猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

野獣の血

2023-10-03 22:18:59 | 日記
2022年の韓国映画「野獣の血」。

1993年、釜山港の外れに位置する街クアム。養護施設出身で札付きの
ワルだったヒス(チョン・ウ)は、街を牛耳るソン(キム・ガプス)に拾わ
れ、その右腕として一帯を仕切っている。クアムのような小さな街にも
利権を巡るヤクザたちのにらみ合いがあり、クアムに目をつけたヨンド
派がヒスと同じ養護施設で育った親友のチョルジン(チ・スンヒョン)を
使い、ヒスを懐柔しようとしてくる。ヤクザ稼業に嫌気がさしていたヒ
スは、ソンの元でのし上がることも、ヨンド派について金を稼ぐことも、
そのどちらも望んではおらず、恋人のインスク(ユン・ジヘ)と一緒に巨
済島(コジェとう)でペンションを経営して静かに暮らしたいと思ってい
た。ヒスはソンの元を訪れ、組織を抜けたいと告げる。

韓国映画お得意の裏社会もの。養護施設出身の40歳のヒスは街の顔役
であるソンに目をかけられ、観光ホテルの経営を任されている。仕事も
恋人インスクとの関係もうまくいっており、いわば安定した状態だが、
それなりにいざこざはあり、狂犬のようなヤクザ、ヨンガン(チェ・ム
ソン)や高利貸しのホン社長(ユン・ジェムン)など、うっとうしい連中
もいる。更に釜山一帯を牛耳る組織・ヨンド派が、同じ施設出身の親友
チョルジンを使ってヒスに近づいてきている。
ヒスはヤクザ稼業に嫌気がさしており、いつかインスクと一緒に街を出
てペンション経営をしたいと思っていた。けれども1度ヤクザになった
らやめるのは難しいのだろう。ヒスはやがて巨大な計画に巻き込まれて
いく。冒頭でヤクザたちが漁業船上で食事をするシーンがあるが、それ
がとても緊張感のあるものになっている。スーツを着て(スーツではな
い者もいるが)食事をしているだけなのだが、1人1人がいかにも腹に何
か抱えていそうな感じで、ピリピリした雰囲気が漂っている。
ヒスは目上の者たちからかわいがられ、若い連中から慕われるタイプで
ある。特にインスクの弟アミ(イ・ホンネ)はヒスをとても尊敬しており、
親子のような年齢差ではないのにヒスのことを「父さん」と呼んでいる。
登場人物がとても多くてわかりにくく、名前と顔が一致しないままどん
どん物語が進んでしまう。それに画面が暗く闘争シーンなど何が起きて
いるのかよくわからない。韓国の裏社会ものの映画は好きなのだが、今
ひとつ追いついていけなかった感じ。
ヒスは日頃の思いとは裏腹に、血で血を洗う抗争に巻き込まれてしまう。
ヒスを慕っているアミが殺されるシーンはかわいそうだった。しかもそ
れを命じたのはチョルジンなのだ。ヒスはヤクザのボスになろうとして
いる訳ではないのに、大切なものを次々と失ってしまう。ラストも意外
だった。全体的にはおもしろかったのだが、少しわかりにくかったのが
残念。ヒス役の人は地味だが、チョルジン役の人は袴田吉彦をハンサム
にしたような感じ。



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コメント (4)
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