第5話
『無理して実行お泊り計画!! 初キスは波乱の幕開け!?』
巧は佳織に大晦日の仮装カウントダウンパーティーに誘われる。
宗太郎が依子を誘うようにと。
「まだキスもできてねぇんだろ。 いいチャンスだ。
そのままホテルにしけこんで初日の出を一緒に見ろ。」
「まだそういう時期じゃないよ。」
「もう1ヶ月以上経ってんだろ。 やってもいいだろが。」
「フン! 嫌だねぇ、そんな婚前交渉が当たり前と思ってる感覚。
藪下依子だぞ。 貞操観念ガッチガチに決まってるじゃないか。
横浜のヤンキー兄妹とは違うんだよ。 あ~ヤダヤダ。」
一方、依子は会社の飲み会に出席中。
同僚女子の話に耳をそばだてていた。
「付き合って1ヶ月。 デート4回。
それでキスもしてないってのは異常!」
帰ってからその話を母とする依子。
母はどうだったのかと聞くがドロンされた。
母にドロンされた依子は父に聞くことに。
「お父さん、お母さんとキスはいつしたの?」
「えっ?」
「キスよ。 交際開始してからどれぐらいの期間でキスしたの?」
「いっ・・・いや~・・・」
「答えにくいかもしれないけれど、
是非参考にしたいので答えて欲しいの。」
「わっ、忘れたよ。 昔のことだもん。」
「お母さんの仏壇の前で、
昔のことだからキスをしたことなど忘れたと言えるの?」
「1ヶ月ですぅ・・・1ヶ月でしました。」
「何回目のデート?」
「5回目です。」
「性交渉は?」
「そ~んなことまでさ・・・」
「お母さんの仏壇の前で忘れたと言えるの?」
「同じ日ですぅ!」
「キスから間隔を一切置かず、
その日のうちに最後まで成し遂げてしまったというの?」
「軽蔑するかい?」
「効率的だわ。」
「えっ?」
「それもアリなのね。」
「いや・・・実を言うとね・・・お父さんがあんまり何にもしないから
お母さんがしびれを切らして積極的に・・・」
「ほぉ~~~。」
その後、母からも話を聞く依子。
自分も次は5回目のデートだからと対抗心メラメラ。
が、母に無理だと、色気がないと言われ即消去。
早速、巧に電話をかけ約束を取り付ける。
2人で確認しておく重要事項があるはずと。
「デートプランは私が立てます。 何も心配することはありません。
全てを 1日で済ませるプランを立てますので。
谷口さんは身一つで来て下されば結構です。
ただ、帰りは翌朝になりますので
その心積もりだけお願いします。 以上です。」
「あの・・・・ちょっと待って下さい。 あっ!」
電話を切られてしまい焦る巧。
困った時の相談は宗太郎&佳織に。
「女に言わせちゃダメだべ~。」
「もしかしてお前、DTか?」
「そりゃDTだべ!」
「別にDTってわけじゃ!・・・高校の時に一度・・・」
「あるんだ? 今ほどこじれる前に。」
「直前まで行ったけど、やっぱり本当に好きな人と思ってその時は・・・」
「・・・・・」
「大学2年の時も! ホントに寸前まで行ったんだけど何か違うなと思って・・・」
「・・・・・」
「大学3年の時も!
もう完全にやったと言っても過言ではない状態の一歩手前まで―」
「だからDTなんだろ?」
「大事に取ってたんだよ!
いつか理想の相手に出会えるかもしれないと思って。」
「永遠の中2だな。」
「お前みたいに手近な相手とさっさと結婚するヤツよりマシだ!!」
「でもさ、巧くんの理想の相手って
ヘプバーンと原節子と峰不二子と浅倉南を足して―」
「浅倉南は入ってない。 あれは恐ろしい魔性の女だぞ。」
「そんなことはどうでもいい!!
とにかくそんな女とは永遠に出会わない。」
「分かってるよ!
だからこそ藪下依子と結婚しようって腹を括ったんじゃないか。」
「そうか・・・DTとSJか。」
「向こうがSJかどうかは・・・SJだろうなぁ~。」
そんな中、依子は着々と準備を進めていた。
官舎に招き入れてもいいのかや、男性を誘うポーズと表情の研究、
巧のための洗面用具やパジャマ、夜のお菓子にマムシドリンク。
おまけにイエスノー枕まで!!
デート当日。
スッポン料理屋で食事をした後、遂に依子の部屋へ。
その前に鷲尾が依子に電話で鍵のことを確認。
けど依子はお返しに贈った電動歯ブラシのことを聞かれていると思い、
「毎晩お使い下さい」と言ってしまう。
当然、鷲尾は勘違い。
依子たちのデート当日、その鍵で依子の部屋へ入った鷲尾。
その時、依子と巧が部屋へ帰って来た。
慌てた鷲尾は何故か靴を持ってクローゼットに隠れる。
巧を招き入れた依子は帽子とコートを脱がせ、
お茶を勧め、お風呂の準備をし始める。
「すげぇサクサクいくな・・・」
依子が母と話してる声が聞こえ怯える巧。
「谷口さん。」
「あっ、はい・・・」
「ABCという表現をご存じですよね?」
「ABC・・・」
「今日中にA、続いてB、そしてC。
1日で全部済ませてしまいましょう。 よろしいですね」
「全部!?」
「そういうのもアリなんですよ。
では、早速開始しましょう。 まずはAから。 どうぞ。」
巧の前に正座し唇を差し出す依子。
巧も応えようとするがやっぱりダメで・・・
その気になるように行動する依子だが、益々怖気づく巧。
「好きじゃないのに結婚できると言ったのはあなたですよ?
だったら、キスも性交渉も好きじゃなくても
できるようにしないと駄目でしょ!!」
「そ・・・そうだけどぉ~。
でも、やっぱりこういうのは好きじゃないと厳しいよ!」
「今更何を言ってるんですか!
そんな甘ったれたことで結婚ができますか! これは義務です!!」
「ぎ、義務ぅ? 義務なんかでするもんじゃない!
やっぱり好きじゃなきゃできない!!」
「そんなことない! 好きじゃなくてもできます! 男性は特に。
できなければ金銭と引き換えに
性的サービスを受けるビジネスが成り立つはずがない!
そうでしょうが!!」
どんどん寝室へ追い詰められて行く巧。
「そういうのが苦手な男だっているんだよ!!」
「根性見せなさいよっ!!」
ベッドに押し倒された!!
「あ・・・ちょ・・・根性とか・・・
あ~! すきでもない人とするなんて汚らわしいよ!」
逃げた。
「汚らわしい? 私とキスをすることが汚らわしいと言うんですか!」
「僕は35年も大事に取ってたんだぞ!
するチャンスだってあったのに!
せめてもっとムードというか、雰囲気を大事にしてくれよ!!」
「してるじゃないですか!!」
「してないよ!! 事務的にサクサク進めやがって!
スッポン食わして1日で済ませましょうって一体なんだよ!
僕は人間ドックに来てるんじゃないんだぞ!」
「あなたのために効率的な方法を!」
「効率なんか、もうどうでもいいよ! 大事なのは気持ちだろ!
どうせ君には分かんないだろうけど!
こんなんじゃ誰だって君とキスなんかできないよ!!」
「・・・・・」
沈黙が続く中、クローゼットから泣き声が・・・
鷲尾が出てきて巧を殴った。
「貴様!! どうしてあんな酷いことが言えるんだよ!!
依子さんの思いを踏みにじりやがって!
依子さんなりに頑張ってるんじゃないか!
それをぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ言いやがって!
男ならしっかり受け止めて抱いてやれよ! バカヤロー!!」
泣きながら出て行く鷲尾。
勿論、巧も追い出される。
翌日、間違いに気づいた鷲尾は依子に合鍵を返す。
謝罪を受け入れ許した依子。
そして巧に暴力をふるったことは謝るべきだと。
謝るために巧の家に来た鷲尾。
宗太郎と佳織が捕まえ、一緒に飲もうと誘う。
そして巧と依子に何があったのか教えてもらった。
依子のことは諦めると言う鷲尾にロックじゃねぇなと宗太郎がアドバイス。
佳織は巧に仮装カウントダウンパーティのチラシを渡し、
相手がいなかったら自分がなると言おうと思ったが、
結局は依子を誘うよう言った。
「巧くんが一番萌える衣装を彼女に着てもらうっていうのはどうよ?
何が萌える? セイラ? メーテル?」
サイボーグ009を指す巧。
ただコスチュームはなかなか売ってないんじゃないかと言う。
すると母が一晩で作れるわよと。
「なんか悪いね。 さすがに恥ずかしいよ。
35にもなってお母さんに
『サイボーグ009』の衣装を作ってもらってるなんて。」
「こんなのどうってことないわよ。
息子が35歳にもなってニートで引きこもりなんて、
そっちの方がよっぽど恥ずかしいわよ。
おまけに DーTーなんてねぇ~。」
「・・・・・」
パーティー当日。
依子は父の元へ行き、おせち作りと蕎麦打ち。
巧は依子のところへ衣装を届けに着たが留守だったため、
玄関のドアノブにかけ電話をかけるが留守電に。
メッセージを残したが返事はない。
巧は1人でパーティーに出かける準備をし出発。
依子は父と年越しそばを食べる時間まで待っていた。
巧は留守電にメッセージを残しながら待っていた。
その頃、依子は携帯を自分の部屋に忘れて来たことに気づいたが、
官舎まで電車で1時間半かかるため、
年越しが電車の中になってしまうので戻るのを諦める。
が、新年になった瞬間にメールをくれる人がいることを思い出し、
やっぱり取りに戻ることにした。
官舎に戻るとドアノブにかかってる衣装と巧からの留守電に気づいた。
なんとメッセージが12件!!
先日の無礼を謝罪し、
依子がカウントダウンパーティに来てくれなかったらきっぱり諦めると。
『今年はホントに色んなことがありました。
あなたに会うために13年ぶりに街中へ出て行って、
13年ぶりに女の人と話して。
僕にとっては信じられないくらい大きな出来事―』
『あなたと出会ってから本当に色々あって・・・
嫌なことも辛いこともいっぱいあったけど。 毎日ヘトヘトだけど。
でもなんか人生ってちょっと楽しいのかもしれないなって―』
『今年はとってもいい1年でした。 あなたのお陰です。
でも、もしよければ来て欲しいです。
今ならあなたとキスできます。 いや、キスしたいです。
あなたと一緒に新年を迎えたい・・・』
パーティではカウントダウンが始まったが、
やはりこういう雰囲気が苦手だと言い、巧は会場を出て行く。
その頃、依子は衣装を着てパーティー会場へ向かっていた。
依子が到着で巧は嬉しそうな顔を。
そして向かい合う2人はキスをするところだったが、
鷲尾が現れ依子へキスした。
「え?」と訳が分からない巧。
それを見た佳織が巧にキス!!
スゴイことになったな~(‐∀‐;)
宗太郎にたきつけられた鷲尾が行動を起こしちゃったよ。
おまけに佳織までかぁ・・・
キスなんかしちゃって鷲尾は依子に怒られるんじゃないか? 大丈夫か?
依子は鷲尾のこと興味なさそうだから、
このキスで「じゃあ、鷲尾で」ってはならないであろう。
予告で巧を父に紹介してたし。
しかし巧は気に入られないでしょうね。
その後、依子と巧がどういう行動に出るのか気になるところ。
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