2013年開催 第34回アメリカズカップ議定書を解読する (第3回め)

2010年10月12日 | 風の旅人日乗
ウエブ版J-Sailingに不定期連載中の『第34回アメリカズカップ議定書を解読する』その第3回目
第34回アメリカズカップ議定書の基本理念(その3)です。

アメリカズカップの、アメリカズカップを闘う艇のメインセールのトップに掲げられた、あのよく知られたマークや、その他アメリカズカップに関するすべての知的財産権と版権は、これまではアメリカズカップ・プロパティズ・インク(ACPI)という法人が保持していて、その経営権は1986年以降、防衛者から防衛者へと、引き継がれてきた。

第33回アメリカズカップの防衛者だったスイスのアリンギとそのヨットクラブは、今年2月の巨大なマルチハル艇による一騎打ちで破れた後一ヶ月が経っても、新しい防衛者であるゴールデンゲイト・ヨットクラブとBMWオラクルレーシングにその権利を譲渡する手続きを取ろうとしなかった。

当然のようにゴールデンゲイト・ヨットクラブ側は、アリンギがその手続きを進めるよう裁判所に訴え、その訴えが認められて、3月26日、アメリカズカップに関係するすべての知的財団権と版権を持つACPIの経営権は、現防衛者のゴールデンゲイト・ヨットクラブ側に委譲された。

その際、ゴールデンゲイト・ヨットクラブ側は、その交換条件としてスイス側から要求されていた、『第33回アメリカズカップでスイスが使ったセールは自国で作ったものではないため、贈与証書に違反している、という案件を含む3件の訴訟を取り下げること』、に同意した。

さて、これまでの防衛者は、ACPIの経営権を持つことでアメリカズカップ関係の知財権を独り占めしてきたのだが、今回の議定書では、それら、アメリカズカップにまつわる一切の知財所有権は、アメリカズカップ・レース・マネジメントがすべて引き継いで所有・管理することになっていて、ACPIという法人は存在しないものになっている。そして、第34回アメリカズカップによってそれらの版権使用料やレース開催で得た利益は、ACRMと参加した全チームとで分配する(平等分配ではなく、成績に応じて)ことも記されている。

挑戦者側にもフェアなアメリカズカップを、と主張し続けてきたラッセル・クーツの言葉通りの理念が垣間見える部分です。
(つづく)

(つづく)です。約束なので必ず、つづきます。
でも、書置きの原稿すでになく、焦ります。

日々の仕事で一番優先しなければならない、お客様から会社で請け負っている仕事、会社の新しいホームページの製作準備作業、ホクレアに関する宿題の提出、チームニシムラプロジェクトの11月プログラム企画立て、毎週末のレースのための下調べ・情報収集・イメージトレーニング…。
あ、ヨット専門誌KAZIの、自分でもとても大切に思って毎号一所懸命書いている連載記事の締め切りも迫りつつあるな。
ドキドキの1週間に突入したもよう。
無事乗り切ることができるか!? ワクワクします。