同志社大学体育会航空部 活動日誌

同志社航空部の活動報告を公開中!

ワイケリー8日目(2012.1.6)

2012年01月07日 | Weblog
前田です。

長いようで短かったワイケリー滞在ですが、とうとう最終日となりました。
高気圧が西進しており、アデレード空港のエマグラムを見ると昨日よりも少し条件がよくなるかな・・考えていたのですが、午前中から高層雲が出てきて空の半分近くを覆うようになってしまいました。高層雲が広がると日射が抑えられてしまうため、地面付近が暖まりにくいので条件は渋くなります。12時過ぎの段階で地上気温25℃、風もかなり涼しく感じられます。
本日は中村さんがASW20で飛んで15時頃に着陸し、その後、私と二人でデュオ・ディスカスでフライトすることになりました(日本人が少なすぎて機体の割り振りが難しくなってしまいました・・)。各機離陸していきますが、どの機体も飛行場周辺で浮いているのが精いっぱいのようで、ASG29までが耐え切れず降りてくるような条件でした。その後は少し条件がよくなったのか、飛行場からは見えなくなっていきました。
15時になって中村さんが着陸。状況を聞くとサーマル上限は4,000ft(約1,200m)でサーマルも弱いとのことでした。最終日でしたので、できれば200kmを自力で飛んで終わりたいと思っていたのですが、この条件と時間では難しいと考え、これでは木曽川滑空場の上限高度と同じではないか・・と思いつつ、南東40kmのWunkarを目指すことにして離陸しました。
2,800ft(約840m)で離陸したもののサーマルが非常に小さく、大きな沈下ばかりで、サーマルを掴みきれないまま高度が下がっていきます。このまま着陸か・・とも考えましたが、何とか+1~2m/sのサーマルに全周入れることができ高度を4,000ftまで上げ、南を目指します。4,000ft付近ではヘイズがたまって視程が悪く、これ以上の上昇は難しいことが分かりました。
できるだけ3,000ft(約900m)以下に高度を下げないよう飛行を心がけますが、デュオ・ディスカスでは全周プラスに入りきることが少なく、緊張したフライトが続きます。全日のフライトと同様に農家の上を伝いながらフライトします。飛行場から25km程度で太陽に高層雲がかかり苦しんでいると、前方にトラクター2台が動くパドックを発見。上空に着くと案の定+3~4m/sの比較的良好なサーマルを発見しました。しかもトラクターの近くで、サーマルが土埃を巻き上げており、その形が分かるほどでした。(これを「ダスト・デビル」と言い、たまに見かけます)後半のフライトでは、家やトラクターのように、サーマルと地上のトリガーの関係を読んでフライトすることが多く、とてもよい経験になります。
なかなか全周プラスにならないサーマルを伝いながらWunkarに到着。すでに16時を過ぎていたためワイケリーに戻ることを判断しましたが、Wunkar近くでサーマルを掴めず、一時2,000ft(約600m)以下に高度を落としてしまい、アウトランディング場を確認しつつサーマルを探すことになってしまいました。+1m/s~-1m/sで粘っていると、高層雲が一時的に外れ、日射が強くなっていたことを感じました。少し我慢していると、無事+2m/s程度のサーマルを掴むことができ、最大の山場を無事超えることができました。飛行場への帰りも同じようなコースを伝いましたが、高層雲が再びかかってきたため、丁寧なセンタリングを心がけてサーマルを掴みます。ファイナルグライドに必要な高度があると分かったら、あとはできるだけL/Dを伸ばすように考えグライドしてきます。飛行場に1,000ft(約300m)で着くように考え、不要なプラスは速度に変えます。グライドでも体のセンサー(上向きG、翼の傾けられ方)に集中し、丁寧に修正していく必要があります。最後は見納めとなるワイケリーの景色を望みながら1,000ftでゴールし、事故なくフライト終了となりました。
距離は残念ながら80kmほどのフライトでしたが、この遠征では一番疲れたフライトでした。
フライトした6日間のうち、前半はサーマル上限が10,000ft(約3,000m)を超える恵まれた条件が3日間続き、その中で飛び方を中村さんにレクチャーしていただきました。後半の3日間はサーマル上限が4,000ft~5,000ftの条件下で1人で飛ぶか、中村さんと飛ぶことになりました。
そのために後半は距離が出せないフライトが多くなってしまいましたが、私としては後半の比較的渋いコンディションで、中村さんから教わったことを活かして飛べたことは大きな自信となりました。条件が上がってくれば、もっと距離は飛べる気がします。
今回はこれでフライト終了となりましたが、クロスカントリーの面白さ、飛行場に戻ってきたときの達成感を十分に感じた遠征となりました。再びオーストラリアで距離飛行をしたいですし、日本でもっとスキルを上げられるよう精進したいと思います。そして、この遠征で得たこと、感じたことを学生に還元できればと思います。(後日、ミーティングなどで報告会を実施するつもりです)
このたびは中村さんご夫妻、デュオディスカス・ASW20のオーナーの方々、ワイケリー・グライディング・クラブの皆さんのおかげでこのような経験ができたことに感謝したいと思います。
私は現地時間7日8時25分発のアデレード行長距離バスで出発し、アデレード→シンガポール→羽田→伊丹で8日朝に帰国する予定です。中村さんご夫妻は私より1日長く滞在し、同じくシンガポール経由で帰られるそうです。
長々と一週間レポートを書き続け、拙い文章ではあったかと思いますが、お読みいただいた皆様ありがとうございました。最終回は投稿が遅れましたが、何とか全日書き終えましたので、次は学生の2月合宿(?)にバトンタッチします。

(学生の皆さんへ)
データによると、この活動日誌を1日120~130人ご覧になっています。OB/OGの方も多いと思いますので、日々の活動を積極的に報告してくださいね。きっと現役とOB/OGの距離も縮まります。学生時代にこの活動日誌を立ち上げた者としてのお願いです。


最後に一言多かったですが、これで失礼いたします。

※5,6日のフライトデータをOLCにアップしておりますので、よければご覧下さい。
http://www.onlinecontest.org/olc-2.0/gliding/flightbook.html?sp=2012&st=olcp&rt=olc&pi=45408