第5話
『全部脱いで! ・・・承知しました』
翔は母親が川に入って行くのを、
必死で呼び止めている夢を見る。
目が覚めると三田が起こしに来ていた。
翔が下へ行くと既にみんな朝食中。
希衣が昨夜おねしょをしたと聞き、
おまじないを教えてやると翔。
しかし無視されてしまう。
「お姉ちゃん。 お父さん、いつ帰って来るの?」
「だから・・・言ったでしょ。
これからは兄弟4人で暮らすって。
だから希衣もしっかりしないとね。」
翔も頑張ろうと張り切って言うが、
海斗は無視して結に志望校を決める三者面談があると言う。
そんな海斗に翔は私立に行くのやめたらと言い、
言い争いになってしまう。
その時、三田が声をかける。
「みなさんに1つ質問があります。
これからは、どなたの命令を
最優先にすればよろしいでしょうか。
今までは旦那様でしたが、
みなさんの要望が違う場合、
混乱してはいけませんので。」
「別に俺でもいいけど。 長男だし。」
「はぁ? 普通お姉ちゃんでしょ。 一番上なんだし。」
そこでまた言い争いになる翔と海斗を結が止める。
「三田さん、取り敢えず意見が違った場合は、
相談しますから。 みんなで。」
「承知しました。」
朝に隣の皆川が回覧板を持って来た。
今週自治会があるからと言い、
ずっと欠席してるから今度は出るように
恵一に念を押すからいるかと訊ねる。
すると三田が恵一は出て行ったと言い、
昨夜の希衣の騒ぎのことなど話してしまう。
慌てて結が止めるがもう遅かった。
「あのババア、あることないこと言いふらすよ、また。」
「余計なこと考えないで行くよ。 遅刻するから。」
結と海斗が急いで出て行く。
「三田さん! あのババアぶっ殺して来てくんないかな。」
「承知しました。」
「ああ~っ! 冗談だから。」
行こうとした三田を止める翔。
なんでもハイハイ言って、
やっぱりおかしいと三田に言う。
「笑っちゃいけないと思ってるって聞いたけど、
一体何があった訳?
ちょっと笑ってみてよ。
言われたらなんでもやるんだろ?
これは業務命令だからさ。」
「申し訳ありませんが、出来ません。」
「なんでだよ。」
「どうしてもやれとおっしゃるのなら、
お暇をいただきます。」
「べ、別にいいけど。」
翔は部活でイライラ。
厳しすぎると注意され、更にイライラ。
父親が出て行ったからって当たるなと言われ、
なんで知ってるんだと翔。
隣のお喋りババアが言いふらしていた。
帰って来たら家の前に結と彼氏がいて、
彼氏がキスしようとした時、
ワザと声をかける翔。
彼氏は帰って行く。
こんなとこで何やってんだとまたイライラ。
そこへ三田と希衣が帰って来た。
「三田さん。
隣のババアに文句言って来てくれないかな。
うちの悪口散々言ってるみたいだからさ。」
「承知しました。」
「ちょっとやめて、三田さん。
いいから希衣連れて帰って。」
「承知しました。」
こんなことしたら益々面倒なことになると結。
そこに隣の皆川登場。
余計なこと言うのやめろと翔が言うと、
事実でしょとまたネチネチ文句を言う皆川。
家に入ってきてからも喧嘩を続ける結と翔。
「ねえ! もう余計な問題起こさないでくれる?
そうでなくても今大変なんだから。」
「だったら男とイチャイチャしてんじゃねえよ!
この前は父親に俺たちの面倒見るとか
偉そうなこと言ったくせに。」
言い合いしていたしていた翔が海斗にも話を振るが、
海斗は塾があるからと行ってしまう。
「ねぇ、お姉ちゃん。 家庭崩壊って何?」
「え? なんでそんなこと聞くの、希衣。」
「翼くんが言ってたの。
希衣ちゃんの家は家庭崩壊なんだよって。」
結が困っていると三田が答えた。
「家族に問題や欠陥があって、
メチャメチャになっている家のことを、
そうではない人達が、同情したり、
哀れんだりする時に、家庭崩壊と呼びます。」
「三田さん。 まとめてぶっ殺して来てよ! ババアと。」
「承知しました。」
持っていた包丁を構え、行こうとする三田。
「三田さん、行かなくていいから。
三田さん。 これからは私の言うことを
最優先にしてもらえますか?」
「承知しました。」
またイライラして出て行く翔。
結は三田に相談するが、
いつものようにあなたが決めることだと言われる。
「またそれ? そんなこと言わないで、
どう思ってるか教えてよ。
色々考えてるんでしょ? 本当は。」
「別に何も考えてません。」
モデルハウスで働く恵一のところに、
元部下が冷やかしにやって来る。
不倫相手に電話するも着信拒否。
仕方がなくうららに会う恵一。
結たちのことをどうするのか聞かれる。
うららに希衣に好きか聞かれた時、
なんであんなこと言ったのかと。
ちゃんと言ってあげれば良かったのにって・・・
けどいつまで経っても煮え切らない恵一。
「お義兄さんはさ、正直すぎるんだよ。
父親なんて、みんな嘘ついたり、
いい父親を演じたりするもんなんじゃないの?」
「うららちゃんのお父さんに教えて欲しいよ。
どうしたら父性っていうか、
父親の愛情が持てるのか。」
「なんだ? それは。」
義父が登場した!
店で騒ぎまくる義父。
そしてサインしろと出した書類は、
養子縁組の書類だった。
恵一に迫る義父に、少し時間を下さいと恵一。
しかし聞く耳持たない義父は更に迫る。
サインをしようとして手が震える恵一。
「すいません」と言い店から出て行く。
追いかけて来た義父は転んでしまう。
謝ってそのまま逃げた恵一。
翔は部活でみんなからついていけないから、
キャプテンを辞めてくれと言われる。
こんな部活こっちから辞めてやると出て行く翔。
ゲーセンに行きイライラして暴れ、
店員に取り押さえられる。
恵一が警察に引き取りに行くと三田がいた。
保護者に連絡しろって言ったら、
翔が家政婦を呼び、それでは家に帰せないと言ったと。
警察に謝る恵一。
ゲーセンの方も穏便に済ませると言ってるから、
今回はキツく叱っておいてくれと。
取り敢えず警察から出て来た。
翔に謝る恵一に、そんなんじゃねえと。
バスケのユニフォームをゴミ箱に捨てる。
もうバスケは辞めたと。
タバコくれと、自分で買うからカード貸してと翔。
「バカなこと言うなよ。 まだ未成年だろ?」
「じゃ、教えろよ!
なんでタバコ吸っちゃいけない訳? 未成年が。」
「え? いや、だから・・・それは・・・」
困って三田を見る恵一。
「未成年の喫煙は、成長を妨げ、頭も悪くなり、
いつまで経ってもオトナになれないくせに
一人前のふりをする弱い人間を育てるだけです。」
「別にいいじゃん。 どうせ頭悪いし。
俺がどんな人間になろうが、
どうでもいいんだろ、あんたは!!」
「あんた?」
「なんだよ。 お父さんって呼んで欲しい訳?
・・・ったく、なんであんたみたいな奴
好きになったんだよ、お母さんは。
あんたなんかと結婚しなきゃ、
幸せになれたんだよ!!」
ゴミ箱を蹴っ飛ばして行ってしまう翔。
「三田さん。 すいませんが宜しくお願いします。
「何をですか?」
「えっ? ああ、いやだから・・・翔たちのこと色々と。」
「色々と申されますと?」
「あぁ・、いやだから・・・
また何かあったら連絡下さい。」
「承知しました。」
三田と帰って来た翔。
結にどうだったか聞かれ、答える三田。
なんだかんだ結に言われ、イライラの翔。
冷蔵庫からビールを取り出す。
結と揉めて、開けたらビールが噴き出した。
黙ってタオルを差し出す三田。
「俺の気持ちなんか・・・分かるかよ、お前らに!!」
学校で彼氏に相談する結。
帰りにじっくり考えようと誘われ、
自分のことを本当に好きかと聞く結。
先輩は私とキスとか出来れば
それでいいんじゃないかと。
「私は好きな人が苦しんでたら、
一緒に悩んだり、その人のために
一生懸命頑張るのが愛っていうか・・・
付き合うってことだと思う。」
「一体なんなんだよ。
お母さん死んでから大変なのは分かるけどさ、
そっちだって俺の話まともに聞いてくれたことないだろ。
2人でどっか行きたいとか将来何するとか。
今の俺たちは付き合ってるって言えんのかよ。」
そう言い出て行く彼氏を追いかけ謝る結。
学校を休んでゲームをしてる翔。
何か用はないかと三田が聞くと、
ゲーム付き合ってと。
三田はゲームも強かった!!
「もういい」と言う翔に、用がなければ掃除を続けると三田。
「ちょっと待てよ。
頼んだらホントになんでもやってくれるんだよね。」
「私に出来ることなら。」
「じゃあ、やらしてよ。
誰もいないんだしさ、いいだろ?
なんだよ。
そういうのは出来ないんだ、やっぱ。」
「承知しました。」
「え?」
「何から致しましょう。」
「え?」
「キスをしましょうか?
それとも脱ぎましょうか?」
「じゃあ、脱ぐ方で。」
「承知しました。」
ホントに脱ぎ始める三田にやめろと翔。
そこへ結が帰って来た。
どういうことかと聞くと、翔の言ったことを説明する三田。
服を着るよう言う結。
結は翔に文句を言う。
「ふざけんじゃねえよ!!
自分は家族のために何もしてないくせに!」
当り散らし物を投げつける翔。
母の遺影が落ち、ガラスが割れてしまう。
「俺ばっか責めんなよ。
家がこんなことになったのは、
父親とか、お母さんが自殺するからいけないんだろ。」
部屋から出て行く翔。
結は三田に自分が来なかったら、
翔とそういうことするつもりだったのかと聞く。
「はい」と三田。
結は今日遅くなる。
泊まるかもしれないと言い出て行く。
恵一は元不倫相手を待ち伏せ。
ストーカーみたいと言われる。
そこまで言われても縋る恵一。
そこにあの部下が登場し、今の彼氏だと・・・
外にいた翔を見て、
皆川が声をかけまた嫌味をかまし、
子供と家に入って行く。
そこに三田がいて帰るところだった。
「三田さん。頼みがあるんだけど。
この家、メチャメチャにしてくれないかな?」
「それは、業務命令でしょうか?」
「勿論。」
「承知しました。
それで、何を致しましょう。」
しかしいい案が浮かばない。
「あぁ~もう!! どうすりゃいいんだよ。
なんだよ、どうせ俺のこと
どうしようもないとか思ってんだろ?
こっちが散々悩んでんのに、
バカにしたような顔しやがって。
お前なんかに俺の気持ちが分かるかよ!」
「分かります。」
鞄の中からスプレーを取り出し、落書きをする三田。
三田が書いた言葉は『家族を守りたい』
そこへ皆川が出て来た。
恵一が家に駆けつけるとパトカーが止まっていた。
警官に息子に注意しておくようにお願いしたじゃないかと。
「家政婦さんに聞いたら、
息子さんに命令されたって言うし。
一体どうなってるんですか? お宅は。」
答えに困る恵一。
「この家は全てが異常なんですよ。」
好き勝手文句を言いまくる皆川に
食って掛かる翔。
そういう態度なら被害届出すと言う皆川を、
お隣同士だし、相手は未成年だからとなだめる警官。
「なんでそんなことしなきゃいけないんですか?
捕まった方がいいんですよ、こんな子。
ご近所のためにも早く警察連れてって下さい。」
警官が仕方なく翔を連れて行こうとすると、
恵一が土下座して謝る。
「悪いのは全て私です。
責めるなら私にして下さい。お願いします!」
翔は長男として一生懸命だっただけなんだと。
誰よりも家族のことを守りたいと思っているんだと。
必死に謝る恵一。
警察が引き上げ、
壁をキレイにすればいいということになったらしい。
「でもさ、これって特殊な洗剤じゃなきゃ
落ちないんじゃないの?」
「あります。」
鞄から洗剤を出し、恵一、翔、海斗、希衣、
三田で落書きを消す。
「昔、俺、お母さんに
翔がいればうちは絶対大丈夫ねって言われたんだ。
でも・・・お母さんの期待に応える自信なんか全然ないよ。
みんなのために何かしたいけど、
どうしていいか全然分からない。
なんとかしなきゃって焦れば焦るほど、
全然うまく行かない。」
「翔ちゃん。」
希衣が翔の手を取る。
「希衣が守ってあげるからね、いつでも。」
その時、翔のお腹が鳴った。
「あ~あ。 いい雰囲気が台無しだよ。
三田さん、これ終わったら夜食か何か出来ない?」
「出来ます。」
ラーメンを作ってくれた三田。
みんなで食べてたが、希衣が手をつけない。
恵一がお腹空いてないのか聞くと、
寝る前に食べるとおねしょしちゃうからと。
あんまり気にするなと。
翔は3年生までしてたんだからと。
「余計なこと言うなよ、お父さ・・・」
お父さんと言いそうになり寸止めする翔。
恵一はちょっと嬉しそう。
海斗には三者面談でてもいいかと聞く。
「別にいいけど」と海斗。
「三田さん、結にも言っといてもらえませんか。
自治会も俺が出るって。」
「それなら直接おっしゃった方が。」
帰って来ていた結。
誰が帰って来ていいって言ったのかと結。
翔が説明しようとするが、結は取り合わない。
「いいんだ」と言って帰ろうとした恵一は、
思い出したように希衣に石を見せる。
「お父さんの石!」
「うん。三田さんが見つけてくれたんだ。
これ暫くお父さんが預かっていいかな?
いつかその缶の中に一緒に入れてもらいたいからさ。」
「いいよ。」
「ありがとう。じゃあ。」
帰ろうとする恵一に何か言いたげな翔。
翔の部屋に洗濯物を持って来た三田。
捨てたはずのバスケのユニホームもあった。
「これ拾って来てくれたの?」
「他にご用がなければ失礼致します。」
「三田さん! 色々とごめん。
それと・・・ありがとう。」
「それは、お父様に言うべき言葉だと思います。
それから・・・」
超過分の請求書を渡し、帰って行く三田。
翔は部活に行き土下座。
みんなに謝った。
紹介所へ紹介手数料を渡しに行った三田。
またモナカを出されるが断る。
「あのさ、ちょっと。
あの・・・何か・・・あそこの家の長男、
何か大変だったみたいね。」
「いえ、別に。」
「でもさ、私ね、あの子タイプなのよ。
私ああいうの大好きなのよ。
あら、あんたの息子が生きてたら
確か同い年だよね?
ん? あら私また余計なこと言っちゃったかしら。
ごめん。」
「失礼します。」
三田はまた遊園地にいた。
家族連れを見て、空を見上げる。
やっぱり三田さんは子供を亡くしてたか!!
けど細かいことはまだ分からず・・・
気になるわ。
恵一はよく分からんね。
石を缶に入れてもらいたいと思ってるのに、
不倫相手だった女には未だ未練タラタラ。
もう無理だろ。
しかしあの女の新しい彼氏、
恵一の部下だったやつだけど、イヤなやつだよね。
ムカつくわ~。
恵一の落ちぶれた姿をわざわざ見に行って、
おまけに嫌味まで言っちゃってさ。
ちっちゃい男。
家族は未だ崩壊中だけど、
今回ちょっと修復に向かったかしらね~。
難関は結だね!!
次回は結がメインっぽいね。
三田さんがどうするのか楽しみだ~。
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