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ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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生きている言葉=「搾取」 アメリカと北朝鮮の場合

2010-03-14 23:22:54 | 北朝鮮のもろもろ
 「搾取」という言葉を聞くと、団塊の世代までの年配者の場合、懐かしさとか、はずかしさとか、いろんな感情が喚び起こされる人も多いのでは? もしかしたら、「オーッ」という年のわりに力強い声を発し、最近は見せたこともないようなマジな顔つきになって、正義感とか闘争精神の残り火をかき集めて胸を熱くする人もそれなりにいらっしゃるでしょう。

 私ヌルボにとっても久しく縁遠くなっていたこの「搾取」という言葉を今日は2回も想起してしまいました。

 その1は今朝(3月14日)の「毎日新聞」の<今週の本棚>。
 堤未果「ルポ 貧困大国アメリカⅡ」についての伊東光晴先生の書評です。

 この本の4つの主題のうちの最初がアメリカの大学生たちの学費ローンの話。以前堤さんの講演会に行った時も多くの大学生が多額の借金を抱えて苦しんでいるということを聞きましたが、この書評ではさらに<サリーメイ>とよばれる学生ローン協会のことが取り上げられています。1995年に完全民営化されたサリーメイの取り立て方法は「日本のサラ金と同じ」ですさまじく、学生は借金地獄に落ちていくそうです。
 一方、このサリーメイの最高経営責任者の年俸は4億5千万ドル(約405億円)
 えっっっ! 1日1億円以上!! 想像もつきませんがな・・・。ヌルボの場合、1日10万円の収入があればそれ以上はいりまへん。(お金の話になるとなぜか関西弁ぽくなりまんなー。) それ以上もろても、使い道がわかりまへん・・・。
 400億円、これを搾取といわずして何を搾取というのか!?

 ・・・とめずらしく義憤にとらわれて少しばかり高くなった血圧が、さらに上がるようなニュースが3月10日付の「東亜日報」の中にあったのです。
「北朝鮮の伐木作業者2人、ウラジオストクの韓国領事館に駆け込み」(→日本語版)というのがその見出し。

 シベリアの森林で伐採工として働いている北朝鮮労働者の悲惨な状況や、彼らの脱走事件等については、このブログの昨年12月24日の記事でもふれました。

 そこでは<悪質派遣会社になっている北朝鮮政府>という見出しをつけましたが、<手配師>の方がいいかもしれません。
 その記事中に、「ポーランドの造船所で働く男性労働者の場合、給与は北朝鮮の国営会社に直接振り込まれ、労働者の手取りは全額の3~4割」と記しましたが、今回の2人の場合は、1人が「国家=40%、現地の北朝鮮連合企業所=20%、伐木場事業所=15%、本人=25%」で、もう1人は「国家=48%、現地の北朝鮮連合企業所=20%、伐木場事業所=15%、本人=17%」。

 現代型の搾取と、前近代型の搾取。どっちもひどいとしか言いようがありません。
 <搾取>という言葉を懐かしがったりしているオジサンたち(ヌルボも含めて)、ノーテンキなもんです。