12月14日  ボルボ・オーシャンレース第3レグスタート

2008年12月14日 | 風の旅人日乗
写真は第3レグスタート直後、フリートをリードするプーマのイル・モストロ。
第3レグにもジョナサン・マッキーとジェリー・カービーはプーマに復帰しなかった。(Photo by Rick Tomrinson/VOR)


今日の日記では、第2レグで2位に入って勢いづくテレフォニカブルーのスキッパー、バウエ・ベッキンの第3レグの展開の予想を紹介する。
テレフォニカブルーは軽風では他艇よりも優れたポテンシャルを持っている。

(photo by Rick Tomrinson/VOR)

「スタート後、スリランカの南端をかわすまでは、かなり弱い風が続くだろうね。
そこから、5ノットから20ノットの風速レンジの北東季節風が吹く海域に入って、
ポートタックのクローズドホールドか、ちょっと落としたクローズドリーチで、
スマトラ島の北端を目指す。

スマトラ島の北側にはスコアリングゲート(ここの通過順位もポイントに加わる)があり、
距離的にはスコアリングゲートの南端よりも北端に向うほうが有利だけど、
そちらを狙うと、
スコアリングゲートを通過してからシンガポールのフィニッシュラインまでの距離が長くなってしまう。
ここも頭の悩ませ所だな。」

でも、その先の、マレー半島とスマトラ島に挟まれた海峡では、バウエはもっと頭を悩ませられることだろう。
「そう、潮は向かい潮、何千隻もの漁船、そして魚網、何百隻もの大型タンカーやコンテナ船…。
少なくとも、退屈することはなさそうだね」

これらの困難に加えて、
このレグには、今までボルボ・オーシャンレーサーが経験したことのない恐怖が待ち構える。
マラッカ海峡の海賊だ。

ボルボ・オーシャンレースの主催者は、
海賊出没エリア諸国の海軍、コーストガードと連絡を取り合って、
ボルボ・オーシャンレースのフリートが海賊の危険にさらされないよう、
最大の予防策を取っているが、
相手と直接話ができているわけではないだけに、100%の安全はない。
レースフリートが武器を持てば、それは最悪の結果も招きかねない。
最良の対策は、
決して英雄的な振る舞いをせず、
相手が求めること、求めるものをすべて差し出すことだ、
と各レース艇はアドバイスを受けている。

これらの悲観的な問題の可能性はさておき、
バウエ・ベッキンのシンガポールフィニッシュ予想は、
エリクソン4のナビゲーターのジュールズ・サルターとはかなり違う。

(写真は第3レグスタート直後のエリクソン4のデッキ上。一番手前がナビゲーターのジュールズ・サルター。photo by Ericsson4/VOR)

「早くて20日、遅くても21日か22日」
だというのだ。
同じ気象予報情報を得ているとすれば、バウエの「早くて7日」とジュールズの「早くて9日」の差は、そのままテレフォニカブルーとエリクソン4の、微風~軽風域での性能差、ということになる。

スタートして半日経った現在、フリートをリードしているのはグリーンドラゴン。
シーブリーズが残っていた日没前にジャイブして岸に寄せたのが功を奏して、
他よりも先に夜のランドブリーズをつかみ、フリートの一番岸寄りを快走している。

(photo by Rick Tomrinson/VOR)

ただ、夜が明ければこのランドブリーズは落ち、今度は午後にシーブリーズが吹き始める。

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