今回は、「伊万里 染付 双馬文 輪花形中皿」の紹介です。
表面
裏面
針支えが無かったため、高台内はヘタッて垂れ下がっています(上の画像では、逆に、上に盛り上がって見えます)。
それが、ロクロ作業がよほど上手だったためか、中心に沿ってきれいに垂れ下がっています(^_^)
側面
画像からは見えずらいですが、この皿を平らな所に置くと、高台内のヘタッた突起部分を中心にして、全体が浮き上がります。
ですので、少し動かしてみますと、ちょうど、独楽(こま)のようにクルクル回ります(^-^*)
これが、この皿の最大の特徴でしょうか(笑)。
製作年代: 江戸時代後期(1760~1790年代)
サ イ ズ : 口径;19.1cm 高さ;2.9cm 底径;11.6cm
ところで、伊万里には、案外、馬を描いたものは少ないようです。でも、どういうわけか、この中皿のような漫画チックな馬を描いたものは、図録などでも時折り見かけます。
佐賀県立九州陶磁文化館にも、この皿に似たものが収蔵されていますので(「柴田コレクション総目録№3492」及び「「柴田コレクションⅣ図205」)、それを次に紹介いたします。
染付 双馬松文 輪花皿 表面
1760~1790年代 口径:18.5cm 高さ:3.3cm 底径:11.3cm
「柴田コレクションⅣ図205」から転載
染付 双馬松文 輪花皿 裏面
なお、この中皿に関しましては、かつての拙ホームページの「古伊万里への誘い」でも既に紹介していますので、参考までに、次に、それも紹介いたします。
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<古伊万里への誘い>
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*古伊万里ギャラリー189 伊万里 染付 双馬文 中皿 (平成26年1月1日登載)
よ~く見ると馬の絵だかなんだかわからないところもあるが、概ね、馬が二頭描かれているいるのだろうということは認めていただけるであろう。
それに、馬の後方に描かれている三つの植物のようなものも、「松」が描かれているのだろうということも認めていただけることと思う。
そうであれば、この皿は、「午」年の正月にはピッタリの皿である。
ところで、この皿は、高台の部分が垂れ下がり、しかも、垂れ下がった部分は高台畳付部分よりも下がっているので、平らな所に置いた時に座りが悪い。
ただ、その垂れ下がり方は、均等に徐々に垂れ下がっていて、中央が尖った状態に垂れ下がっている。ちょうど独楽(こま)のような形状になっている。しかも、ロクロ技術が優れていたためか、左右均衡を保っていて、平らな所に置いた時にも片側に倒れることなく、垂れ下がった高台の中心の尖った部分を支点にして水平を保っている。その支点部分以外は宙に浮いているわけである。
そのため、平らな所に置いて回してみると、クルクルとよく回るのである。なんか、独楽回しを楽しんでいるようである。
江戸時代後期 口径:19.1cm 高台径:11.6cm
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*古伊万里バカ日誌119 古伊万里との対話(双馬文の皿) (平成25年12月筆)
登場人物
主 人 (田舎の平凡なサラリーマン)
双 馬 (伊万里染付双馬文中皿)
・・・・・プロローグ・・・・・
今年は「午」年である。
主人は、「午」年の元旦にあたり、「馬」が描かれた古伊万里と対話をしてみたくなったようで、押入れから「馬」が描かれた古伊万里を引っ張り出してきて対話をはじめた。
主人: 新年おめでとう。今年は、「午」年だから、お前達の「年」だね。
双馬: おめでとうございます。「午」年の元旦にさっそく登場させていただきありがとうございます。
主人: ところで、我が家にも、馬を描いた古伊万里があったはずだな~ということだけは覚えていたんだが、何時、何処で、いくらで買ってきたのかはすっかり忘れてしまった。
それで、今、「押入れ帳」を見てみたら、昭和58年に我が家に来ていることがわかった。もう30年も前になるんだね。そんなに前に我が家に来ていたのかと思って、ちょっとびっくりしたよ。
それに、地元の或る地方都市の古美術店から買ってきたことになってるんだけど、もう、そんなお店はとっくの昔になくなっちゃてるしで・・・・・、なんか、こう、忘却の彼方からお前達がやってきた感じだね。
また、値段だって、今の相場よりも高かった。私は、今だったら、高すぎるから買わないだろうね。まっ、骨董の相場なんてものは、時の流れに従って推移するから、その場になってみないとわからないけどね・・・・・。
双馬: 値段的には高すぎるのに、それにもかかわらず、あえて買ったようですが、それには何か理由があるんですか?
主人: いや、値段的には、当時としては、高過ぎるとは思わなかったな。まっ、それが相場だと思っていた。古伊万里の相場としては、今が安いんだろう。
それはともかく、私がお前達を気に入ったのは、その絵付けだね。ズバリ、馬が二頭、大きく描かれているものね。これは、「午」年の時に飾り皿として使えるな! とか「午」年の時に食器として使えるな! と思ったので買ったんだ。
双馬: でも、その後の「午」年の時に使わなかったですよね。ず~っと押入れに入れっぱなしでしたよね。
主人: そうなんだよね~。買う際は熱くなっているから、あまり欠点に目がいかないんだけれど、買って家に連れ帰り、冷静になって良く観察すると、欠点が目についてくるんだよね~。
染付で塗り潰した方の上を向いた馬なんか、首が異様に太く長く、ラバか一瘤ラクダみたいで、馬になんか見えないんじゃないの。しかも、顔の部分がどうなっているのかもよくわからない。ただ、足の描き方が上手なので、「馬」なんだな~とわかる感じだものね。下を向いている白黒ブチの馬だって、顔がどうなっているのかよくわからないね。
それで、やっぱり江戸後期のものは鑑賞には耐えられないな~、食器として使用するほかないんだな~と思い、押入れに入れてそれっきりになってしまったわけよ。
双馬: その後、食器としても使っていないですよね。
主人: そうだね。お前達の存在を妻にも話していなかったので、妻が食器として使用することもなく過ぎてしまっているね。ゴメン。
そうそう、今、気が付いたんだが、お前の高台は垂れ下がっていて、中央が尖り、ちょうど、独楽(こま)のようになっているんだよね。そのまま平たい所に置くと、高台の中央の尖りが畳付よりも下になっているので、ガタついて座りが悪いが、回してみるとクルクルと独楽のように実に良く回るんだ。
それで、今、思い付いたんだけど、少人数用の食卓の中央に料理を盛って置き、回転させて使えば使えるな~と・・・・・。ちょうど、中華料理の円卓のようにして・・・・・。
それに、良~く見ると、双馬の後の方に描いてある植物のようなものは「松」にも見えるよね。
そうしたら、ど~よ。「・・・・・お正月には凧あげて、独楽を回して遊びましょ・・・・・」の歌の文句じやないけれど、お正月に料理を盛って食卓の中央に置き、皆でクルクルと独楽を回して遊ぶように回して料理を取り分けてゆくと、お皿からは「馬」と「松」の絵が現れて来るという趣向は・・・・・。
双馬: それはなかなか面白い趣向ですね。
主人: そうだろう!
でもね、それは、12年にいっぺんの「午」年の、しかも、正月の数日間だけの使用になってしまうね。出番は極めて限られるな!
双馬: でも、ず~っと押入れに入りっぱなしよりはましです!
向こうの3つは松、では手前の2つは何でしょう。私には,猪の子、ウリ坊に見えるのですが・・・・そうだとすると、亥年にも使えるので6年に一度になりますね(^.^)
確か、私も駆け出しの頃、馬柄の伊万里皿(甘手)を買った記憶がかすかに・・・探してみます(^^;
重ね焼きしたのでしょうけれど、その際、何かの道具(?)を使うと、そのような現象が現れるんでしょうか?
それにしても、上手い具合に、回っている独楽のように、ヘタッた中心部分だけで立っているんですよね(^_^)
言われてみて、もう一度、手前の二つは、何が描かれてのかを見てみましたが、分かりませんでした(><)
ウリ坊だとすると、猪年にも使えますから、12年のうちに二度使えますので、お得感は倍増しますよね(^-^*)
遅生さんも、馬柄の伊万里皿を買った記憶がありますか(^_^)
是非、探し出してください(^-^*)
馬を描いた伊万里って少ないと思います。ただ猪口などに描かれているのを見た記憶があります。おそらく価格が上がっていたと思います。私が手に入れておりませんから(笑)。おそらく今、この絵柄が出てくれば、ヤフオクでは上がると思います。珍しい絵柄ですから。有難うございます。
私も、これ以外では、2019年5月19日の「骨董市と古美術品交換会」に記事の中で紹介しました「古伊万里様式染付道中文渡し図小皿」を持っているくらいです。
その「道中文渡し図小皿」の中に馬が描かれているんです。
私も、これを契機に、馬の絵が描かれている伊万里に注目し、心懸けて集めたいたいと思います(^-^*)