愛する犬と暮らす

この子たちに出逢えてよかった。

まさかシェラがこんなことをするなんて

2012-01-18 21:26:39 | がんばれ、シェラ!

☆家人にしかわからないシェラの心模様
 仕事が長引き、遅い帰宅になった昨夜、家人が顔を曇らせてシェラの様子を教えてくれた。
 「今日は午後からずっとおかしいの。(午後)1時ごろも散歩に連れていったし、夕方もいったんだけどいつもと違うのよ。ウンコしたいけど出ないみたいで……」
 「あとで風呂へ入る前にでも念のために散歩に連れていくよ」
 よろけながらもぼくの帰宅を迎えに出てきたシェラの頭を撫で、顔をなめさせながら答える。「シェラ、つらいな」とささやくと、またペロリと口をなめてくれた。思わずぎゅっと頬ずりをしてしまう。となりのケージではルイが待ちかねて暴れ、「早く撫でて!」とばかり唸りはじめていた。

 とりわけシェラの様子がおかしいとはぼくには思えなかった。顔がやつれたとはいえ、目の輝きはけっこうしっかりしている。ぼくが遅い夕飯を食べていると横にやってきた。ぼくからは決してテーブルの上の食べ物をもらえないのを知っているので背後のおやつが入っている引き出しをひっかいて家人に催促する。

 「どうしたの? 散歩へいきたいの?」
 そんなシェラに家人はまだ散歩の要求だといいたいらしい。食事を中断し、ダウンパーカをはおって散歩のしたくをしてリビングへ戻ると、シェラはせっせとおやつを食べていた。ぼくには判別できないが、やっぱり「おかしい」と家人はいう。「ふ~ん……」といって、ぼくはパーカを脱いでふたたび食事をはじめる。


☆何をしてもかまわないよ
 12時近く、シェラだけ連れて散歩に出かけた。催促されたわけではない。むしろ、熟睡しているシェラに強引にハーネスを着け、「さあ、いこうよ」と促した。ハーネスを着けるときに怒ったシェラだったが渋々ながら玄関の外へついてきた。
 
 散歩といってもどこかへいくわけではない。マンションのエントランスから出て、ほんの30メートルほどの場所しかもうシェラは動こうとしない。たしかにオシッコは出たが、あとはじっと立っているだけだ。

 帰ろうとする気配もなく、ただ、じっとたたずんでいるのは、便意を催してくるのを自分でも待っているように見える。そんなことが何日日前にもあった。ぼくも一緒にたたずみ、シェラにつきあった。風はなかったが、寒中の深夜はやっぱりけっこう寒い。空の星がきれいだった。

 疲れていたので午前1時前にはベッドに入ろうと思っていたのに、結局、いつもどおり1時半になっていた。玄関前の廊下で寝ているシェラを寝室に呼んだ。よろよろと起き上がり、ぼくのベッドの脇へくると床のカーペットを引っかきはじめた。穴を掘っているつもりなのだろう。なかなか力強い音だ。

 「なんでも好きなことをやれ。だけど、あんまり引っかくと下の部屋へ抜けちゃうぜ」といって、ぼくはまだ穴掘りをしようという気力を残すシェラの姿を好ましく見守った。
 キャンプへいくとシェラはサイトのどこかに穴を掘り、そこでまったりするのが大好きである。その穴を埋めるためのスコップがぼくのクルマには常備してある。もうキャンプへ行かれないシェラが寝室の床を引っかくくらい笑顔で見守ってやりたい。


☆よく眠れぬままの朝に見たもの
 今朝、最初に目覚めたのは午前4時過ぎだった。起床時間の午前6時まで、浅い眠りの中で何度も目覚め、時計を確かめていた。ようやく6時を迎えてベッドを抜け出した。何度も目覚めているのに、いざ起きようとするとまだそのまま寝ていたくなる。

 リビングまでいってぼくはビックリした。ルイのケージの前にたくさんのウンコがあったからである。一瞬、ルイのものだと錯覚した。「どうやってケージから外へ出てやったんだ?」と……。これがシェラのものだと気づくまでに何秒かを要した。
 
 便意を催して悲痛な声で呼びにくることはあっても部屋の中でシェラが粗相をしてしまった記憶がない。ほれぼれするほど見事な排泄物を片づけながら、そういえば、昨夜、寝入りばなにルイが激しく吠える声で目が覚めたのを思い出す。なんだかただならぬ声だったが、それきりになっていた。


☆ルイは何を訴えたかったのだろう?
 あれはルイの声ではなく、シェラの苦しみの呻吟だったのかと思い、家人にも伝えたが、やっぱり間違いなくルイの声だ。目の前でのシェラの異常な行動にルイが反応したのだろう。
 ついこの間まで自分もケージの中で排泄していたルイだったが、このところはもう散歩のときしかウンコをしない(嫌がらせの意図があるときは別だが)。そのへんの自覚があったからこそ聞いたこともないような不思議な声で吠えたのだろう。「そんなところでやったらだめだよ」とシェラをたしなめたつもりなのか、「大変だ、大変だ」とぼくたちに報せようとしたのか、こればかりはわからないが……。

 まさか、シェラがこんなことをするなんて……とのショックよりも、「なかなか出なかったウンコがたくさん出てよかったね。苦しかったろう」とぼくたちはシェラに何度も語りかけながらホッとしていた。
 お腹に詰まっていたものがたくさん出たものの、それでもシェラは気分がすぐれないらしく、散歩から帰ってからの表情がさっぱりさえない。しかも、今朝はまったく朝ご飯を食べてくれなかった。

 シェラ、ここはきみの家だ。どこでウンコをしようが、オシッコをしようがいっこうにかまわない。好きにふるまっていいんだよ。