Nov. 10 2005 空飛ぶ映画とスパークリングワイン

2005年11月10日 | 風の旅人日乗
11月10日 木曜日

5時12分逗子発の
横須賀線総武線直通快速
「エアポート成田」に乗るために
自宅を4時45分に出る。

7時40分に成田空港に着き、
エールフランスのカウンターで手続き。

替えのズボンを持ってくるのを忘れたため、
空港内でジーンズ購入。
裾上げに時間がかかり、
通関後出発ゲートまて走り、
パリ行きに滑り込みセーフ。

昨夜からあまり寝てなかったので
最初の食事を食べたら
すぐに寝ようと思っていたのに、
ビデオのプログラムには、
かねてから観たかった映画が
ずらりと並んでいて、寝る暇がない。

映画と映画の合間に
眼下を見下ろす度に、
美しく紅葉した日本の山岳風景から
ロシアの高原地帯をうねるように流れる
大河へ、
そして真っ白な雪に覆われた
段々畑を思わせる不思議な地形の
シベリアの一地方と凍った湖へと、
景色がどんどん変わっていき、
自分が世界地図の上を確実に
西に向かって飛んでいることを
理解する。

映画を2本ぶっ続けで観た後、
水をもらいに
後ろのスチュワーデスさんたちの
たまり場(っていうんですか、
当直みたいな人たちが集まって
ダベっているところ)に行くと、
「シャンパンを開けたところだから、
飲みなさい」と勧められ、
無論、素直に従う。

席に持って帰って飲むのが面倒だったため、
そのままそこで腰に手を当てて立ち飲み。
何故か次々にお代わりを勧められ、
なかなか席に戻れない。

やっと水をもらって席に戻ったところで、
深い眠りに落ちた。

2,3時間ほど眠って、3本目のビデオにかかる。
面白い。

観終わったところで2食めが配られ、
それが終わったら、
もうシャルル・ドゴール空港に向かって
着陸態勢だ。

映画とシャンパンのおかげで
あっという間の12時間だった。

シャルル・ドゴール空港ターミナル2は
広大だ。
到着が少し遅れ、
スペインのビゴ行きの乗り継ぎまで
45分しかない。

欧州統合以降
えらく簡単になった税関をすんなりクリアして、
間違った方向に走らないよう、
じっくり案内板を見て、
それから、ダッシュ。

結構な距離を走る。

ギリギリで乗り込んだその超小型機は、
夕暮れ近いパリ市内の真上を
ゆっくり左に旋回しながら上昇していく。

再び眠りに落ちて、
フト気が付いたら、
飛行機はもう高度を下げ始めている。

暴動のフランスを離れ、
大西洋岸、
ポルトガルの国境に近いスペインの港町
ヴィゴの町が見える。
美しい海岸線。

ヴィゴ航空は山の上にある。
民家の庭の木々に翼をかすめるようにして
無事着陸、
人生初めてのスペインに足をつける。

タクシーで、
港近くにあるボルボ・オーシャンレースの
メディアセンターに直行。

2003年のニュージーランドでの
アメリカズカップで
プレスボート手配の親分をしていた
ジュリアンが、
今回のヴィゴでも同じ担当をしていて、
すぐに助けを求める。

「俺、今日泊まるところない、
明日の取材手配もできてない、プリーズ」

それを聞いたジュリアンは、
携帯であちこちに電話し、
あっという間に
ヴィゴ滞在中のホテルと
翌日と翌々日の
取材艇の手配をしてくれる。
持つべきものは有能な友人だ。