(写真)増改築工事中の市役所本庁舎
12月9日の全員協議会で、市側から舞台が丘整備事業について現在進めている市役所本庁舎の増改修工事に1億1700万円にのぼる大幅な増額が生じたことについて報告がありました。この件については12月議会に竹中工務店との契約金額変更(16億300万円→17億2000万円)の議案が上程されています。
本庁舎増改修工事は「できるだけあるものを使う」という精神のもと、既存建物を活かして新しい図書館を含めて一緒に建設するというものでした。工事費が増加した理由として市は以下3点をあげていました。
①、既存棟と新築棟についてはそれぞれで申請し承認を得た。しかし審査の過程で既存棟と新築棟を結合したときのバランスが問題となり建築審査会で新しい建築基準法で行うように求められたこと。
②、既存建物の解体工事にあたって既存部分をできるだけ使う予定であったが、思った以上に建物の状況が悪かったこと。
③、上記にあわせ建築工法の変更や設備の仕様変更を行ったこと。
こうしたことから耐震改修工事は当初2500万円から5100万円に2600万円の増となり、新たに1800万円の既存建物補修工事が発生することになりました。撤去解体工事費は1800万円から2900万円に1100万円の増となりました。
この他図書館エレベータや蓄熱槽の仕様変更、山留工法変更などで2400万円の増、舞台が丘会館の衛生設備改修工事、北館の改修工事、冷暖房設備の改修工事など当初計画になかった工事も発生し1350万円の増となっています。
以上あわせて総工事費は、当初計画の16億300万円から17億2000万円に、1億1700万円増えることになったそうです。
全員協議会では、こうした建設費の増がなぜ生じたかについて各議員さんから市側に対して厳しい質問が出されました。その過程の中で市は県の確認申請の許可が下りる前の暫定図面で入札を行っていたことが明らかになりました。建設許可が下りたのは9月20日、入札が行われてのが4月下旬。5ヶ月も前に入札していたことになります。
確認申請の許可をまたずに入札を行うことはまさに異例中の異例だとのこと。その理由として、既存建物を活かして使うので解体工事と建設工事を一体化して行うほうがやりやすいこと、3・11から工事資材の調達が困難になる恐れもあり入札を急いだとの説明が市側からありました。
その結果、確認申請がなかなか許可されないという想定外の事態に陥り、解体工事はともかく増改築工事が遅延することになり、さらには耐震工事、改修工事などの工事計画の根本的見直しにまで発展することになりました。
この問題は総括質疑でも問題になりそうです。しかしすでに建物が取り壊されている現状からすれば途中で工事をやめるわけにも行きません。事前の検討不足、県との調整不足が露呈する結果となりました。
いま市は保育園の建設工事もあるなど合併特例債の期限を前にして建設ラッシュです。建設担当部門にかかる負担は大きなものがあります。こうしたことが検討不足につながったのではないでしょうか。スピードも大切ですが、そのための検討不足で支払わなくてもいい税金がかかるようでは本末転倒です。再発防止策を真剣に検討すべきです。