「やっぱり脚がふるえていますね。ああ、よかった」
おととい、はじめて逢った2歳のコーギーの飼い主のお父さんは、ルイを見てそういった。
たしかに、体重が20キロ近くあるというその子の後ろ脚も、かすかにふるえている。
「ああ、よかった」とは、あんまりだが、ぼくもその子を見ながら、やっぱり“コーギーの脚のふるえは珍しくないらしい”とあらためて思っていた。
ルイの前に12年間いっしょに暮らしたコーギーのむぎも若いころから、やっぱりうしろ脚がふるえていた。
むぎの時代、コーギーはテレビCMの影響でたくさんいたが、うしろ脚がふるえている子はとりたてて記憶にない。
かかりつけの獣医師にも、「うしろ脚がふるえていますけどだいじょうぶでしょうかね」といってみたが、返事がなかった。
たしかに、最後までそのうしろ脚に支障は感じなかった。
だから、ルイが5歳前で同じようにふるえはじめても、あまり心配しなかった。
だが、ルイはときどき歩けなくなった。
そのつど、薬をもらえば1週間ほどでちゃんと歩けるようになった。
専門医に精密検査をしてもらったが、うしろ脚に関しては異状は何も見つからない。
そして、相変わらずときどき歩けなくなった。
ぼくがていねいにマッサージをしてやるとかえって悪化して歩けなくなった。
去年からお願いしている獣医師も「高齢犬だと脚のふるえもよくいる」といい、「歩いたほうがいい」というだけだった。
むぎもそうだったが、ルイも太り気味である。
一念発起してルイの身体を絞ることにした。
家人が与えていたおやつを一切やめた。
朝夕のドッグフードもへらした。
段階的に散歩の距離をのばして歩いた。
筋肉をつけてやろうと思ったからである。
賭けだった。
なおさら悪化してしまうかもしれない。
だが、効果は半年を待たずにあらわれた。
体重の15.5キロを13キロまで絞り込んだ。
いまでは胴のくびれが美しい。
身体全体がスッキリしてきた。
脚のふるえは消えていないが、だいぶ改善している。
散歩の距離をのばしても、今年は歩けなくなっていない。
たくさん歩くので、食生活は以前以上に豊かにして様子をみている。
ルイのダイエット作戦は、緒に就いたばかりだが、いまのところ順調に推移している。
もちろん、ゆだんすればリバウンドをまねくだろう。
ぼくも一緒に身体が絞れたらいうことないのだが、こちらはさっぱり変わらない。
残念でならない。