愛する犬と暮らす

この子たちに出逢えてよかった。

大好きな仲間に「さよなら」を告げにいったシェラ

2012-01-04 22:48:36 | がんばれ、シェラ!

こんなことをするような子ではなかったのに(4日夜)

☆やっぱり昨日の反動かな 
 昨日の疲れが出てしまったのだろう、今日のシェラはまた一段と弱ってしまった。昼間、ずっとぼくのベッドの横で寝て過ごした。水を飲みにときたま起きてくるが、いかにもだるそうだ。それでも朝の散歩は嫌がらずについてきてくれたし、午後の散歩もちゃんと4時少し前に起きてきた。体内時計はまだちゃんと機能しているし、クレートの乗り降りでもまだぼくの手を煩わせず、自力でやってくれるから「衰弱」という状態には至っていない。
 
 今朝も朝のご飯は食べなかった。しかし、夕飯はきれいに食べてくれた。朝は体調が落ちるが、夜になると少し好転するらしい。それでも身体の衰えを自覚して不安になっているのか、ぼくたちが夕飯を食べていると、家人の椅子のうしろにきていた。そのあと、ぼくが自分の部屋へ入ると入口にきてこちらを向いて寝ている。扉を閉めるから、「入りなよ」と呼んでやっても、どういうわけか決してぼくの部屋へは入ってこない。ぼくがいないときにときどき入り込んでいるというのに。


ぼくの部屋の前まできても入ってこないのはなぜだい?(4日夜)

 午後4時、今日もルイを家人が、シェラをぼくが連れて散歩に出た。昨日と同じコースに家人たちが向かう。だが、今日のシェラは見送るだけでついていく様子がまったくない。ルイと家人が見えなくなると、ゆったりといつも二度目のオシッコをする場所まで移動し、そこでしゃがんで用を足すと、何度も立ち止まり、しばしじっとしてからまた歩き出すいつもの歩き方でクレートが置いてあるエントランスの前に引き返してきた。

☆移り変わる好不調 
 朝も夕も明らかに目の力が弱くなっている。痛い、苦しい、ひどく辛いという感覚は伝わってこない。何日か前のような、見るからに「気持ち悪い」という感じではなく、だるそうにしている。病院でもらって毎日飲ませている薬のおかげで辛い悪心が治まっているのだろう。前述したように一日の中でも好不調が去来する。夜になると目も次第に力を取り戻してくるのは、夕飯のあとに飲ませる吐き気止めの薬の効果なのかもしれない。


いかにもだるそうにして一日が暮れた(4日午後)

 ここまで書いたところで夜の散歩の時刻、すなわち午後9時になった。リビングでシェラが鳴いたので中断して出かけた。今夜のシェラはいつもとまったく異なる行動をとってぼくを驚かせた。おかげでたいてい10分か15分もあれば終わる夜の散歩が40分あまりにおよび、心配した家人がケータイで「どうしたの?」と訊いてきたほどだった。

☆心を許したコジくんを訪ねて
 夕方だって歩きたがらなかったシェラが、なぜけんめいに歩いていくのか最初はわからなかったが、着いた先でようやくぼくにも理解できた。 
 シェラが向かったのは、彼女が唯一心を許している近所の柴犬のコジローくんことコジくんの家だった。たしか13歳くらいのコジくんもほかの犬にはけっこう吠えるのに、シェラにはまったく吠えない子である。家の前を通ると垣根の向こうからじっとシェラを見ているだけだった。


よろけながらコジくんの家を目指してけんめいに歩く(4日夜)

 冒頭と下の写真のように、そのコジくんの家の前で、シェラはしきりに垣根越しににおいを嗅いでコジくんを探した。庭に気配がないから、きっと玄関にでも入れてもらっているのだろう。場所を変えて何度か覗き込み、それでもまだ未練たっぷりに立ち去りかねていた。こんな姿のシェラははじめてというより、まさかシェラがこんなことをするなんて信じられない光景だった。


コジくんと会えず未練たっぷりに立ち去りかねる(4日夜)

 自らの迫りくる死期を悟り、仲良くしてくれたコジくんにいとまごいにいった――と思うのはあまりに擬人化が過ぎるだろうか。犬がほかの犬に別れを告げにいったなどとだれも信じはしないだろう。しかし、シェラの性格を熟知するぼくにはそうとしか思えず、凍るような夜気のなかでこみあげてくるやるせない想いをいかんともしがたく、次第に滲んでゆく暗い空を見上げて何度も大きく息を吐いた。