Dr.K の日記

日々の出来事を中心に、時々、好きな古伊万里について語ります。

伊万里 染付葡萄蝶文膾皿(五客組)

2020年05月05日 17時28分42秒 | 古伊万里

 今回は、「伊万里 染付葡萄蝶文膾皿(五客組)」を紹介いたします。

 この膾皿も、前回紹介した「伊万里 染付牡丹文輪花形小皿(五客組)」と同様、約4年前に手に入れたものです。

 ただ、手に入れた場所は、骨董市でではなく、或る古美術品交換会ででした。

 これまた、特に気に入って手に入れたわけではなく、いわば、義理買いで手に入れたようなものです(-_-;)

 といいますのは、その古美術品交換会は売上金の歩銭で運営しているものですから、時々は、売り上げに協力する必要があるんですけれど、ここのところ、暫く買っていませんでしたので、そろそろ、何か買ってやって、売り上げに協力してやらねばな~と思ったからです。

 そうしたなか、この膾皿が競りにかけられたわけですけれど、最近では、こうした物も、無疵の五客組となると、なかなか登場しなくなったものですから競り落とす気になったわけですね。

 ところで、そもそも、この手のものは、私が古伊万里の収集を始めた頃は、十把一絡げで幕末物と呼ばれたものでして、「古伊万里」としての仲間入りはさせてもらえなかったものですね。

 でも、その後は、市場に「古伊万里」が枯渇してきたこともあって、「古伊万里」の仲間入りをはたすようにはなりましたけれど、やはり、美術品としての「古伊万里」の扱いではなく、実際の生活の中でも使用できる生活骨董としての「古伊万里」の扱いにとどまるでしょうか。

 私は、やはり、「三つ子の魂百までも」じゃないですけれど、美術品としての「古伊万里」の収集からスタートしましたので、なかなか生活骨董としての「古伊万里」の収集には熱が入らないわけですが、以上のような事情から、この膾皿を手に入れたわけです。

 くどくどと、前置きが長くなりましたが、その無疵の膾皿五客組というものは、次のようなものです。

 

<その1・・・葡萄の房が上向きの状態の画像>

伊万里 染付葡萄蝶文膾皿(五客組)(表面)

製作年代: 江戸時代後期

口径:14.8~15.0cm 高さ:4.8~4.9cm 高台径:9.5~9.8cm

 

 

<その2・・・葡萄の房が下向きの状態の画像>

 

 

 

裏面

 

 

<その1・・・葡萄の房が上向きの状態の画像>

表面(1枚のみをアップ)

口径:15.0cm  高さ:4.9cm  高台径:9.8cm

 

 

<その2・・・葡萄の房が下向きの状態の画像>

 

 

 

裏面(1枚のみをアップ)

 

 


 

<追記>(令和2年5月6日)

 越前屋平太さんから、次のような趣旨のコメントが寄せられました。

「ヤフーブログ時代からお付き合いのあるDr.Kさんが古伊万里の葡萄の絵の深皿を投稿しておられ、そこで葡萄の房の向きがちょいとした話題となりましたので、手持ちのそば猪口を取り出してみました。
 この取り出した手持ちのそば猪口にも、葡萄文が描かれていますが、なぜか房が上向きについています(笑)。
 これ、「逆じゃないの?」という話ですが、モノがそば猪口なので天地を間違えるはずもなく、大真面目に描いてある葡萄の図です。
 葡萄は垂れ下がった房が大きな特徴ですが、これを「成り下がる」と見て嫌う向きもあったようで、古伊万里の図柄では房は敢えて上向きに、実も沢山つけて豊穣・多産を願う吉祥文としています。
 江戸の人たちは言葉や文字、絵柄などから「念」を感じ、それを生活の中の指針のひとつにしていたということなのでしょうね。

 なお、この手持ちのそば猪口には蝶も描かれていますが、そこに描かれている蝶の向きも、この膾皿の葡萄の房が上向きなっているほうに描かれているような方向に描かれています。そのほうが自然に思われます。蝶の向きからしても、葡萄の房が上向きなっているほうが合ってるように思いますけど、、、。 」

 

 また、森川天さんからも、次のような趣旨のコメントが寄せられました。

「私も、越前屋平太さんのコメントに同じです。人の目線から眺めますと、葡萄は棚から下がっているイメージがありますが、植物は天に向かって成長する様を描くようです。 」

 

 越前屋平太さん、森川天さん、貴重なご意見をありがとうございました(^-^;

 現代人と、江戸時代の人とでは感覚が違うんですね。少なくとも、江戸時代の人は、葡萄の房を上向きに描いたんですね。

 それで、上の記事には、葡萄の房が上向きのものと下向きのものとの両方の画像を掲載しておきました。