Episode11(最終話)
『硝子のハンマー・後編』
「ここには一見、密室なんか存在しないかのように見えます。
でも、このガラスの密室は閉じ込められた本人が、
無意識のうちに作り上げたものです。」
「目の前に広い世界が広がっていても、
そこにあるものに触れることは決して出来ません。
彼は、この密室を私たちの残して、
突然姿を消してしまいました。」
「さて、彼は今、一体どこにいるのでしょうか?」
純子と芹沢は事件を整理する。
「どんな人なんだろう?
よく考えたら榎本さんのこと、
何も知らないんですよね、私たち。」
「君は、彼が犯人じゃないと思うか?」
「・・・・・はい。 絶対に違います。」
純子の携帯が鳴る。
久永が犯行を認めたため榎本が解放されたとのこと。
久永に面会する純子。
自分は眠っていたから、眠っていた間にやったと言われたら、
そうかもしれないと久永。
副社長に会う純子と芹沢。
純子は久永は長期間拘禁に起因する精神的ストレスで、
一時的な錯乱状態に陥ってる可能性があると。
何が真実なのか分からなくなってきたと副社長。
純子と芹沢は榎本の仕事場へ。
社長が狙撃事件を自作自演したのは、
何かを部屋に隠したためじゃないかと榎本。
セキュリティを厳重にしてそれを守ろうとした。
榎本が社長の自宅のセキュリティーシステムを
請け負ったのは5年前。
その直後、愛人に現金類を盗まれる事態が起き、
社長は自宅に隠していた何かを会社に移し、
5年前に会社の12階のセキュリティを強化した。
その何かはまだ分からないが、
ひとつだけハッキリしたことがあると榎本。
「久永さんは、無実であるということです。」
榎本と社長の因縁を知っていたのは、
セキュリティ会社の人間と純子だけ。
同僚と純子にはその情報を警察に知らせるメリットがない。
となると、犯人が自分と純子の会話を聞いていたのかもと。
犯人は随分前に社長室に盗聴器を仕掛けて、
情報収集をしていたと思うと榎本。
「じゃあ、事件が起きる前に
犯人は既に社長室に侵入してたってことですか?」
「それだけじゃありません。
犯行と同時に盗聴器は引き上げましたが、
犯人はその後も真相が発覚することを警戒し、
様子を窺っていた。
そして僕と社長のことを調べ上げ、
面倒な事態になる前に警察に電話をかけたんです。」
久永は拘留中だから匿名で電話をかけることは不可能。
誰か他に榎本に罪を被せようとした人間がいる。
副社長は久永が社長を殺したのなら、
心神喪失の線でダメージを最小限に
止めたいと考えていたが、
それがもし間違いなら真犯人を見つけなければと。
そのための協力は惜しまないと言い、
榎本に密室の解明を続けてくれと。
榎本は第一発見者の窓拭きの男を思い出し、
その人物に話を聞きたいと言う。
会社へやって来た榎本と純子。
そこへ窓拭きスタッフの佐藤学がやって来る。
「では、早速ですが、
佐藤さんは窓拭きの仕事に取り掛かろうとした際に、
社長の遺体を発見されたんですよね?」
遺体を発見したのは窓からで、
ソファの陰にうつ伏せで倒れていたと佐藤。
榎本がそこからは見えないんじゃないかと言うと、
ゴンドラで上がって行く時に見えたとのこと。
脚立に登って見てみる榎本。
「確かに見えますね。
それで窓は拭かずに屋上へ引き返したんですね?」
「勿論です。 窓拭きどころじゃありませんから。」
純子の携帯が鳴り、電話をしに部屋を出る。
「まさか中に入る時が来るとは思わなかったな。
いつも外からのぞいてたけど、
ガラスを隔てた向こう側は
自分にはなんの関わりもない遠い世界だと思ってたから。
さっきの弁護士先生とだって、
こんな特殊な状況じゃなければ、
きっと一生言葉を交わすことなんてなかっただろうし。
本来はただガラス越しに眺めてることしか
出来ない存在なんですよ。
あなたもこっち側の人間ですよね?」
そこへ純子が戻って来る。
榎本の仕事場へ。
「我々は大事な容疑者をひとり見逃していたようです。」
遺体がソファの陰で見えないのではと質問した時、
佐藤は上がって行く時に見えたと言ったが、
佐藤が遺体を発見したのは窓拭きをする前。
とすると、遺体が見えたのは上がって行く時ではなく、
下がって行く時じゃないとおかしいのではないかと。
でも下がって行く時は意識してないから
気付かないんじゃ?と純子。
「もしそうだとしたら、
窓拭きを終えてから上に昇りますよね?
一度、下に降りてから、
何もせずにすぐに上がるというのは矛盾しています。」
様々な検証を行ってみたが、
やはり介護ロボットを使って
犯行を行ったとしか思えないと榎本。
それを聞き頓珍漢な推理をする純子に、
もう考えるなと芹沢。
犯人はとてつもなく用意周到だと、
介護ロボットを犯行に使ったのなら、
その性能を調べ上げて計画に組み込んだんだろうと。
「どういう意味ですか?」
「即ち、ロボットには
ロボットに出来ることをさせたということだ。」
そこへ里奈から電話が入り、副社長から電話があったと。
事務所に戻った芹沢。
副社長はあれから気になって
過去の会社の経理を徹底的に洗い直してみたら、
不明瞭な金の流れが見つかったと言う。
研究費の水増しなどの形で10年以上に亘り、
組織的に横領がされていたようだと。
総額は6億円近く。
久永も関与していたと思われるが、
疑惑がもたれている伝票は、
久永が決済出来る額を超えているとのこと。
「亡くなった社長が行っていたとしか考えられません。」
純子が久永に面会。
他愛のない話をしながら、メモを見せる純子。
『亡くなった社長は、
総額6億円に及ぶ横領を行っていましたね?
あなたは10年間、それを容認してきたんですか?』
驚く久永。
『横領が事実なら、言葉に出さずうなずいて下さい』
頷く久永。
隠匿方法もメモで聞く純子。
俯いてしまう久永。
「久永さん。 ホントにこれでいいんですか?
あなたがもし、睡眠障害の病気ではなく、
社長を殺してなかったとしたら?
もし物取りが目的で社長が他に人に
殺されていたとしたら?
お願いします。 気をしっかり持って下さい。
なんとしても真犯人を見つけ出すべきです。
そのためにはホントのことを知る必要があります。
社長に恩返ししましょう。」
指で貴金属だと示す久永。
純子は芹沢に報告。
6億円は貴金属に変えられていたが、
隠し場所までは知らないらしいと。
社長が窓ガラスを防弾ガラスにしようと思ったのは、
窓から誰かが侵入してくる可能性を考えたからじゃないかと。
部屋に隠してあったものを窓の外から目撃された?
純子は窓拭きの佐藤を調べることに。
芹沢は隠し場所を確認することにした。
純子は佐藤の会社へ聞き込み。
けど佐藤の情報はこれといってなかった。
壁に貼ってあった写真に目を留めた純子。
佐藤を確認するが、ちゃんと写真に写ってるのは
1枚もなかった。
純子は芹沢に報告。
あれはどう見てもワザと写らないようにしてると思うと。
素性が明らかになると困ることがあるのでは?
鴻野を訪ねる芹沢。
佐藤の本籍を教えて欲しいと言うが教える気はなさそう。
「鴻野さんにはそれだけの貸しがあると思うんで
お願いに来たんです。
過去に2件ほど密室事件の捜査協力をしたはずなんですが。
あれ? お忘れですか?
なのにあなたは榎本を参考人どころか
被疑者のような扱いをした。
恩を仇で返すとはこのことだ。
その気になればね、違法な身柄拘束で
国家賠償請求をしたっていいんですよ?
ま、そんなことはしたくありませんがね。」
鴻野は本籍地を教えてくれた。
そして資料を見せる。
美術館や宝石商で起きた窃盗事件の記録だと。
どこも厳重な警備システムを備えていたが突破された。
これらの事件の全てに共通することがある。
事件が起きた日の就業間際に
現場を訪れた榎本の姿が監視カメラに映っていると。
ただし他にはなんの痕跡もない。
指紋も検出されなかった。
「最新鋭の警備システムを
難なく突破できる人間なんて、
そう多くはいないんじゃないですか?」
芹沢は資料を置いて帰って行く。
一方、純子は佐藤の故郷へ。
実家のあった場所は更地で売りに出されていた。
学校へ行き先生に話を聞くと、
佐藤は入学して間もなく引きこもりになったそう。
当然卒業出来なかったから、
卒業アルバムにも写っていない。
元同級生の家を周り聞き込みをする。
1人だけ知っていると言う人が。
親同士が仲良くて小さい頃はよく遊んでいたと。
けど引きこもりになってからは連絡も取っていない。
そして入学式の集合写真を見せてもらう。
佐藤を指差して聞いた純子だったが、
その人は違うと言われる。
佐藤学は全くの別人だった。
純子たちが知っている佐藤は椎名章だと。
純子は芹沢に報告。
佐藤こと椎名は高校生の時に
父親が共同経営者に裏切られて会社が倒産。
両親が多額の負債を背負ったことを苦に、
椎名を残して心中自殺していると。
椎名はその後ヤミ金業者に追われ、
ある時、取り立て屋の男をナイフで刺し行方不明になった。
ヤクザに追われる身になった椎名は、
仕方なく佐藤に成りすますことにした。
当時は今ほど管理も厳しくなかったから、
簡単に住民票が取れたはず。
住民票があれば免許が取得出来、
身分証明が可能になるとのこと。
もし椎名が犯人なら、怨恨ではなく物取りが目的?
問題は殺害方法。
社長の部屋が侵入不可能だったとすれば、
どうやって殺したのか?
榎本は介護ロボットを使ったはずと言っていたが・・・
けどロボットのセーフティープログラムは万全。
非介護者を攻撃するような動作は一切出来ないし、
わざと床に落とさせる操作も受け付けない。
障害物をセンサーが察知して減速するから、
壁に衝突させることも不可能。
その時、里奈がコーヒーを持って部屋に入って来る。
受け取ろうとした純子がコーヒーカップを落としてしまう。
それを見た芹沢が何か閃いたらしい。
芹沢と純子は榎本の仕事場に。
芹沢が興奮しながら榎本に報告する。
「それを見た瞬間さ、空から閃きが降って来たんだよ。
この方法だったら、殺害出来ると思わない? どう?」
「お見事です。」
「凄い。 よし。 やった。
今回は俺が密室の謎を解いちゃったよ。
悪いな、榎もっちゃん。」
芹沢と純子は早速副社長や岩切に説明。
犯人は社長室に侵入せず、
遠隔操作によって殺人を行ったと。
介護ロボットでダミー人形を抱え上げさせる芹沢。
人形が上がり、上にかかっていた毛布が落ちる。
対象となるものは床に落とさない。
けどこの場合、対象は抱えられている人形で、
毛布はそれに含まれない。
事件当時、社長はカウチで人形と同じように寝ていた。
犯人はロボットを使ってカウチごと社長を持ち上げた。
岩切にやってみるよう言う芹沢。
岩切は渋々やってみるが・・・エラーになり全く動かない。
アームの長さを越える物体は持ち上げられないらしい。
因みにアームの長さは70cm。
気まずい空気が・・・
「どうも。 お騒がせして申し訳ありませんでした。」
そのことを榎本に電話で報告する純子。
話を聞きながら榎本は指をすり合わせ・・・
「僕も今からそちらへ伺います。」
そしてまた社長室。
社長は何故介護ロボットを社長室に置いていたのか。
「例えば1人では持ち上げられない重たい物を
動かすためだったとは考えられないでしょうか。」
社長室にある物で奥行きが70cm以下の重たい物は?
ロボットにキャビネットを持ち上げさせる榎本。
そして底を見て手を入れると・・・そこには隠し扉が!!
ロボットは社長にとってはフォークリフトの代用品だった。
しかし中身は既に空っぽ。
6億円相当の貴金属類は犯人に盗まれたよう。
その時、部屋に風が吹き込む音が。
芹沢が言っていた言葉を思い出し、
榎本の鍵が外れた。
「密室は破れました。」
けど明日話すと言い、芹沢が荒れる(笑)
翌日。
椎名の後をつける榎本。
その時、純子と芹沢は事務所で仕事中。
椎名が清掃の仕事をしているところへ現れる榎本。
「僕の情報を警察に流したのはあなたですね?」
「なんの話ですか?」
「あなたには感心しましたよ。
密室の解明にここまで手こずったのは初めてです。
でも、漸く答えを見つけることが出来ました。」
「申し訳ありませんが、
何を言われているのかさっぱり分かりません。」
「では、分かるように説明しましょう。
話は少しばかり複雑です。」
椎名は窓拭きの最中に社長が
6億円相当のダイヤモンドを
部屋に隠し持っていたのを目撃。
なんとかそれを盗めないかと考え、
情報収集のために盗聴器を仕掛ける。
清掃に来た際はいつも屋上と
内階段のドアを開けるマスターキーを警備員から渡される。
清掃の次巻はたっぷりあるから、
仲間が作業している間に抜け出し、
合鍵を作ることは充分に可能。
そして合鍵を使い深夜の役員フロアに侵入。
監視カメラは夜間はセンサーで作動する
アラーム録画設定になっていたため、
靭帯から発する赤外線をブロックする素材で
全身を包んでおけばセンサーを潜り抜けられる。
そして盗聴器を仕掛け、時間をかけて
様々な情報を集めていった。
社長が昼食後コーヒーに佐藤を入れて飲むこと、
社長のコーヒーは専用の粉を使ってること、
毎日必ず食後に仮眠を取ることなど。
ダイヤがどこに隠されていたかは、
ロボットが上げる音を耳にすれば、
隠し場所を推測するのは難しくはなかっただろうと。
そしてダイヤを奪おうと思った矢先、
社長が狙撃事件をでっち上げ、
警備システムが更に強化されることになった。
だから榎本が工事に取り掛かる前、
つまり事件前夜にダイヤを盗み出し盗聴器を回収した。
その頃、芹沢と純子は榎本から連絡が来なくて
気になって仕方がない。
我慢出来なくなって純子が電話すると・・・
「おかけになった電話番号は
現在使われておりません。」
榎本と椎名。
「学歴のない一清掃員が、
そんなに手の込んだこと考えつけると思いますか?
もう終業時間なんで帰らせてもらいます。」
「ダイヤを処分して家に帰るんですか?
あなたがこっから出てくなら、
僕は警察に通報しなくてはなりません。
あなたは逮捕され、
アパートに家宅捜索が入ることになります。」
「いい加減にして下さい。
なんの証拠があってそんな―」
「数百個のダイヤとなると隠し場所は限られてくる。
でもホントはどこかに埋めてしまうのが
一番安全なんですが、
そうは出来ないのが人間の性です。
どんなに辺ぴな場所を選んでも、
どんなに深く穴を掘っても、
誰かに見つけられるんじゃないかと思うと、
夜も眠れなくなる。
だからどうしても手元に置いておきたくなるんです。
今、あなたが恐れているのは、
警察よりも火事や泥棒でしょう。 違いますか?」
「あんたどうかしてるんじゃないのか?」
「玄関脇の古い洗濯機のことですが。
あれだけ古いものだと盗まれる心配ありませんよね?
ダイヤの包みを内槽と外槽の間に押し込めば、
まず見つかることはないし、取り出すのも困難です。
しかも洗濯物を入れ、水を溜めておけば
カムフラージュと火災よけの一石二鳥になる。
なかなかよく考えたと思いますよ。」
「そんなのありかよ? うちに勝手に入ったのか?」
「1つだけ分からないことがあります。
あのダイヤは社長が横領したものですから、
たとえ盗まれたとしても公表することは出来ません。
あなたもおそらくそれを察していたはずです。
では何故大変な苦労をしてまで
殺す必要があったのでしょうか。」
「殺してない。 俺は殺してない。
ダイヤを盗んだのは事件が起きる前の晩だ。
当日はあの部屋に入れなかった。
社長を殺すことは不可能だ。」
「いいえ。 可能です。
ダイヤを盗みに入った夜に
全ての順部は整えられていたんです。
事件当日、あなたは清掃開始の時刻より
一足先にビルを訪れ、ゴンドラに乗って12階へ降りました。
昼食を終えた社長は深い眠りに落ちていた。
コーヒー用の砂糖の中に睡眠薬が仕込んであったからです。
社長室に置かれた介護ロボットはまだ開発中のため、
市販のラジコン用コントローラーを使って動かしています。
盗聴で情報を仕入れていたあなたは
コントローラーを持参し、
ロボットに社長の体を持ち上げさせ、
窓のすぐ内側まで運んで来させた。」
ただそれだけ。
介護ロボットに出来ることをやらせただけで充分だった。
社長室の窓が何故かガタついていて、
すぐに理由は分かったと榎本。
窓ガラスにほんの僅かだけ
可動するよう細工がしてあった。
全く遊びがない状態だと力が通り抜けられないからと。
ビリヤードのコンビネーションショットであるデッド・コンボ。
キューで突いた手球はポケットに落とすターゲットの球に
直接触れることなくその手前に接している的球に当たるだけ。
しかし手球の持っている運動量は的球を通り抜け、
ターゲットへと伝達される。
これを利用し、社長の頭部は窓ガラスの内側に
押し付けられているところに、
外側から重量のある鈍器でガラスを思い切り叩く。
するとデッド・コンボと同じ現象が起こる。
手術を受けたばかりの社長には致命的だったが、
即死には至らなかった。
その後、椎名は屋上へと戻り、
後から来た仲間と通常通り業務を開始。
そして偶然遺体を発見したように装った。
ところが、僅かに意識が残っていた社長は、
最後の力を振り絞りキャビネットへ向かって這った。
死の間際までダイヤに執着していたのだろうと。
椎名は一種運遺体が消えたと思って焦った。
だからゴンドラで上がって行く時に
遺体を見つけたんじゃないかと。
屋上で大きな鈍器を隠せる場所は1ヶ所しかないと。
給水タンクの中。
椎名が使ったボウリングの球を見つけたと言う。
仲間の清掃員が来る時間になってしまい、
タンクに投げ入れるしかなかったのだろうと。
「そうだよ。 俺がやったんだよ。
なんで殺す必要があったかって?
教えてやろうか?
俺の目的はダイヤなんかじゃない。
最初からあいつを殺すこと。
復讐することが目的だったんだ。」
社長は椎名の父親を裏切ったと。
共同経営が傾いた時、会社の金を持ち逃げし、
両親を死に追い込んだ。
殺して何が悪いと椎名。
「では、復讐計画の途中で
ダイヤを発見したということですね?」
「あれは予想外の出来事だった。
どうせ殺すなら序でにあのダイヤも
もらっておこうと思ったんだ。
あおうすれば世界が変わる。
新しい人生を始めることが出来る。
ダイヤを手にすればガラスの向こう側へ行ける。
高級なスーツを着て、磨きぬかれた革靴を履いて、
金がなければとても手の届かないような女を
口説くことだって出来る。
君のことは調べさせてもらったよ。
君になら分かるだろ?俺の気持ちが。」
「それでガラスは越えられたんですか?
復讐を果たしダイヤを手に入れて、
あなたは解放されたんですか?
僕にはそうは見えません。」
「君にはどう見える?」
「前後左右、それから上下まで
ガラスに囲まれているように見えます。
僕はガラスの箱に閉じ込められるのはごめんです。
たとえ向こう側に行けないとしても、
自由でいたいんです。」
榎本の仕事場を訪ねる純子と芹沢。
榎本はおらず、鍵のコレクションもなくなっていた。
そこへ鴻野から電話が入る。
椎名が自首して来たと。
復讐のために社長を殺し、本人の供述通り、
自宅の洗濯機からダイヤも見つかったとのこと。
ただひとつだけ気になることがあると・・・
副社長と話す芹沢たち。
久永の復職は認められなかったが、
依願退職扱いとして規定の退職金を支払うそう。
横領の件は社長の従犯にすぎないからと。
純子と芹沢。
「あれからもう3日ですよ。
榎本さん何処にいるんでしょうね?」
そこへ公衆電話からの着信。
「すいません。 連絡が遅くなりました。」
今空港にいるとのこと。
「えっ? 旅行にでも行くんですか?」
「はい。 臨時収入が入ったもので。」
純子から携帯を奪う芹沢。
「おい、榎本。 聞きたいことがあるんだ。」
「なんでしょうか?」
「椎名章の部屋から押収された
6億相当のダイヤのうち、
約1億円分がホワイトジルコン。
つまり偽物だったそうだ。」
「そうですか。」
「お前まさか。」
「なんのことでしょう。
社長が業者に騙されたんじゃないですか?」
携帯を奪い返す純子。
「あの。 旅行って何処に行くんですか?」
「さあ。」
「いつ帰って来るんですか?」
「さあ。 フライトの時間なんでもう行きます。」
電話が切れてしまう。
「なんだって?」
「さあ。」
榎本がニヤリと笑う。
やはり榎本は泥棒なのか~!?
なんと気になる終わり方。
コレクションの鍵を持って行ったってことは、
会社は辞めたってことなのかしら?
ん~・・・映画化とかありそう。
結構楽しめたドラマだったな。
嵐の歌も良かったし、大野くんの演技もさすがだった。
ドラマが終わったから原作でも読んでみようかな~。
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