第4話
『あなたの愛娘を誘拐しました』
子供たちが出て行ってしまい恵一は家にひとり。
ソファーで寝てしまい起きたら三田が朝食作り。
いつも通りの三田。
テーブルの上を片付けていいかと聞かれる。
希衣からもらったパンダの折り紙も捨てられ、
「あっ」と声を出すもののそれ以上何も言わない恵一。
子供たちの部屋を見て回る恵一に、
うららから電話だと三田が呼びに来る。
子供たちは今うちにいるとのこと。
何があったのか聞かれるが大したことないと。
妻の遺影を見た恵一はうららに本当のことを告白。
「うららちゃん。
凪子は・・・君のお姉さんは事故じゃない。
自殺なんだ。
好きな人が出来て、
離婚してくれないかって頼んだら次の日に・・・
ごめん。」
とりあえずお父さんには秘密にしておくとうらら。
結たちに荷物を取って来て欲しいって言われてるから、
仕事が終わったら家に行くと。
三田が作った朝食をひとりで食べる恵一。
本当はずっとこういう和食が食べたかった。
けど子供たちもいるし女房もパンが好きだったからと。
「普通なら子供たちを
すぐにでも連れ戻しに行くべきなんですよね。
でもどうしたらいいか分からないんです。
あいつらにどんな言葉を使っても、
許してもらえる自信がなくて。
ホントは子供なんか欲しくなかったのに、
結婚してそれからずっと流されて来たから。
子供たちを命を懸けて守るんだとか、
あいつらを心から愛してるって
胸を張って言うことがどうしても出来ないんですよね。
きっと普通の人が持ってる
父親の愛情みたいなものが欠落してるんだな、俺には。」
そんな恵一に会社に遅れるから急いだ方がいいと三田。
恵一はイライラし三田に当り散らす。
しかし三田は何事もなかったかのように・・・
「今日は何時にお帰りになりますか?
夕食は何にしましょう?」
「もう結構ですよ!!
子供たちもいないんだし辞めていただいて。
紹介所の方にはこっちから連絡しときますから。」
「承知しました。
合鍵とお預かりしていた食費の余り。
それから本日までの領収書です。」
これからどうするか話し合う子供たち。
希衣は家に帰りたい、お父さんに会いたいと言うが、
結と翔は恵一を拒絶。
じゃあ学費とか生活費はどうするんだと冷静な海斗。
頭にこないのかと怒鳴る翔に海斗が言う。
「俺は現実的な問題を確かめてるだけですけど。」
暫くは祖父の家にいるしかないと結。
恵一はプロジェクトの責任者から外され、
職場が移動になる。
不倫の噂も広まってしまった。
不倫相手から電話があり、
今日会えないかと誘う恵一。
無理だと断られるが食い下がる恵一に、
付き合ってる人がいるから忘れてくれと言われる。
希衣の保育園の迎えには海斗が。
家に帰りたいと言う希衣に、
怒られるからとなだめる海斗。
じゃあ、三田に会いに行くと。
そこに隣の皆川が声をかけ希衣と海斗に嫌味を言う。
「何か困ったことがあったら、
おばさんになんでも相談していいのよ。」
「遠慮しときます。」
「今から三田さんに会いに行くの。」
「あの家政婦ならクビになったわよ。」
どうしようと希衣。
遊園地に来てみた希衣と海斗は三田を発見。
三田に声をかける。
希衣は父と姉たちを仲直りさせてと頼むが、
三田に出来ないと言われる。
「私はお暇をいただき、
もうお2人とはなんの関係もない人間ですから。」
「じゃあ、希衣がお金払うから。」
財布を見るが小銭しかない・・・
海斗の財布の中身も同じ。
「三田さん雇うにはいくらかかるの?」
「最短で2時間4,000円。
紹介手数料が520円なので、
合計で4,520円です。」
「そんな金ないよ、俺たち。」
「失礼致します。」
三田は行ってしまう。
子供たちの荷物を取りに来たうらら。
どうするのかと恵一に聞く。
「うららちゃんは、どうしたらいいと思う?
母親を自殺に追い込んだ父親は、
どうしたら子供たちに許してもらえるのかな?」
なんとか伝えるしかないんじゃない?と。
ハートでぶつかっていけば大丈夫だとうらら。
「ねえ、うららちゃんはさ、
どうしてそんなにいい人な訳?
いや、いつもこの世に悪い人間なんかいない。
愛と笑顔さえあればどうにかなるみたいなこと、
ず~っと言ってるけどさ。
人間なんてそんな単純なもんじゃないだろ。
よくそれで教師やって行けるよね。
生徒にバカにされてない?」
言った後で謝る恵一。
うららは帰って行く。
うららは子供たちに恵一が落ち込んでたから、
もう許してあげたらと。
そして永遠とひとりで喋り続けていて、
子供たちはうんざり。
みんな次々といなくなる。
「うららちゃん。 お願いがあるの。」
「何? 希衣ちゃん。 なんでも言って!」
「お金貸して?」
お金を持って紹介所に行く希衣。
「あなたが灯ちゃんを雇いたいってこと?」
「はい。 これで三田さんに何時間働いてもらえますか?」
お金は全部で7,500円だった。
料金表を見る所長。
それを希衣も見て7,500円は5時間だと。
しかし紹介手数料の945円も必要だと所長。
「ええぇ~。 まけて下さ~い。」
おばちゃんだって生活あると。
「それにね、お嬢ちゃんみたいな子供と契約すると
法律上あれなのよ。」
「あれって何?」
所長が希衣に困っているといつの間にか三田がいた。
急に現れると心臓に悪いと言われてしまう三田。
「申し訳ありません。
なんですか? 急用とは。」
「この子があんたを雇いたいんだって。
4時間。」
「5時間!!
ねえ、お願い、三田さん。」
どうすると聞かれ、別に構わないと。
5時間のタイマーをセットする三田。
何をするか聞くと、父と姉たちを仲直りさせてと。
「前にも申し上げましたが、それは無理です。」
「どうして?」
「家族を仲直りさせることが出来るのは家族だけです。」
「希衣、考えたんだけど、
仲直りするためにはみんなで会えばいいと思うの。
でもそっから分からないの。
どうしていいか・・・」
「バラバラになった家族が集まる簡単な方法があります。」
「何?」
「誰かが事故に遭うか、重い病気になるのです。
そういうことでもない限り、
人は心配して集まったりしませんから。」
「じゃあ、希衣病気になる。」
「仮病はすぐにバレます。」
「じゃあ事故に遭う。」
「とても痛いですけど、大丈夫ですか?」
「じゃあ、どうすればいいの?」
「それは・・・あなたが決めることです。」
「分かった。 じゃあ、お願いがあるの。」
モデルハウスで仕事をしていた恵一。
ポケットからパンダの折り紙を出し見ていた。
そこへ三田から電話が。
「何か用ですか?」
「希衣さんを誘拐しました。
返して欲しければ、条件があります。」
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ、あなた。」
「こちらの要求が呑めなければ、
希衣さんの命の保証は出来ません。」
「自分の言ってること分かってるんですか?
大体あなた、もううちとはなんの関係もないはずでしょ。」
「私は今、希衣さんからお給金を頂いております。」
「ちょっと待って下さい。
じゃあもしかして希衣があなたに頼んだんですか?
誘拐してくれって。」
「希衣さんから伝言があります。
また家族みんなでお家で暮らしたい。
それがダメなら希衣は死ぬ。」
「なんですか? それ。」
「先程、結さんたちにも
同じ電話を差し上げましたので、
こちらの要求を受け入れる準備が出来ましたら、
この携帯にお電話下さい。」
その頃、結たちも話をしていた。
とりあえず嘘でも仲直りするフリしたら?と海斗。
絶対嫌だと言い、結は三田に電話。
「もしもし三田さん? 希衣に代わってくれる?」
「申し訳ありませんが、これから連絡は
旦那様の電話だけにしていただけますか。」
取り敢えず希衣を捜しに行く3人。
紹介所に行って三田の住所を教えてくれと頼むが・・・
「灯ちゃんの家は・・・ないの。」
「どういうことですか?」
住民票の住所は紹介所になっているが、
どこに住んでるのかは知らないと所長。
警察に電話するしかないと翔。
「やめた方がいいんじゃないの?
いくら三田さんでも、マジで希衣殺すとは思えないし。」
「お前はあの家政婦の味方かよ!」
「すぐカッカすんのやめてくんない?」
その時、恵一も紹介所にやって来た。
恵一の問いに子供たちは無視。
結が母親が死んだ川にいるかもと言い、
走り出す子供たち。
川にやって来て希衣を捜す3人。
そこに恵一も到着。
「三田さんから連絡あった?」
「いや、まだ・・・」
「やっぱり希衣の要求呑んで仲直りするしかないよ。」
「そんなこと出来る訳ないでしょ!」
「俺たちは裏切られたんだぞ、この人に。」
「じゃあ、なんて言う訳? 三田さんに。」
子供たちと恵一が揉めているところに、
三田から電話がかかって来る。
「私たちにも聞こえるようにスピーカーにして。」
「もしもし。」
「希衣さんが、要求はどうなったか
聞きたいとおっしゃってます。」
「希衣に言って!!
いい加減にこんなくだらないことはやめろって。」
「少々お待ち下さい・・・・・
お姉ちゃんなんか大嫌いと
希衣さんがおっしゃってます。」
「希衣に言ってよ!
みんな心配してるんだぞって。」
「翔ちゃんはうるさいから黙ってて。
と希衣さんがおっしゃってます。」
「じゃあ、希衣に聞いてよ。
死ぬとか言ってるけどどうやって死ぬ気だ?って。」
「家に火をつけると、おっしゃってます。」
「そうか・・・」と言い、走り出す海斗。
家に戻って来たみんな。
庭に三田を発見。
「希衣はどこ?」
「お答え出来ません。」
家の中を捜しまくるみんな。
ベランダの柵に座ってる希衣を見つける。
来ちゃダメだと、来たら飛び降りると希衣。
なんとかしようと話しかけるみんな。
そこへうららがやって来た。
うららの声に驚いた希衣がベランダから落ちる。
落ちた希衣に驚くみんな。
しかし、下で三田が希衣をキャッチ。
みんな下に下りて来た。
恵一が希衣をビンタする。
「二度とあんなことするな!!
みんなどれほど心配したと思ってるんだ。」
「ごめんなさい。」
泣き出した希衣に、落ちていたと缶を差し出す三田。
蓋を開けた希衣は石がひとつないと言い、庭を探す。
新しいのあげるからと結。
「ダメ! あれ、お父さんなの!!」
そう言って、ひとつづつ石を出しながら、
これがお母さんでと説明して行く希衣。
家族みんなに当てはめた石だった。
そして石を探し続ける希衣。
「三田さん。 懐中電灯ありませんか。」
三田から懐中電灯を受け取り、一緒に捜す恵一。
「希衣、もうやめな!!
私たちにお父さんなんかいないんだから!」
「なんでそんなこと言うの? お姉ちゃん。
お父さんのこと許してあげて!
翔ちゃん、喧嘩したら仲直りしましょうって
幼稚園の先生も言ってたよ。
海ちゃん、またお父さんと一緒に暮らそうよ。
お父さん、お手紙読んでくれた?」
「ああ。」と言い、パンダの折り紙を見せる恵一。
「希衣はお父さんのこと大好きだよ。
お父さんは希衣のこと好き?」
「分からないんだ。」
「おい! なんだよ、それ!!」
「ごめん。」
「これがその男の正体だ!」
そこに義父がやって来た。
勝手に結の荷物から凪子の遺書を持って来た。
そして凪子の遺影が伏せてあるのを見て激怒。
恵一を突き飛ばし、貴様が死ねばいいだろうと。
「自分で死ねないんなら俺が殺してやる。」
恵一の首を絞める義父。
うららが止めるがビクともしない。
子供たちも止めに入り、やっと手を放す。
義父は子供たちは自分が育てると。
家に行こうと子供たちに言う義父に、
ここにいると結が言った。
「こんな男を許すのか?」
「そうじゃないけど、私たちの家はここだし、
希衣がまた今日みたいなことしたら困るからさ。
そっちが出てってくれないかな。
悪いのは全部そっちなんだし、それぐらい当然でしょ。
弟たちの面倒は私が見るから。」
「三田さん。」と三田の手を取る希衣。
「申し訳ありませんが、
希衣さんとの契約時間は終了しました。」
「三田さん。 すいませんが、
また子供たちのために働いてくれませんか?
紹介所の方には連絡しておくんで。」
「承知しました。」
義父は認めんと言いながら、うららに連れて帰られる。
荷物をまとめた恵一。
三田に子供たちをよろしくと頼む。
子供たちにじゃあなと言い、出て行く恵一。
三田が外までお見送り。
「とうとう愛想つかされました。
愛想つかされました、子供たちに。
まあ、当然の報いですよね。
今まで誰も叩いたことなんかなかったのに、
希衣にあんなことして・・・
父親なら抱きしめてやるべきなのに。」
「子供が悪いことをしたら、
叱るのは当たり前です。
あなたが父親なら。」
希衣が探していた石を恵一に渡す三田。
恵一は石を見て握り締め、歩いて行った。
崩壊しちゃった。
希衣ちゃん、あんなに頑張ったのに・・・
海斗が一番冷静な判断をしてるような気がする。
まぁ、許せないのも分かるけどさ。
恵一も朝御飯に食べたいのも
満足に言えなかったってのがちょっと切ない。
なんで結婚したんかなぁ・・・
でも死ぬって言われたら仕方がないのかしら。
けど死と引き換えに結婚してもらってもねぇ(o¬ω¬o)
あの母にも問題があったのでは?
しもか子供4人もいて自殺するなんてね・・・
母親としてどうなのよって。
しかし三田さんは未だ謎ね。
家がないってどういうことさ。
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