ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績[3月30日(金)~4月1日(日)]

2012-04-03 21:59:45 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 1つ前の記事も韓国映画関係です。ご一読ください。

 3月22~28日ロッテシネマ弘大入口で開かれたインディー・ドキュ・フェスティバルに、開幕作としてホン・ヒョウン監督の「誰も見ない夢(아무도 꾸지 않은 꿈)」というドキュメンタリーが上映されました。この作品を知ったのは、<レイバーネット>の記事によってです。このサイトには「二つの扉 竜山惨事の召喚状」も紹介されています。
 これら2作品は、韓国映画で1つのジャンルをなしている<労働者映画>です。<DAUM映画>で検索すると、20作近くの作品がヒットしましたが、その最初が「九老アリラン」(1989)。私ヌルボが観たのは1994年今はない千石の三百人劇場で開かれた「韓国映画の全貌」の時だったか? 今<輝国山人の韓国映画>で確認したら、チェ・ミンシクも出演していたんですね。
 それ以後、日本ではこのジャンルの作品が一般公開される機会はほとんどなかったのではないでしょうか?
 2010年に、1989年韓国スミダの闘いとその後の20年を追ったドキュメンタリー「海を越えた初恋―スミダの記憶」上映会が労組関係・市民団体で開かれたのは数少ない例だと思います。
 <DAUM映画>の評点で、少し前「저 달이 차기 전에(あの月が満ちる前に)」というドキュメンタリーが数は少ないながらも9.6という高評点なので調べてみると、2004年双龍自動車の整理解雇反対闘争を描いたもので、2010年全州国際映画祭で観客賞を受賞した作品でした。
 これらの労働者映画を、私ヌルボもいろいろ観てみたいのですが、韓国内でさえあまり陽の当たらない作品を、日本であえて上映しようという奇特な配給会社があるとも思えないし、うーむ・・・。
 労働者映画といえば、1995年の青龍映画賞最優秀作品賞の「美しき青年-全泰壱」、観てないんですよ。レンタル店にもないし、あーあ。(韓国で発売されたDVD(リージョン3)には日本語字幕が付いているとか・・・。)

         ★★★ Daumの人気順位(3月27日現在上映中映画) ★★★

【ネチズンによる順位】

①かたつむりの星(韓国)  9.6(37)
②語る建築家(韓国)  9.5(22)
③オペラ座の怪人 25周年特別公演  9.4(108)
④最強のふたり  9.2(533)
⑤偕老(韓国)  9.0(30)
⑥スタンリーのお弁当箱  8.9(124)
⑦アーティスト  8.9(211)
⑧ダンシング・クィーン(韓国)  8.9(1298)
⑨メアリー&マックス  8.7(52)
⑩マリリン 7日間の恋  8.6(47)

 今回は新登場はありません。観客動員数トップの韓国のドキュメンタリー等、概して「多様性映画」の評価が高いですね。

【専門家による順位】

①自転車に乗った少年  8.8(6)
②ニーチェの馬  8.5(2)
③2本の線(韓国)  8.0(1)
④アーティスト  7.8(6)
⑤ファミリー・ツリー  7.8(5)
⑥ティラノサウルス  7.5(4)
⑦犯罪との戦争:悪いやつらの全盛時代(韓国)  7.3(6)
⑧ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女(2009)  7.3(3)
⑨ティンカー・テイラー・ソルジャー・スパイ  7.1(6)
⑨建築学概論(韓国)   7.1(6)

 ⑥「ティラノサウルス」が初登場です。2011サンダンス映画祭でワールドシネマ監督賞とワールドシネマ審査員特別賞2部門の受賞作で、東京国際映画祭でも上映されたイギリス映画です。タイトルからして恐竜映画かと思いましたが、ヒューマン・ドラマです。主人公は、酒に溺れ、暴力をふるうという日々を送ってきた60代にもなろうかという男性。ある夜帰宅途中に暴漢に襲われ、気を失ってしまいます。いつしか早朝、女性の声で目覚めると、そこは彼女が切り盛りする教会系のリサイクルショップの前。これをきっかけに2人は親しくなっていくのてすが、平穏に見えた彼女にも暗い秘密があることを知ることになるのだった・・・。このティラノサウルスというのはこの男の(2人の?)心の中の恐竜ということのようです。韓国題は「디어 한나(ディア・ハンナ)」で、むしろわかりやすそう。日本での一般公開は未定のようです。

   ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[3月30日(金)~4月1日(日)] ★★★

         韓国のラブ・ロマンス「建築学概論」が2週連続トップ

【全体】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・建築学概論(韓国) ・・・・・・・・・・・・・3/22 ・・・・・・・・・・・・・570,904 ・・・・・・・・・1,609,035・・・・・・・・12,019・・・・・・・579
2(新)・・タイタンの逆襲 ・・・・・・・・・・・・・・・3/29 ・・・・・・・・・・・・・482,483 ・・・・・・・・・・・554,486・・・・・・・・・4,885・・・・・・・536
3(2)・・最強のふたり ・・・・・・・・・・・・・・・・・3/22 ・・・・・・・・・・・・・315,938 ・・・・・・・・・・・940,459・・・・・・・・・7,032・・・・・・・411
4(16)・・死体が帰ってきた(韓国)・・・・・・・3/29 ・・・・・・・・・・・・・312,869 ・・・・・・・・・・・368,062・・・・・・・・・2,788・・・・・・・433
5(3)・・火車(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/08 ・・・・・・・・・・・・・110,310・・・・・・・・・・2,339,240 ・・・・・・・17,753・・・・・・・326
6(6)・・Black&White ブラック&ホワイト・・2/29・・・・・・・・・・・・・・15,435 ・・・・・・・・・・・857,344・・・・・・・・・6,545・・・・・・・103
7(4)・・ジョン・カーター ・・・・・・・・・・・・・・・・3/08・・・・・・・・・・・・・・・11,427 ・・・・・・・・・・・831,555・・・・・・・・・7,174・・・・・・・152
8(9)・・宇宙犬物語・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/22 ・・・・・・・・・・・・・・11,167 ・・・・・・・・・・・・35,826 ・・・・・・・・・・238・・・・・・・・89
9(5)・・クロニクル ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/15 ・・・・・・・・・・・・・・・6,761 ・・・・・・・・・・・381,410・・・・・・・・・2,863・・・・・・・109
10(12)犯罪との戦争 ・・・・・・・・・・・・・・・・・2/02 ・・・・・・・・・・・・・・・2,394 ・・・・・・・・・・4,681,429・・・・・・・・36,255・・・・・・・・26
         悪いやつらの全盛時代(韓国)
       ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 今回も6位以下の観客動員数の少なさが目につきます。とくに、10位のこの数字は、当ブログ開設以来最低値だと思います。この状況が一時的なものであってほしいものです。
今回の新登場は2位と4位の2作品。
 2位「タイタンの逆襲」は「タイタンの戦い」(2010)の続編。日本では今月21日公開で、すでに紹介記事や予告編も出ているので、説明は略します。韓国題は「타이탄의 분노(タイタンの憤怒)」。
 4位「死体が帰ってきた」は、タイトルからホラー映画かと思ったらコメディ。研究員たち2人(イ・ボムス&キム・オクビン)が違う目的で1つの死体を手に入れようとするが、予期せぬ人物(リュ・スンボム)が登場して、激しく大胆な争奪戦が始まる。え?そこにまた別の目的のために死体&彼らを追う連中がやってて追撃戦が始まるの? 複雑みたいですが、観た人の感想では「基本はわかりやすいストーリー、そして体を張った古いタイプのコメディ、ドタバタっぽいところもあり、しばしば劇場内が爆笑の渦に包まれました」とのことです。

【多様性映画】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(2)・・かたつむりの星(韓国)・・・・・・・・・・3/22 ・・・・・・・・・・・・・・・2,044 ・・・・・・・・・・・・・・9,029 ・・・・・・・・・63・・・・・・・・・・33
2(1)・・語る建築家(韓国) ・・・・・・・・・・・・・3/08 ・・・・・・・・・・・・・・・1,975 ・・・・・・・・・・・・・19,901 ・・・・・・・・158・・・・・・・・・・15
3(新)・・彼女が去る時・・・・・・・・・・・・・・・・3/29 ・・・・・・・・・・・・・・・1,567 ・・・・・・・・・・・・・・1,867・・・・・・・・・・14・・・・・・・・・・13
4(4)・・スタンリーのお弁当箱・・・・・・・・・・3/08 ・・・・・・・・・・・・・・・・・870 ・・・・・・・・・・・・・45,177・・・・・・・・・303 ・・・・・・・・・・6
5(3)・・アーティスト・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2/16 ・・・・・・・・・・・・・・・・・828 ・・・・・・・・・・・・118,606・・・・・・・・・907 ・・・・・・・・・11
                                      
 3位「彼女が去る時」は、昨2011年アカデミー賞外国映画賞候補作としてドイツから出品された作品。トルコ系ドイツ人の女優シベル・ケキリが演じるのは、若い母親ウマーイ。イスタンブールで夫の家族と暮らしていたが、夫の暴力に耐えかねて幼い一人息子を連れてベルリンの実家に帰ってくる。里帰りと思った母は2人を歓迎するが、ウマイが婚家に帰る意思がないことを知ると顔色を変える・・・。
 イスラム教社会では女性からの離婚要求は難しいようで、それ以前に夫の元から子供を連れて去る女性の存在自体が、家父長制文化によって拒絶されているのだそうです。イスラム社会での「恥と名誉」という価値観の中で、たとえば婚前・婚外交渉を行った女性は家族全員の名誉を汚すものなので、父親や男兄弟が彼女を殺害する「名誉の殺人」という風習もあります。(ウィキによると年間5000人にのぼるとか!)
 この作品は、ドイツでそんな葛藤の中に暮らす移民家族の問題を、フェオ・アラダグ監督が女性に対する暴力に反対するアムネスティのキャンペーンとの関わりの中から製作したとのことです。この映画、私ヌルボはぜひ観てみたいと思いますが、日本公開は未定のようです。韓国題は「그녀가 떠날 때(彼女が去る時)」、英語題「When We Leave」、原題は「Die Fremde」です。
<サンフランシスコ・シネマライフ>というブログにくわしい紹介記事がありました。
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