愛する犬と暮らす

この子たちに出逢えてよかった。

これはやっぱりシェラの恋心だろう

2012-01-05 23:27:18 | がんばれ、シェラ!

今夜のシェラは夜の散歩も億劫がっているみたいだった(5日夜)

☆なんとも悲しげなコジくんの声 
 仕事始めの今日、ぼくはずっと眠いままだった。昨夜、シェラのなんとも面妖な行動を思ってなかなか寝つけなかったし、朝も4時過ぎに目が覚めてしまったからだ。
 コジローことコジくんを訪ねた昨夜のシェラの行動であり、このブログにエントリーを上げた直後に家人から聞いたコジくんに関する話がぼくの眠りを妨げてしまった。

 年末の休みに入る直前の夕方の散歩で家人はシェラを連れて外へ出たとき、コジくんの悲痛きわまりない鳴き声を耳にしたという。それも二日にわたって。「あんな犬の鳴き声、聞いたことないわ」と彼女はいう。コジくんの家の前までいっているわけではないが、いまやそのあたりにはほかに犬はいない。間違いなくコジくんの鳴き声だったという。 
 3日の夕方、シェラとルイの夕方の散歩のとき、コジローくんのママとばったり出逢い、しばし立ち話をしている。コジローくんもずいぶん老いてきたという話をそこで聞いた。

 ぼくの住むマンションのほんの百数十メートルほど先がコジくんの家であり、以前は休みの日の朝の散歩コースであり、この春からは毎日の朝の散歩コースになっていた。昨夜シェラがのぞいていた生垣の前を通りかかり、コジくんが中にいると、彼はシェラには決して吠えず、じっとこちらを眺めている。シェラのほうもチラッと一瞥して通り過ぎる。

 コジくんが散歩の途中で遭遇することもある。だが、歩み寄って鼻をつけて挨拶を交わすわけでもなく、飼主同士が挨拶しているのを尻目に、犬のほうは互いにクールにかまえてすれ違うだけだった。
 かくのごとく、お互いに吠え合わないというだけである。しかし、このふたりはそれだけでじゅうぶんに仲良しだった。

☆シェラが愛したオス犬たち 
 これまでシェラがむぎ以外で心を許した犬は3頭しかいない。いずれもオス犬であり、2歳まで過ごした埼玉・大宮での同じ雑種の老犬ゴンちゃん、玉川学園での5年間はキャバリアのタローくん、そして、この10年間が柴犬のコジくんである。
 
 ゴンちゃんは、完全にシェラのナイト役に徹し、一緒に散歩をするときはいつもシェラを守ってくれた。タローくんはとても気のいい同じ年の子で、シェラのことが大好きで、それをいいことにシェラはわざと冷たい態度を見せたりして、「おまえなあ、そういう性悪な女になるんじゃないよ」とよくぼくに怒られたものだった。
 コジくんは、シェラよりいくつか若いということもあり、お互いにその気はあるけど知らん顔をしているという、いじらしい恋のように見えて、何か身につまされるものがあったりした。
 
 ぼくもコジローくんが大好きである。ひと言で表すると、なかなか「イナセなわんこ」で、孤高の美学を貫いているあたりにとても共感できる。シェラが彼を好ましく思っていたのに気づいていなかったわけではないが、昨夜、シェラがよろけながら、いまでは遠い道のりとなった距離をけんめいに歩いて訪ねたことで彼女の想いの深さがわかり過ぎるくらいわかった。

☆侮れない犬たちの意外な能力 
 昨夜、コジくんの家の垣根の間から、庭の奥のハウスにいるはずのコジくんをシェラはしきりに探した。二度、三度と場所を変え、暗い庭を覗き込んで中の反応を探った。だが、闇の奥にめざす恋しいコジローくんの息遣いは感じられない。呆然と立ち尽くし、やがて、塀伝いにハウスが置いてある庭の奥へ回り込もうとする。だが、そこはコジくんの家の隣に建つお宅の敷地内、ずかずかと入り込むわけにはいかない。
 ぼくは抗うシェラを路地のほうへ強引に引き出して帰路についた。

 
しつこいほどコジくんを探すが…(4日夜)


コジくんと会えずに、だが、あきらめきれない様子(4日夜)


塀の向こう側の奥にはコジくんのハウスが…(4日夜)


コジくんのハウスのほうへいきたくて抵抗する(4日夜)

 シェラがよその家の庭を覗き込むことなど断じてありえない。あれはやっぱりコジくんに会いたくていったに違いない。昨夜のシェラの動きを追った一連の写真を見て、ぼくはますます確信を強くしている。
 自分の身に迫っている運命を悟り、別れを告げにいったのか、それともコジくんの身を案じていったのかまでは判然としない。 
 これ以上、想像をたくましくするのはやめておこう。たかがわんこ、されどわんこ……。だが、うかつに侮れないほどの能力を彼らが備えているのは愛犬家ならだれもが知っている。

 今日のシェラは異常なまでの食欲だという。そのせいなのか、それともぼくが会社へ出ていたせいか、午後9時をはるかにまわってもシェラからの散歩のリクエストがなかった。ぼくのほうから声をかけて連れ出したが、さすがに今夜はコジくんを訪ねようとはせず、オシッコを終えるとすぐに動けなくなり、ようやくの思いでクレートまで引き返して戻ってきた。

 なんであれ、今夜もまたシェラと散歩に出かけることができたのは無上の喜びである。