼び出されたマキシマスは、次期
皇帝になって欲しいと言われる。息子コモドゥス(ホアキン・フェニックス)のことを尋ねると、
アウレリウスは息子は皇帝の器ではないと言う。アウレリウスは戦いの愚かさを説き、国を
共和制に戻したい、それにはマキシマスの力が必要だと請うた。マキシマスは考えさせて欲し
い、と言って部屋を出た。次にコモドゥスがアウレリウスに呼ばれた。皇帝になる気はあるの
かと聞かれ、勿論だと答えるコモドゥスだが、マキシマスを後継者に考えていると言われ、
ショックを受ける。コモドゥスは、アウレリウスが昔から自分を愛してくれていなかったこと
を責め、殺害してしまう。
アウレリウスの死は病死だと伝えられるが、マキシマスは見抜いていた。皇帝の座についた
コモドゥスは、マキシマスを死刑にせよとの命令を下す。処刑のために連れ出されたマキシマ
スだが、兵士たちと戦い、処刑を免れる。馬を走らせ家に戻ったが、家は焼き払われ、妻と息子
は惨殺されていた。マキシマスは泣き崩れ、絶望と疲労のため気を失った。
気がつくとマキシマスは、奴隷商人に捕らえられ、奴隷市場で売られていた。マキシマスは
剣闘士(グラディエーター)として売られるが、生きる力を失ったマキシマスは、無気力に従った。
しかし命がけの戦いの中で勝ち抜き、剣闘士として名をあげていく。一方皇帝になったコモ
ドゥスは,廃止されていたコロッセウム(大闘技場)での剣闘を再開した。

アカデミー賞受賞のリドリー・スコット監督作品。おもしろかったー。すごい迫力。時代が時代
だから仕方ないが、あまりにも人が殺されるのは少しきつかったが。
あの時代、庶民たちは闘技場で人(奴隷)が殺し合うのを見て、大喜びしていたんだなあ。人間
ってなんて業が深い存在なんだろう。コロッセウムでの戦いはもちろん知っていたけど、映画で
見ると本当に残酷で非人道的。当時の人たちはなぜこういうことが出来たのかなあ。
立派な軍人でありながら運命に翻弄されるマキシマスがかわいそうだった。ラッセル・クロウは
アカデミー主演男優賞を受賞したが、それも納得の熱演。この人かっこいいんだろうけど私は
あまり好きではない。役にはすごく合っていたと思うけど。
それにホアキン・フェニックスの皇帝の憎憎しいこと。でもこの人も良かった。主演のラッセル
・クロウに1歩も引けをとらない迫真の演技。この人はこういう癖のある役がうまいと思う。
物語もキャストも良くて、とても見応えのある映画だった。
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