都議選の前日に、「菅義偉と小池百合子の「賭けと野望」を打ち砕く都議選になるか?」の最後で下記のようにつぶやいた。
「民意を無視するという体質が今の日本のスタンダードになってきてしまっている」のなら、民意をもっとも反映するのは選挙しかなく、5日の都議選に投票できる都民の良識次第では、菅義偉と小池百合子の『賭けと野望』に一石を投ずることができるのでは」とつぶやいた。
そして雨の中の投票は50%にも届かない低投票率であったが、当初の「自公で過半数」という菅義偉の野望は期待通りに消えてしまった。
一部の報道では菅義偉は都政を取り戻したという勝利のコメントを用意していたという。
それほど楽観していたとは、やはり「民意を無視するという体質」が都民の投票先を変えさせたのかもしれない。
もっとも、各政党の当選者数を見比べると、結果としては「勝者なき戦い」だった感が強い。
4年前に46人を当選させた「都民ファーストの会」が15議席失い、それが自民党に8議席、立憲民主党に7議席与え、さらに共産党もに1議席増となった。
政治ブロガーたちの平均的な見方はこんな感じであった。
前回大勝した都民ファーストが議席を減らしたものなんとか31議席を獲得し、自民党は第一党に返り咲いたものの33議席と事実上の惨敗であり、もともとの議席数が少なかった立憲民主党も15議席に増やしたものの、国政では野党第一党かつ都市型の政党であることを考えると、もしかしたら自民党と同じくらいの惨敗といえるかもしれない。 結局、今回の都議選に勝ったといえるのは、議席を減らしはしたものの都民ファーストであり、1993年以来の23議席をなんとか死守した公明党であり、1議席を増やした共産党であったに違いない。 |
象徴的なツイートがあった。
応援と言ってもマイクは握らず、手を振るだけで、一言も言葉は発さず
— 日刊ゲンダイ ニュース記者 (@gendai_news) July 3, 2021
「密です」のジェスチャー
行幸気分の1日になりそうです pic.twitter.com/P8ldZbD5cw
出口調査や開票速報で自民に衝撃が走ってるようだが、熱海で大災害が起きてるなか誰も現地に行かず大臣クラスがニコニコと応援演説に全力出してりゃ当然だろ。五輪に対する民意も出たね。衆院選は更に惨敗だろな。
— さよなら昨日の私 (@SaYoNaRaKiNo) July 4, 2021
安倍が応援した崎山知尚(荒川区)は見事に落選。 pic.twitter.com/Fe5ZIsYXcq
— 🏕インドア派キャンパー 📣ⒻⒸⓀⓁⒹⓅ🔥 (@I_hate_camp) July 4, 2021
在京大手メディアの今朝の記事タイトルが興味深い。
■朝日新聞
「自公、過半数届かず 衆院選へ打撃 自民33、都民ファ31 都議選」
「共産・立憲、都議選共闘手応え 志位氏『協議進めたい』」」
■毎日新聞
「東京都議選 自民、想定外の失速 菅義偉首相『選挙の顔』不安視」
「東京都議選 立憲・共産、共闘に手応え 衆院選対応には懸念も」
ほとんど似たようなタイトルであり、総選挙に向けた「野党共闘」に期待感が滲んでいる。
政府広報誌はどんな感じ何か。
◆讀賣新聞
「[都議選2021]立民・共産「共闘路線」前面に…1・2人区すみ分け、衆院選では調整難航も」
悔しかったのか、自公で過半数を獲得できなかったことには一切触れず、今回は野党共闘がうまくいったが、「衆院選ではそんなにたやすくはいかないぞ」という論調であった。
参考までに「政権擁護紙」の産経新聞のタイトルは、ずばり「自公、過半数届かず 自民、僅差で第一党」。
コメントの価値はない。
選挙のたびに全員当選をはたしている公明党は、今回も23人が当選したのだが、宗教団体の創価学会への露骨なお礼が物議を醸していた。
公明党の石井幹事長。
— むっしゅ・アンチピリン・ムライハ(ワ) (@muraiha64) July 4, 2021
思いっきり「創価学会の皆様心から感謝とお礼を申し上げたい」と言ったけどこれって政教分離に反しないのかな?#東京都議選2021 pic.twitter.com/msEtf4dka8
少なくとも都議選で自民党がもくろみ通りの議席を確保できなかった理由には、「五輪強行開催」と「頼みにのワクチン不足」であることは間違いない。
とりわけ、パンデミック下での「平和の祭典」の強行という矛盾した日本の行為には海外メディアは痛烈に批判していた。
仏メディア痛烈批判、よくぞ書いてくれました
— 盛田隆二🫖Morita Ryuji (@product1954) July 4, 2021
「日本人が反対しても中止にならないなら、世界中の連帯が必要だ。もしパリ五輪が感染症の中で開催されたとしたら? 感染症の蔓延下で五輪を迎える日本人の気持ちを想像すべきだ。惨事を避けるためにも東京五輪開催の再考を!」https://t.co/qY1WhBqWGj
《仏メディア痛烈批判》「広告収入を守るためにテレビ放映を行うことがオリンピック精神なのだろうか。公衆衛生や人命の価値は、コカ・コーラ社の広告の価値よりも低いのだろうか。」➡ 全くその通りだと思う。https://t.co/kutV3P8gWg
— 郷原信郎【長いものには巻かれない・権力と戦う弁護士】 (@nobuogohara) July 3, 2021
「《仏メディア痛烈批判》「日本人の気持ちを想像すべき」各国が東京オリンピック開催に反対する本当の理由 ヨーロッパのオリンピック報道」
2021年6月17日、菅義偉首相は東京オリンピック・パラリンピックの開催を公式に表明した。しかしウガンダの代表団から新型コロナウイルスの陽性者が出たこともあり、大会開催によって爆発的にウイルスが感染拡大するのではないかと不安視する声もある。6月18日には、尾身会長ら日本の感染症の専門家が「無観客での開催が望ましい」と提言してもいる。 “開催宣言”の直前、同月13日にはイギリスで開催された主要7カ国首脳会議(G7サミット)で、菅首相は「全首脳から大変力強い支持をいただいた。改めて主催国の総理大臣として心強く思う」などと記者団に語っている。各国からの支持を追い風にして、開催を断行する形となったわけだ。 ■「開催は本当に正当化されるか?」と問う、英メディア たとえば、イギリスのメディア「The Guardian」は、4月12日に公開された社説で、東京オリンピックを中止することによるアスリートと経済への影響の甚大さに理解を示した一方、《(人々の)生命を危機に晒す今大会の開催は本当に正当化されるかを日本政府とI O Cは問わねばならない》と批判を展開している。 《オリンピック開催まで100日を切る中、大会を「人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証として実現する」という(菅首相の)約束は、楽観的どころかまったく間違っているようにも見える》 |
《オリンピック大会直前に、施設の建設が間に合わない、チケットの売れ行きが不調であるなどの問題が発生するのはお決まりだが、感染症が蔓延する中で開催を予定している今回の大会はレベルが違う》
《大会を開催するのであれば、感染拡大を食い止めるためのルールを確実に施行する必要がある》
■英メディア「日本政府は日本人の声に耳を傾けない」
同紙は5月24日に「オリンピック開催の中止を求めている数多くの日本人の声に、日本政府は耳を傾けないだろう」と題したオピニオン記事も掲載した。《他のG7諸国に比べると日本の新型コロナウイルス感染状況は悲惨ではない》にも関わらず、《日本国民がこの「成果」を政治家の手腕の結果と結びつけていない》と指摘。その原因として、日本政府の国民に対する不透明なコミュニケーションと、大きな危機に直面した時に責任を負う気概があるリーダーの不在を挙げている。
そしてこの2つの問題点が、オリパラ開催を強行しようとする政府と、感染拡大を懸念する日本国民の溝を生んでいると分析しているのだ。
■ドイツ語圏への声明「日本に来ないでください」
ドイツの大衆メディア「Frankfurter Rundschau」は4月19日、日本国内で開催に反対する人々がいると紹介。4月2日に社会哲学者の三島憲一氏や政治学者の三浦まり氏などの日本の知識人20名が、ドイツ語圏の人々に対し、関係する各メディアに「日本に来ないでください」という声明を送付したことを取り上げている。
この声明には《スポーツで実績を積んできた国の1つが東京オリンピックへの参加を辞退すれば、各国に連鎖反応を引き起こすことができ、結果的に今回のオリンピックは中止せざるを得なくなるだろう》と記載されているという。
日本国外に大会へのボイコットを呼びかけることでオリンピックの開催を中止させようとする動きは、IOCや日本政府にとってはプレッシャーになるのではないかと分析されてもいた。
■中止は絶対にない」スペインメディアが断言
一方で、スペインのメディア「El Mundo」は、4月14日の記事で、《オリンピックが中止されることは絶対にないだろう》と断言。その理由については《聖火リレーは既に始まり、大会期間中に使用される建物は建設済みだ。東京オリンピックの210億ユーロ分の予算は既に確定され、テレビ局やスポンサーはすでにキャンペーンを開始している》からだと述べている。
しかしながら、こんな予測も付け加えている。
《大会が中止になるのは、日本政府が感染症の新たな「波」に直面してパニックを起こした場合のみだろう》
また、G7諸国と比較すると日本の新型コロナウイルス感染状況は酷くないものの、ワクチン接種速度が非常に遅い日本の現状を踏まえ、東京オリンピックの開催能力を疑問視したものもある。
■「ワクチン普及に大きな遅れを取った理由」とは
フランスのメディア「Le Figaro」は、世界第3位の経済大国であるにも関わらず、日本が他のG7およびOECD諸国と比較してワクチン普及に大きな遅れを取った理由を《(日本国内で根強い)ワクチンへの疑念や(承認に至るまでの)官僚的なシステムが絡んでいる》のではないかという専門家の声を紹介している。
このようにヨーロッパメディアには、オリパラ開催に否定的な内容が多かった。しかしあくまでもワクチン接種が進まない日本の現状や、「オリンピックを断行しようとする日本政府やIOC」と「それに反対する日本国民や公衆衛生の専門家」の“バトル”を客観的に報じるところで留まっていた。
しかしいよいよオリパラ開催が迫ってきた6月23日、大会開催に強烈な“否”を突き付ける記事が報じられた。
■オリンピックは道徳的なスキャンダル」と痛烈批判
報じたのはフランスのメディア「Libération」。《私たちの声明は、IOCの暴走を止めることを目的としている》と、痛烈な批判を展開しているのだ。
《手遅れになる前に、この大会の中止を求めている東京や日本の人々の声に耳を傾けなければならない。日本国民の6割から8割が大会の開催に反対し、大会の安全確保のために動員される医療関係者からも反対の声が上がっている。東京オリンピックは、日本の医療システムを弱体化させることになるからだ。
IOCは、恥ずかしげもなく、若くて健康的な世界中のオリンピック選手への優先的なワクチン接種を検討している。これは日本やフランスをはじめとした、大会参加国の道徳的なスキャンダルなのではないのだろうか。強い者を守ること、そして一般人の観客をスタジアムに入れることなく、広告収入を守るためにテレビ放映を行うことがオリンピック精神なのだろうか。公衆衛生や人命の価値は、コカ・コーラ社の広告の価値よりも低いのだろうか。東京オリンピックは、オリンピック精神とオリンピックの構造の「真実」を明らかにした。
東京大会の開催中止を求め、専門家やスポーツ選手英国らが世界各地で声を上げ始めている。80%の日本人が反対しても大会が中止にならないのであれば、世界中の連帯が必要だ。特に、フランスは次の夏季オリンピックの開催国として重要な役割を担っている。パリ大会が感染症の中で開催されたとしたら? 感染症が蔓延する中でオリンピックを迎える日本人の気持ちを想像すべきなのではないのだろうか。私たちは、IOCにオリンピックの開催に関して自由な権限を与えることを拒否する。
惨事を避けるためにも、世界的な感染症の流行の中で予定される東京オリンピック開催を再考すべきだろう》
いみじくも英国メディアに、「責任を負う気概があるリーダーの不在」とまで書かれた菅義偉。
いくらG7で各国の賛同を得たと言っていたが、直接彼らと話したわけではなく、出席者たちがどのように賛意を示したかは明らかにされていない。
開催都市の住民の民意が「五輪中止」を唱えていた共産党や立憲民主党の議席増となり、自民党の幹部の1人は、当初の想定を大きく下回っており、自民党への反発が予想以上に強かったと感じているらしく、政府自民党のどこに問題があるのかを早急に分析する必要があると言っていたが、有権者の都民はわざわざ分析しなくても、日常生活の息苦しさが政府自民党のせいだととっくに気付いている、とオジサンは思う。