愛する犬と暮らす

この子たちに出逢えてよかった。

雪の上のシェラらしからぬ歩き方

2012-01-24 22:49:29 | がんばれ、シェラ!

☆雪の上で転がって遊ぶ 
 雪が降るという予報を聞いたとき、「積もってくれ!」と願った。シェラのために雪が積もってほしかった。その雪を期待して今朝はいつもより少し早くベッドを出た。毎朝の起床時刻である午前6時にはシェラとルイをともなって外へ出ていた。東の空の茜色がきれいだった。日の出の時間が早まったような気がする。

 雪は残っていたが思ったほどではない。濡れて凍ったアスファルトの路面を歩くと、踏みしめる度にバリバリと音をたてる。油断すれば滑って転びそうなのに雪がほとんど見えないことに失望しながらも、いつもどおりの方角へと歩き出す。

 雪の上でかけまわっていたころのシェラを思い出す。「犬は喜び庭かけまわり……」の歌詞(小学唱歌『雪』)そのままに、雪が降るとシェラは喜んでかけまわり、積もった雪に背中をゴロゴロして喜んだものだった。そんなシェラを、ぼくは心からの幸せを感じつつ眺めていた。
 
 春が近づいても東京に雪が降らない年は、わざわざ富士山あるいは八ヶ岳の山裾の、道端などの残雪を求めて出かけたていた。わずかな雪でもシェラの喜びは爆発して、しつこく身体をなすりつけていたものだ。

 雪を手にすくい、ゆるく丸めて投げてやると口で器用にキャッチする。崩れた雪がパア~っと顔にかぶさる。それを嫌がらず、もっと投げてと吠えるから、また雪玉をシェラの顔めがけて投げてやる。そうやって時間の経つのも忘れて遊んだ日も一度や二度ではない。


☆せめてもう一度…… 
 期待した雪は目の前になかったが、それでもシェラは立ち止まらず、散歩コースをたどりはじめた。わずかであっても所どころの雪の痕跡がシェラを元気づけてくれたらしい。50メートルほど先の道端の土の上に積もった雪が消えずに残っていた。ほんの半畳ほどの面積の雪原にはまだ誰も入っていない。シェラがにおいを嗅ぎ、ルイが嗅いだ。
 
 シェラはもう転がって喜ぶ体力は残っていなかった。雪にはしゃぐ気力も失せていた。それでもここまで歩いてくれたことがうれしかった。今朝は珍しくウンコも出手の帰り道、アイスバーンに滑らないようにそろそろと歩くシェラがぼくには寂しかった。
 「シェラ、おまえらしくない歩き方だよなぁ……」

 そして、エントランス近くでシェラは吐いた。固形物はなく、薄い胃液と水だった。
 衰弱が進めば吐くようになるのも予測しており、吐き気止め薬を何錠かもらっている。吐瀉物を持参した水で流し、シェラを疲れさせないようにその場に置いてクレートを持ってきて入れた。
  
 今朝もそのあと、シェラを残し、ルイだけを連れて5分ほどだが散歩した。ルイは雪にはしゃぐ。少しでも雪が積もっている場所へくると走りまわって喜んだ。
 シェラがまだ外の散歩ができるうちに、もう一度くらい雪が降ってほしい。多くを望みはしないけど、路面が真っ白になるくらい積もってほしい。丸めた雪をシェラの顔に投げてやりたい。口でキャッチはできなくても、きっと、喜んで受けてくれるだろう。
 
 せめてもう一度、冬らしい雪がほしい。