引き続き温泉施設問題です

2011-09-19 23:38:46 | 議会活動


前回のブログの内容をグラフに表してみました。利用者の中における年会員の割合と利用額における年会員の割合を見てみましょう。

御牧乃湯では驚くべきことに利用者の半分は年会員の利用です。ゆうふる田中でも年会員の利用は50%近くまで達しています。その反面、利用料における年会員の割合は20%から30%程度となっています。

湯楽里館ではそれほど年会員の割合が多いわけではありません。

このグラフをじっくりと見てみようではありませんか。

温泉施設の経営戦略を考える

2011-09-19 15:00:56 | 議会活動
これまで2度にわたって東御市の温泉施設の問題点を見てきました。今回は温泉施設の経営戦略という点から考えてみたいと思います。

温泉施設の経営戦略を考える場合、日帰り温泉施設の乱立による競争激化、景気後退による影響などから利用者数は毎年減少しているという現実があります。利益は顧客数と顧客単価の乗数であることからすれば顧客単価をいかにして上げるかが至上命題です。

ところが入館料は500円と決まっているので、飲食やその他のサービスによる顧客単価増を目指すことになります。現に真田町の十福の湯など民間の日帰り温泉では飲食のみならずお土産など多彩な品揃えをしています。こうして500円の入館料に加えて、食事をしたりお酒を飲んだり、マッサージを利用したりすることで、収益増を図っています。

もともと日帰り温泉施設は温泉部門だけをとってみれば構造的な赤字体質があります。施設の大型化や灯油などメンテナンス費用の高騰などから温泉だけでは経営的に厳しいものがあります。こうした温泉施設の赤字を補っているのが飲食部門です。温泉に入りに来たお客さんが食事をしたり、お酒を飲んだり、お土産を買ったりすることで売り上げ増を目指しているのです。

ところが東御市の場合、温泉施設の管理運営を東御市振興公社(社長:花岡市長)に委託しています。しかし委託契約は温泉施設の管理であり、飲食の提供などは振興公社の自主事業とされています。恒常的な赤字部門である温泉施設の管理は委託事業であり、その赤字は市からの委託料でまかなっています。一方、民間であれば収益部門である物販や飲食は振興公社の自主事業なのでその果実はすべて振興公社のものとなります。

言ってしまえば振興公社はいいとこどりの契約を市と交わしているのです。温泉の赤字は市で補填してもらえ、収益の源泉である物販と飲食は自分達のふところに入るというわけです。これでは誰がやっても失敗することはありません。まさに親方日の丸の経営と言ってもいいでしょう。

温泉施設の管理運営を委託するのならばすべてひっくるめて委託すべきです。そしてその中で経営努力をして赤字が出たらその分だけを一般会計で面倒を見ればいいのです。親方日の丸経営ではコスト削減や新規事業への挑戦などの経営努力は期待できないでしょう。

市民がたまには家族連れで温泉に出かけ、ゆっくりと一日過ごし家族団らんと明日への鋭気を養ってもらうという観点で、市民の福利厚生のために温泉施設が建設されたはずです。これで良いのでしょうか。

温泉施設の年間利用券を考える

2011-09-19 04:18:04 | 議会活動
温泉施設への公的資金投入について考えています。その中で年間利用券の問題について考えて見ます。温泉施設の年間利用券については昨年9月28日のブログにも書きましたが、わかりにくかったと思いますので再度整理してお知らせします。

ここで検討するのは湯楽里館、ゆうふる田中、御牧乃湯の3施設とします。明神館は宿泊施設が併設されており一緒に検討するには不適当でした。

(1)現在東御市の各温泉ごとの年間利用者は平成21年度で以下の通りです。

湯楽里館   年間会員 235人 半年会員 120人 会員総数 355人
ゆうふる田中 年間会員 246人 半年会員 185人 会員総数 431人
御牧乃湯   年間会員 151人 半年会員 106人 会員総数 257人

(注)年間会費40,000円、半年会費22,000円

(2)半年会員が1年を通じて利用したとして会員利用額は下記のとおりになります。

湯楽里館   14,680千円
ゆうふる田中 17,980千円
御牧乃湯   10,704千円

(3)これに対し発表されている入館料収入は以下の通りです。

湯楽里館   110,133千円
ゆうふる田中  91,906千円
御牧乃湯    41,244千円

(4)上記から会員利用額を差し引くと一般利用額がわかります。

湯楽里館   95,453千円(110,133-14,680)
ゆうふる田中 73,926千円(91,906-17,980)
御牧乃湯   30,540千円(41,244-10,704)

(5)一般利用額を500円(御牧乃湯は400円)で割れば一般利用者数がわかります。

湯楽里館   190,906人(95,453÷500)
ゆうふる田中 147,853人(73,926÷500)
御牧乃湯    76,351人(30,540÷400)

(6)発表されている利用者総数から一般利用者数を差し引けば年間会員の延利用者数がわかります。

湯楽里館    94,363人(285,269人-190,906人)
ゆうふる田中 127,173人(275,026人-147,853人)
御牧乃湯    75,606人(151,957人-76,351人)

(7)上記を会員数で割れば年会員の平均回数がわかります。

湯楽里館    265.8回(94,363人÷355人)
ゆうふる田中  295.1回(127,173人÷431人)
御牧乃湯    294.2回(75,606人÷257人)

これで見ると年間券を利用されている方は約300日温泉に来ていることがわかります。休館日もあるのでほとんど毎日ということです。まさにご自宅の風呂がわりに利用しているのです。

(8)もしこれだけの回数を500円(御牧乃湯は400円)を払ってきていただければ下記の金額になります。年間会員の延べ利用者数に正規の利用料をかけます。

湯楽里館    47,181千円(94,363人×500円)
ゆうふる田中  63,586千円(127,173人×500円)
御牧乃湯    30,242千円(75,606人×400円)

(9)すなわち年間利用券制度があるために失った利益(逸失利益)は上記の金額から会員利用額を差し引けば出てきます。

湯楽里館    32,501千円
ゆうふる田中  45,606千円
御牧乃湯    19,538千円

逸失利益の合計は3施設で9800万円にもなります。これは一般会計から支出する指定管理経費委託料8670万円に匹敵するものです。

年間券をご利用いただいている方は年間4万円を払うことで1年間に約300日利用しています。もし500円払ってご利用いただければ15万円かかるので、11万円もお得ということになります。年間会費4万円を平均利用日数で割ると1日あたりの実質的な利用料が出ます。すなわち1回あたりの料金は133円ということになります。

こうしてみると年間利用券制度が温泉施設の経営を圧迫している一つの要因であると言えます。当初この制度を導入した際はこれほどまでのヘビーユーズを想定していなかったのではないでしょうか。そろそろ見直しの時期に差し掛かっているのではないでしょか。

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