厳しい高校生の就活状況

2010-12-09 18:06:08 | 議会活動
12月6日、東御清翔高校へ就職活動の状況を聞きに行きました。来春卒業予定の県内高校生の10月末時点の就職内定率は65.8%との報道がありました。9月の有効求人倍率も上田地域は0.58と全県の中でも最低となっており就職環境はきわめて厳しいものがあります。

〇10月末日現在の就職内定率
 18年卒業70.9%、19年卒業73.9%、20年卒業74.6%、
 21年卒業73.7%、22年卒業64.0%、23年卒業65.5%
〇23年卒業者のブロック別内定率
 北信65.9%、東信49.1%、中信61.7%、南信76.5%

こうした状況に対応するため、長野県教育委員会は就職活動支援事業として就職状況が厳しく就職指導が困難な高校に就職活動支援員を配置しています。東御清翔高校にも社会経験豊かな人材が配置されています。

ヒアリングの中で11月末の東信地域の高校別の内定状況が明らかになりました。すなわち上田千曲高校90%、上田高校定時制50%、丸子修学館高校67%、東御清翔高校55%、立科高校65%、望月高校26%、坂城高校75%です。実数で見ると丸子修学館高校と東御清翔高校のそれぞれ23人が就職が決まっていません。

就職活動支援員の方は民間企業で役員まで勤められた方で、生徒からの相談に親身になってのり、現役時代の幅広い人脈を活かして積極的に企業への売り込みを行なって来ています。それでも内定率はやっと半分程度。3月までで7割まで行けばいいそうです。

支援員の方のお話では企業を訪問して「東御の子だったらいらないよ」などと心ない言葉を投げつけられることもあるとか。かつて高校が荒れていて地域に迷惑をかけたこともありました。しかし今では生徒の皆さんも保育園でのボランティア活動などを進んで行なうなど、地域にとけ込んできています。しかし悪いうわさは一朝一夕に消えるものではありません。そんな苦労話も聞かせていただきました。

高校生の就職斡旋は長野県として取り組まれていますが、地元のまちとしてこうした取り組みを支援することが必要だと感じています。まちとしての緊急雇用対策はどうなっているのでしょうか。

9月に「新規学卒者雇用促進事業補助金制度」を設けるとの方針が示されました。対象者はここ3年間に中学校・高校・短大・専門学校・大学を卒業した方で市内の事業所に入社した場合、労働者1人あたり30万円を企業に支給するというものです。ほかに国や県の雇用奨励金制度もありますが、企業側からの引き合いはあるのでしょうか。

今後支援員の方の一層のご尽力を願うものですが、聞くところによると12月末で任期が終了するそうです。就職担当の支援員さんへの評価はとても高く、教師ではできないきめ細かな就職支援活動を行なっていただいているとのことでした。これまでは教師が授業の合間に企業を訪問してきました。企業担当者との面識もなく苦労してきたそうです。引き続き支援員さんの派遣を県に要請していただきたいと思います。

生徒の家庭環境の中で一人親家庭の割合も多く、経済的理由から就職を決めても運転免許がとれないという状況も生まれているそうです。就職が決まったからいいというのではなく、運転免許を取得するなど就職するにあたって必要となる資金を貸し付ける制度もあってもいいのではないでしょうか。

雇用が増えるのではないかと期待している日信工業さんの鞍掛工業団地への進出は、平成24年3月までに決定するということでまだまだ先のことです。円高などの影響で海外進出との話も聞かれ、決して楽観できる状況ではありません。

生徒の皆さんがみんな就職できることを願って東御清翔高校を後にしました。

みそかつ丼の舞台裏

2010-12-09 09:37:52 | 議会活動
12月8日は同僚議員と一緒に佐久市望月支所を訪問しました。今年の春からスタートした「みそかつ丼」のことをお聞きしたかったからです。私は以前からみそかつ丼に注目しておりこれまでに2回家族で食べに行っています。その時のことは6月8日のブログをご覧ください。

みそかつ丼ご存知ですか?(平成22年6月8日)

取材の後、きしめんやさんのみそかつ丼を賞味しました。濃厚な雁喰味噌と分厚いカツの旨みがちょうどマッチして、とても美味しくいただきました。一緒にいただいたきしめんもよかったです。

みそかつ丼の味噌の原料の雁喰豆です。もともとは黒豆なんですね。

スタートは東春睦会さん
支所では担当の方からみそかつ丼にかかわるお話しをお伺いしました。最初の取り掛かりは東春睦会(13名)だったそうです。この会は春日東部の耕作組合の女性部で、これまで自家用の味噌加工を手がけて来ました。一部販売もしていたようです。加工施設を建て直したいという希望があり、平成21年に元気作り支援金事業の補助金で改修に着手されました。ここに支所の担当者の方がかかわったそうです。

さとうもち復活へ
そんな中で平成20年にまちづくり交付金事業があり、望月の特産品をつくろうということで特産品開発事業が取り組まれました。昔望月に「さとうもち」あり、これを現代風にアレンジしたらどうかということになったそうです。望月には昔からこの地域だけで作られていた雁喰豆(黒豆の一種)があり、これをきな粉にして「さとうもち」を作っていたそうです。望月には2軒のお菓子屋さんがあり取り組んでいるそうです。

雁喰豆で味噌を
雁喰豆に注目していたのはバリューアップ研究会の漬物部会の皆さん(20人)でした。昔から畑のそばで雁喰豆を作っていたそうです。この豆の用途開発が課題となりそこで東春睦会さんにお願いすることになったそうです。

県の工業技術試験場や味噌組合さんからの支援を受け平成21年3月に仕込みが始まり、10月にできあがり特産品研究会で報告会を開催したそうです。出席されていた飲食店の社長さんに高く評価していただき、これを使って何かやったらどうかという提案がありました。

危機感を持っていた飲食店
平成22年1月にはみそかつをやろうと話しがまとまり、飲食店に声をかけたら10軒が手を上げ動きが広がって行きました。こうした動きの背景には地元商店主の中に危機感がありました。10万都市ができたが中心部は良くなったかもしれない。しかし周辺部は落ち込んで来ています。合併前は役場もありそれなりにお客さんもあり宴会などもあったが、合併して地域は逆に衰退して来ているという危機感がありました。

そんな中でこのままではいけない、何とかしようという共通した思いがありました。そうした思いを結びつけ連携させていったのが支所の担当者でした。飲食店の皆さんは調理はやるがPRは決して得意ではありません。みそかつ丼発表会、宣伝広告などは市の担当者がコーディネートして行きました。役者は飲食店の皆さん、お膳立ては市職員が行い汗をかく、こんな構図が出来上がって行きました。

いろいろなみそかつ丼があっていい
3月27日にみそかつ丼発表会があり、4月3日からスタートしました。大勢のマスコミが訪れ、この対応はすべて市の職員の方が行ないました。こうした中で地域の話題にもなり、お客さんもきていただき飲食店もやる気が出てきました。それに連れて味も良くなって来ました。

みそかつ丼はイタリアンレストランからお寿司屋さんまで幅広い飲食店で提供されています。それぞれがとても特徴のあるみそかつ丼を作っています。そんなみそかつ丼の定義は3つだそうです。まず何よりも雁喰豆を使うこと、肉は信州ポークがお勧めだが国内産であればOK、野菜とコメは地元産ということです。味は決めていないそうです。

みそかつ丼の広がり
これまでに提供したみそかつ丼は2万食以上。地元の方はもちろん、最近では県外者も目立つそうです。インターネットで見たという大阪の方もあったそうです。最近中高年の食べ歩きのブログにも掲載され、そんなところからも口コミで広がって行っているそうです。同じ佐久市内の安養寺らーめんとの食べ歩きも行なわれているそうです。JR東日本のデスティネーションキャンペーンでも取り上げられています。

頑張っている人は応援したくなる
そんな中、みそかつ丼の「桃太郎旗」(宣伝用の旗の業界用語)が古くなり取り替えることになりました。もともと望月は書家の比田井天来(ひだい・てんらい)の出身地。比田井門下の方にボランティアで揮毫していただき、副市長のアイデアでオリジナルのれんもできています。

いま副市長室の入り口にはみそかつ丼ののれんがかかっているそうです。副市長室を訪れるお客様の目にとまり話題になるそうです。市議会議員さんの視察の際もわざわざみそかつ丼を食べに来たり、望月で会議が開かれる時もみそかつ丼にするなどの動きも出ています。

駒月ブランド発表へ
12月5日付の信濃毎日新聞に「駒月ブランド商品-あらたに5点を発表」という記事が載りました。記事によれば「中山道望月宿特産品開発研究会」は「駒月ブランド」として「駒月みそ」と駒月みそを使ったカステラやまんじゅう、地元産山ぶどうのワイン2種類を発表したそうです。

これからは望月の特産品として「駒月」を食文化のブランドとして育てて行きたいそうです。駒月とは「駒の里望月」からとったネーミングです。米粉パンを使った「駒月ミソバーガー」なども販売して行きたいと言っていました。

地域力と行政のハーモニー
みそかつ丼が地域の活力を引き出しています。この成功の背景には何よりも地域の皆さんの真剣な取り組みです。何もかも行政まかせというのではなく、自分達で知恵を出し汗を流してフットワーク良く取り組んだということです。そしてその取り組みを他のグループにつなげたり、行政の補助金事業などとつなげていった支所の職員の方の存在です。

地域の力と行政がつかず離れず、ちょうど良い距離感を持ってそれぞれが取り組んだことが大きな力を産みました。私はB級グルメの実態についてヒアリングしたつもりでしたが、その底に流れているものは協働のまちづくりの理念でした。行政頼みでは成功しないし、行政が旗を振っても市民が踊らなければ成功しません。

ポイントは協動のまちづくり
FMとうみ開局の際、「東御市は風呂屋と酒屋と不動産屋を経営してきた。今度は放送局もやるだかい」と冗談で言った方がいました。ことほど左様に東御市の場合行政主導があちこちの場面で目につきます。本来なら裏方に回るべき行政が民間と伍しているのです。

みそかつ丼を取材して一番感じたのは地域力をどう引き出すかということです。東春睦会さん、バリューアップ研究会さん、地域の飲食店のみなさん、それぞれが力を発揮し、それを行政がコーディネートし結びつける。これに係わった皆さんお一人おひとりが自分居場所を見つけてそこで精一杯頑張っていらっしゃるということを感じました。

この思いをまちづくりに生かして行きたいと思います。望月支所の皆様ありがとうございました。帰りにみそかつ丼を賞味してきました。これで10店のうち3店を回ったことになります。あと7店、機会を見つけて食してみたいと思います。

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