韓国文化院では、今年2013年<1970年代 名作韓国映画上映会>と銘打って、隔月で次の6編の映画を上映します。
○1月24日(木)星の3兄弟(キム・ギ監督.1977年)
○3月27日(水)嫁ぐ日(キム・ウンチョン監督.1977年)
○5月23日(木)ひよこたちのお祭り(イ・ウォンセ監督.1978年)
○7月24日(水)族譜(イム・グォンテク監督.1979年)
○11月26日(火)みんなで歌おう(ユ・ヒョンモク監督.1979年)
上記6作品中、私ヌルボが過去に観たものが3つ。その初回、すなわち昨日(1月25日)観た「星の3兄弟(별 3형제)」もその1つで、10年以上は前だったか、移転する前の文化院で観ました。(南麻布。現在は在日韓人歴史資料館の建物。)
しかし、2、3ヵ月前に観たものさえあらかた忘れてしまうヌルボ、そんな以前のことはほとんど記憶になく、また記録も残していません。(たぶん・・・。) その分新鮮な気持ちで鑑賞できました。ははは。
物語の主な登場人物は小学校の子どもたち。あ、当時(1977年代後半=朴正熙政権末期)は国民学校か。(1995年初等学校に改称。)
子どもの日での発表に向けて子どもたち(5、6年生?)は毎日劇の練習に励んでいます。その演目は「小波 方定煥(ソパ パン・ジョンファン)」です。
方定煥(1899~1931)は31歳の若さで世を去った児童文学の先駆者であり児童運動家で、「子どもの日」の制定者、「オリニ(어린이.幼い者=子ども)」という言葉を作った人としても知られている人物です。小波は雅号です。
※「子どもの日」について当然のご不審を抱かれた方は→コチラやコチラのブログ記事参照。「オリニ」の語も、崔南善が最初という説があります。
その劇の主役・方定煥を演じるのがジョンナム少年で、その妻役の女の子がヨンヒ。
で、この女の子ヨンヒを演じている子役があの「シバジ」(1987)等で有名なカン・スヨン(姜受延)なんですねー。この映画公開当時は満11歳。
ジョンナム役の方はチョン・ホジンという俳優なんですが、コチラは満17歳。(意外!) 6歳も違うのに同級生とはねー。このリンク先を見たら、チョン・ホジンは、コン・ユ&イム・スジョン主演の「あなたの初恋探します」でイム・スジョンのお父さん役をやっていたのかー! (わかるわけないわなー・・・。)
また、劇中で日本人刑事役になったのがテファン少年。(この子役俳優はその後どうしてるのかな? 調べてもわからず。)
【左が主演のチョン・ホジン。中央の女の子がカン・スヨンです。】
ジョンナムの家は貧しい母子家庭で、市場で野菜を売って生計を立てている母親は胸を病んでいます。ジョンナム少年は、高層アパート1階の食料品店の配達をして家計を助けています。
一方テファンの家は金持ち。父親は社長でおまけにPTA会長。
そのテファンの母親が、子どもの役が日本人刑事という悪役と聞いて気持ちがおさまらず、PTA会長でもある夫をせっついて学校に電話させ、主役に代えてほしいと圧力をかけたことから物語が展開していきます。
テファンの親の意向を受け入れようとする校長等に対し、劇を指導している女教師等が抵抗してとりあえずははねつけるのですが・・・。
生活が苦しく、テファンの母からも借金をしているジョンナムの母。お金を返せない状況の中、責め立てられてついに倒れ、生命も危険な状態に陥って、先生の兄の医師がかけつけます。
・・・とまあこのように、図式的な登場人物の設定といい、観る者の涙を誘い義憤をかりたてつつ、最後はハッピーエンドにおさまるご都合主義的なストーリー展開といい、さらにはここぞという場面で流れるトロット(韓国演歌)風のメロディとといい、全体的にTVドラマのような映画でした。あ、つまらなかったということでは全然ないですよ。
観ていて興味深かったのは、この映画が公開された1977年当時の生活のようすが垣間見られること。
気づいた点を列挙します。
・アパートの7階(だったかな?)に住んでいるヨンヒは「鍵っ子」。両親は共働きでお母さんは美容師。
・ヨンヒの家には電話(ダイヤル式)がある。ご飯は電気釜で炊く。部屋に大きな柱時計がかかっている。
・ヨンヒは誕生日に級友たちを招待する。友だちはプレゼントを持ってやってくる。仕事で忙しいジョンナムは、呼びに来たヨンヒに引っ張られるようにして来る。
・ヨンヒのお父さんはストロボ付きカメラで記念写真を撮る。
(このようなヨンヒの家は、経済成長とともに生活水準が向上していく中産階級の一典型なんでしょう。)
・ジョンナムのお母さんは夜遅く野菜を載せたリヤカーを引いて帰る。ジョンナムは後ろから押す。
・ジョンナムのお母さんは洗い物等もやったりしてわずかな稼ぎを得ている。
・ジョンナムと母の食膳はご飯だけは大盛り。しかしおかずは焼き海苔と小皿数枚だけ。
・テファンのお父さん(社長)は自家用車で通勤している。
はてさてところで、この映画のラスト近くのクライマックスは、こどもの日当日の劇本番のシーンなんですが、そこに至って私ヌルボ、ふとひとつの考えが頭をよぎりました。
ジョンナム少年=方定煥が死期の迫った苦しい息ながら、しっかりと自身の理念を叫ぶ場面です。
・・・が、それについては続きということにします。
○1月24日(木)星の3兄弟(キム・ギ監督.1977年)
○3月27日(水)嫁ぐ日(キム・ウンチョン監督.1977年)
○5月23日(木)ひよこたちのお祭り(イ・ウォンセ監督.1978年)
○7月24日(水)族譜(イム・グォンテク監督.1979年)
○11月26日(火)みんなで歌おう(ユ・ヒョンモク監督.1979年)
上記6作品中、私ヌルボが過去に観たものが3つ。その初回、すなわち昨日(1月25日)観た「星の3兄弟(별 3형제)」もその1つで、10年以上は前だったか、移転する前の文化院で観ました。(南麻布。現在は在日韓人歴史資料館の建物。)
しかし、2、3ヵ月前に観たものさえあらかた忘れてしまうヌルボ、そんな以前のことはほとんど記憶になく、また記録も残していません。(たぶん・・・。) その分新鮮な気持ちで鑑賞できました。ははは。
物語の主な登場人物は小学校の子どもたち。あ、当時(1977年代後半=朴正熙政権末期)は国民学校か。(1995年初等学校に改称。)
子どもの日での発表に向けて子どもたち(5、6年生?)は毎日劇の練習に励んでいます。その演目は「小波 方定煥(ソパ パン・ジョンファン)」です。
方定煥(1899~1931)は31歳の若さで世を去った児童文学の先駆者であり児童運動家で、「子どもの日」の制定者、「オリニ(어린이.幼い者=子ども)」という言葉を作った人としても知られている人物です。小波は雅号です。
※「子どもの日」について当然のご不審を抱かれた方は→コチラやコチラのブログ記事参照。「オリニ」の語も、崔南善が最初という説があります。
その劇の主役・方定煥を演じるのがジョンナム少年で、その妻役の女の子がヨンヒ。
で、この女の子ヨンヒを演じている子役があの「シバジ」(1987)等で有名なカン・スヨン(姜受延)なんですねー。この映画公開当時は満11歳。
ジョンナム役の方はチョン・ホジンという俳優なんですが、コチラは満17歳。(意外!) 6歳も違うのに同級生とはねー。このリンク先を見たら、チョン・ホジンは、コン・ユ&イム・スジョン主演の「あなたの初恋探します」でイム・スジョンのお父さん役をやっていたのかー! (わかるわけないわなー・・・。)
また、劇中で日本人刑事役になったのがテファン少年。(この子役俳優はその後どうしてるのかな? 調べてもわからず。)
【左が主演のチョン・ホジン。中央の女の子がカン・スヨンです。】
ジョンナムの家は貧しい母子家庭で、市場で野菜を売って生計を立てている母親は胸を病んでいます。ジョンナム少年は、高層アパート1階の食料品店の配達をして家計を助けています。
一方テファンの家は金持ち。父親は社長でおまけにPTA会長。
そのテファンの母親が、子どもの役が日本人刑事という悪役と聞いて気持ちがおさまらず、PTA会長でもある夫をせっついて学校に電話させ、主役に代えてほしいと圧力をかけたことから物語が展開していきます。
テファンの親の意向を受け入れようとする校長等に対し、劇を指導している女教師等が抵抗してとりあえずははねつけるのですが・・・。
生活が苦しく、テファンの母からも借金をしているジョンナムの母。お金を返せない状況の中、責め立てられてついに倒れ、生命も危険な状態に陥って、先生の兄の医師がかけつけます。
・・・とまあこのように、図式的な登場人物の設定といい、観る者の涙を誘い義憤をかりたてつつ、最後はハッピーエンドにおさまるご都合主義的なストーリー展開といい、さらにはここぞという場面で流れるトロット(韓国演歌)風のメロディとといい、全体的にTVドラマのような映画でした。あ、つまらなかったということでは全然ないですよ。
観ていて興味深かったのは、この映画が公開された1977年当時の生活のようすが垣間見られること。
気づいた点を列挙します。
・アパートの7階(だったかな?)に住んでいるヨンヒは「鍵っ子」。両親は共働きでお母さんは美容師。
・ヨンヒの家には電話(ダイヤル式)がある。ご飯は電気釜で炊く。部屋に大きな柱時計がかかっている。
・ヨンヒは誕生日に級友たちを招待する。友だちはプレゼントを持ってやってくる。仕事で忙しいジョンナムは、呼びに来たヨンヒに引っ張られるようにして来る。
・ヨンヒのお父さんはストロボ付きカメラで記念写真を撮る。
(このようなヨンヒの家は、経済成長とともに生活水準が向上していく中産階級の一典型なんでしょう。)
・ジョンナムのお母さんは夜遅く野菜を載せたリヤカーを引いて帰る。ジョンナムは後ろから押す。
・ジョンナムのお母さんは洗い物等もやったりしてわずかな稼ぎを得ている。
・ジョンナムと母の食膳はご飯だけは大盛り。しかしおかずは焼き海苔と小皿数枚だけ。
・テファンのお父さん(社長)は自家用車で通勤している。
はてさてところで、この映画のラスト近くのクライマックスは、こどもの日当日の劇本番のシーンなんですが、そこに至って私ヌルボ、ふとひとつの考えが頭をよぎりました。
ジョンナム少年=方定煥が死期の迫った苦しい息ながら、しっかりと自身の理念を叫ぶ場面です。
・・・が、それについては続きということにします。