猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

アリゾナ・ドリーム

2016-04-27 17:06:08 | 日記
1993年のフランス・アメリカ合作「アリゾナ・ドリーム」を観にいった。
ニューヨークの埠頭の漁業局で毎日、魚を数える仕事をしているアクセル(ジョニー・
デップ)の夢は、アラスカでオヒョウを釣り上げることだ。故郷から叔父レオ(ジェリー・
ルイス)の使いでポール(ヴィンセント・ギャロ)が現れ、レオの結婚式の介添人を務
めてくれと言い、アクセルを車に乗せた。キャディラックのディーラーをしているレオ
は、未だにアメリカン・ドリームを信じていた。結局、車のセールスを始めたアクセル
の前に、未亡人のエレイン(フェイ・ダナウェイ)と義理の娘のグレース(リリ・テイラー)
が現れる。夫を射殺したことのあるエレインの夢は空を飛ぶことで、自殺願望のある
グレースの夢は亀になること。2人は互いに愛し、憎み合っていた。エレインに一目
惚れしたアクセルは、その日から彼女のために飛行機作りに没頭する。

変な人たちばかりが登場する、不思議な雰囲気の映画だった。冒頭でイヌイットが
氷を破ってオヒョウを釣り上げるシーンからなんだか幻想的。すごく大きなオヒョウ。
私は大きなヒラメ?と思ったのだが、オヒョウってカレイに似た大型の魚らしい。漁
師は着込んでいるからいいけど、犬たちは寒いだろうなあ、と思っていたら、漁師
の方が気絶してしまい、犬が彼をソリに乗せて家に帰った。
ニューヨークで魚の数を数える仕事をしているアクセルを、友人のポールが迎えに
くる。アクセルの叔父レオの結婚式が行われるのだが、レオがアクセルに付き添い
を頼みたいと言っているのだという。レオはアクセルにアメリカン・ドリームの重要性
を説く。
登場人物たちは皆夢を持っている。アクセルはアラスカでオヒョウを釣り上げること、
レオはアメリカン・ドリーム、ポールは映画スターになること(彼は有名映画のシーン
やセリフを暗記している)、エレインは空を飛ぶこと、グレースは亀になること。いろ
んな夢があるが、グレースの夢だけは理解できない。彼女のペットの亀のかわいが
り方は異常である。そして皆変である。義理の親子のエレインとグレースはしょっち
ゅう大喧嘩をし、罵り合っている。あんなに気性が激しい人たちって本当にいるの
かな。そんなに仲が悪いなら一緒に暮らさなきゃいいのに、と思うが、この2人には
不思議な愛情もあるのだ。アクセルも23歳だというのに、何故母親のような年のエ
レインに恋をするのか。わからないことだらけ。
エミール・クストリッツァの映画は初めて観たが、この人はこういう風変わりな作風
なんだろうか。でもキャストは豪華。特にフェイ・ダナウェイの演技は素晴らしい。さ
すがだなー。リリ・テイラーって個性的というか不細工だな~(^^;)仲里依紗に似て
いる。ジョニー・デップは若くてかわいい。この人の抑えた演技も良かったと思う。
オヒョウが空を飛ぶ(泳ぐ?)シーンが何度かあったが、すごく良かった。ジョニー
の若い時の映画を映画館で観られたことは幸せである。



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ケープタウン

2016-04-23 04:56:59 | 日記
2013年のフランス・南アフリカ共和国合作映画「ケープタウン」。
南アフリカの都市ケープタウン。そこである日、元人気ラグビー選手の娘が惨殺
死体で発見される。事件の捜査に当たるのはズールー人の警部アリ・ソケーラ
(フォレスト・ウィティカー)とブライアン・エプキン刑事(オーランド・ブルーム)のチ
ームである。ブライアンとアリは、捜査を進めていくうちに、被害者が殺される前
にとある薬物の売人と接触していたことを突き止める。その薬物は最近多発して
いる児童失踪事件の現場にも残されていたものだった。その薬物の恐ろしい成
分を知った刑事2人は、事件の裏に存在する、この街に潜む組織的な陰謀にた
どり着く。

主演がオーランド・ブルームとフォレスト・ウィティカーで、英語なので、アメリカ
映画かと思ったらフランス・南アフリカ共和国合作だった。確かに全編に流れる
暗くて悲惨な雰囲気はアメリカ映画っぽくはない。残酷描写が多く、序盤に刑事
が腕を切断された上に殺されるシーンはリアルでショッキングだった。(どうでも
いいことかもしれないが、あの刑事の妻はどうしてせっかくもらったカツラをかぶ
らないのだろうと思った)
オーランド・ブルームは今までのイメージと違い、酒と女に溺れるやさぐれた刑
事を演じていてなかなか良かったし、フォレスト・ウィティカーも渋い。おもしろか
ったが、人が殺されすぎるのがちょっと…何の罪もない人が、ギャングにあっさり
殺されてしまうのは見ていてきつかった。まさかあの人が、という登場人物も殺
されたし。そしてラストも、私には意外で、ここまでしなくても、と思った。あまりに
も救いがない。
オーランド・ブルームは大学に入るような年の息子がいるようには見えない。息
子の年をもう少し若くしても良かったと思う。アリの過去は悲しく、南アフリカが
抱えている問題を象徴する存在だ。南アフリカって本当にあんなに治安が悪い
のだろうか。



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ボルベール<帰郷>

2016-04-19 05:23:25 | 日記
2006年のスペイン映画「ボルベール<帰郷>」。
失業中の夫と14歳の娘パウラを養うために、せわしなく働くライムンダ(ペネロペ・
クルス)。明るくたくましい彼女にも、10代の頃、確執のあった母イレーネがその
まま父と一緒に火事で亡くなってしまうという苦い過去があった。ある日、夫が
「本当の父親じゃないから」と言ってパウラに関係を迫り、抵抗したパウラに刺し
殺されてしまう。ライムンダは娘を守りたい一心で、夫の死体の処理に奔走し、
事件の隠蔽を図る。そのさなか、今度は故郷のラ・マンチャに住む伯母の急死
の知らせが。ライムンダの姉ソーレが葬儀へ駆けつけたところ、彼女はそこで
死んだはずの母の姿を見たという町の妙な噂を耳にする。

ペネロペ・クルス主演の人間ドラマ。いかにもヨーロッパ映画らしい映画。ライム
ンダは気性は激しいが明るくたくましい女性。姉のソーレは反対に温厚な性格。
2人は衝突することも多いが、まあうまくやっている。おとなしいタイプのソーレが、
何故こっそりと無許可で美容室をやっているんだろう、とは思うが。夫が失業し、
今まで以上に仕事に励むライムンダだが、ある日娘のパウラが父親に乱暴され
そうになり、パウラは父親を殺してしまう。近所の廃業したレストランの冷凍庫に
夫の死体を隠すライムンダ。そうこうしているうちに今度は愛する伯母が亡くなっ
てしまう。
物語の中のライムンダはいつもせわしなく動き回っている。次々に事件が起き、
息つく暇もない。それでも彼女は希望を失わず、常にやれるだけのことはやる。
これが前向きなラテン系女性の特徴なのだろうか。夫が娘の本当の父親では
ないというのは本当である。娘は知らなかったのだ。見ているだけで感動を覚
える女性たちに比べて、ライムンダの夫も父もクズ男である。この対比が女性
たちの気丈さをいっそう強調している。
ライムンダが母に教わった歌を歌うシーンや、母に「話したいことがたくさんある
の」と言うシーンはとても素敵である。悲しくて切なくてホロリとする、人間賛歌
である。
ペネロペ・クルスは一見スマートに見えるけど、胸がバーン!お尻がバーン!
のラテン系女性なのだと、改めて思った。



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ワールド・ウォーZ

2016-04-15 05:18:15 | 日記
2013年のアメリカ映画「ワールド・ウォーZ」。
元国連捜査官のジェリー(ブラッド・ピット)と家族の乗った車が、渋滞にはまって
いた。すると、前方で爆発音が聞こえ、トレーラーが無数の車をはじき飛ばして
クラッシュし、パニック状態の群衆が通りになだれ込んでくる。そのただならぬ状
態から家族を守ろうと、妻子を連れて逃げるジェリー。やがて、彼は人間を凶暴
化させる未知のウイルスが猛スピードかつ世界的規模で感染拡大しているのを
知る。そんな中、元国連職員の技能と知識を買われたジェリーは、各国を回って
ウイルスの感染原因を突き止めるよう依頼される。

未知のウイルスに人々が感染し、世界が混乱に陥っていくパニック・サスペンス
かと思ったら、ゾンビ映画だった(パニック・サスペンスには違いないのだが)。
ちょっと意外。これまでのゾンビ映画は、死んだ人が何故か蘇って人を襲い、襲
われた人がまたゾンビになる…というパターンだったが、ウイルスに感染したこ
とでゾンビ化する、というのは珍しい。
WHOやジェリーがウイルスの原因を突き止めようとしたり、ゾンビたちと戦ったり
する様子はまあおもしろかったが、全体的には、うーん、おもしろいのかおもし
ろくないのかよくわからない映画だった。プラッド・ピットはかっこいいし、スピード
感はあるし、家族愛も良かったのだけれど、何か足りないな~という気がした。
ゾンビがあまり怖くないからだろうか?怖さで言えば「ドーン・オブ・ザ・デッド」の
方がずっと怖かった。
度々かかってくる妻からの電話も間が悪くて、イラッとした。夫は命がけで動い
ているのだから、静かに待てないのか。
「コンテイジョン」に似た感じはあったが、あちらの方がはるかにおもしろかった。
でも、ジェリーがゾンビから身を守る方法に気づくシーンは良かった。とにかく
ブラッド・ピットがかっこいい映画。
あとストーリーには直接関係ないのだが、ジェリーと妻子が南米系の家族と出
会うエピソードで気になるところがあった。10歳くらいの子供は英語も普通に話
しているのに、その両親は英語がわからないみたいなのだ。子供が通訳をして
いた。こういうシーン、映画やドラマで時々見かけるのだ。一方的にスペイン語
をまくしたてて、相手が困っているようなシーン。アメリカで暮らすなら英語覚え
なさいよ、と思う。



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マジカル・ガール

2016-04-12 04:12:08 | 日記
スペイン映画「マジカル・ガール」を観にいった。
文学の教師だったルイス(ルイス・ベルメホ)は現在失業中。ルイスの12歳の娘アリシ
ア(ルシーア・ポリャン)は、白血病で余命わずかだ。アリシアは日本のアニメ「魔法
少女ユキコ」の大ファンで、そのコスチュームを着て踊ることが夢である。娘の願い
をなんとか叶えてやりたいと思ったルイスは金策に走るが、ままならず、宝飾店に強
盗に入ることを決意する。だが大きな石で窓を割ろうとしたその瞬間、空から降って
きた嘔吐物が彼の肩にかかる。上階の部屋のバルバラ(バルバラ・レニー)が、大量の
薬を酒で流し込んだが、気持ちが悪くなってベランダに飛び出し、吐いたのだった。
逃げようとするルイスを、降りてきたバルバラが呼び止め、家に招き入れる。ルイス
はシャワーを借り、バルバラは彼のシャツを洗濯する。そしてルイスはバルバラに望
まれて、2人は関係を持つ。翌日ルイスはバルバラに「7千ユーロ用意しないと、昨晩
のことを夫にばらす」と電話をかける。

病気で余命わずかな娘の願いを叶えてやるために、父親が奔走する感動系の物
語かと思っていたら、全然違っていた。悲しいというより悲惨な物語。でもいい意味
で裏切られた。とてもおもしろかった。アリシアが「魔法少女ユキコ」のコスチューム
を欲しがったことが、出会うはずのなかったルイス、バルバラ、そしてダミアン(ホセ
・サクリスタン)を結び付けた。そして悲劇に発展していく。
ルイスは決して悪人ではない。しかし娘のために強盗を働こうとし、恐喝まで行って
しまう。バルバラは精神科医の夫と暮らしており、情緒不安定なため夫に管理され
ている。ダミアンはバルバラの子供の時の教師で、バルバラのために理由はわか
らないが10年間服役し、出所したばかりだ。この映画の背景はわからないことが
多い。バルバラは何故あんなに精神的に不安定なのか。ダミアンはバルバラと恐
らく教師と生徒以上の心のつながりがあったのだろうが、彼女のために何をして服
役したのか。「トカゲ部屋」では何が行われていたのか。
物語はまさかこんな展開になるなんて、という驚くべき悲劇へと向かう。恐喝された
バルバラは気の毒ではあるが、私としては彼女が1番悪魔的存在だと思う。彼女の
精神不安定さが皆を不幸にしたのだと。
監督のカルロス・ベルムトは大変な日本通で、日本文化にもサブカルチャーにも詳
しいらしい。海外で日本の文化(おたく文化でもいいから)が受け入れられるのは
嬉しいことだ。それにしてもコスプレ衣装って高額!魔法少女ユキコの衣装は有名
デザイナーが作った1点物という設定だからあんなに高いのだろうが、日本でコス
プレ衣装はいくらくらいで売っているのだろうか。教師が失業というのにもちょっと
びっくりした。スペインの経済状況はそんなに悪いのか。日本で教師が失業ってあ
まり聞かない気がするが。



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