
倉田莉絵は、「自分の人生は、自分でつくるものだ」と
東京に出てきた大学一年生。
その気の強さから、バイト先では頼りにされるものの、
恋人とは長続きしない。
そんな彼女の前に現れたのは、
背が高く綺麗な目をした無口な男の子、谷耕太。
中学2年生だった—。
大人気純愛小説『はじまりの空』に続いて発表され、
恋愛を超えた絆に読者の心がふるえた愛の物語が、
待望の文庫化。
莉絵は同じマンションに住む文子さんと親しくなり、
その文子さんの旦那さんが転勤することになってしまい、
文子さんの遠縁の耕太と一緒に暮らしてくれないかと頼まれる。
全くの他人の耕太と一緒に暮らすことにした莉絵。
耕太のこれまでの境遇は想像もつかないようなものだった。
中国人の母親は死に、父親は失踪。
一緒に住んでいた伯父さん夫婦は強制送還された。
親戚をたらい回しにされ、
今まで住んでた家では酷い扱いを受け、
耕太は人に対して怯え、いらなくなったら売られると思ってる。
そんな耕太を莉絵は守っていこうと決める。
耕太が少しずつ心を開き、お互いの理解を深めて行く。
でも耕太は、今までの経験から、
結局は莉絵もいつか目の前から
いなくなってしまうんじゃないかという思いが・・・
そんな時、ある事件が起こり、
これまでの2人の関係が変化して行く。
お互いを必要とする存在。
お互いを守ろうとする存在。
莉絵と耕太はかけがえのない人に出会ったんじゃないかと、
そんな風に思える作品です。
莉絵と暮らすようになってから、
耕太の周りに、いい大人たちがいて本当に良かったと思います。
それ以前の耕太のことを思うと・・・
切ないというか、いたたまれないというか・・・
悲しいですね。
耕太が会ったお兄さんの言葉が印象的でした。
「人生は存外帳尻が合って行くものなのだよ。」
帳尻か。
耕太には本当に幸せになってもらいたい。
莉絵のバイト先の人たちもみんないい人でした。
理解のある大人がいるって大きいなと。
それにしても莉絵はスゴイと思った。
耕太と一緒に暮らすと決めた莉絵は19歳。
19歳でそんな決断が出来るのか?
兄弟でも親戚でもない他人の子を引き取って暮らすなんて・・・
あたしだった出来ないな、きっと。
この2人にはずっと一緒にいてもらいたい気がします。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます