引き続き舞台が丘整備計画を考えます。今回は防災計画との関係で考えてみたいと思います。舞台が丘整備計画の中で市は以下のように述べています。
各施設の耐震改修を行うとともに、災害対策本部となる市役所や東御清翔高校を含め広域避難場所となる各施設の連携を強化し、舞台が丘地区全体を一体的な災害時の拠点とするため、新たに市道県・東深井(あがた・ひがしふかい)線の延伸計画を進めることとしました。
それでは大規模災害が起きた場合どのような被害が想定されているのでしょうか。市で作成したハザードマップを見てみましょう。下記はハザードマップの一部です。薄茶色の斜線は土石災害警戒区域です。川沿いの緑色の部分は浸水想定区域です。
この地域でもし大規模災害が起きるとすれば北側の山の崩落による土石流です。江戸中期、寛保2年(1742年)8月1日に発生した「戌の満水」(いぬのまんすい)と呼ばれる大災害では所沢川(しょざわがわ)が山崩れによる鉄砲水で大氾濫し、祢津で60人、金井で113人が流死しています。
祢津小学校の東側、所沢川近くの農地に「八間石」と呼ばれる巨石があります。これはそのときのなごりで500m流されたとされています。また金井では犠牲者を弔うため火祭りが行われています。土石流は常田・田中宿を直撃し、本陣など100軒以上の建物を押し流しました。田中宿の壊滅で、海野宿が本宿機能を持つようになり、田中宿の回復には20年以上かかったとされています。
ハザードマップをもう少しよく見てみましょう。土石災害警戒区域は市役所のすぐ上まで伸びています。針の木川、求女(もとめがわ)川では河川の浸水が想定されています。一方東御中央公園や武道館、体育館、東部中学校などは土石災害警戒区域外となっていることがわかります。確かに中央公園周辺は高台になっています。
こうしたことを考えた場合、防災拠点をすべて市役所周辺に集約することは必ずしも適切ではないのではないでしょうか。ここには求女川、針の木川が集中し、ここからの浸水も考えられます。防災拠点を一ヶ所に集中することは作業効率上はいいかもしれません。しかし防災拠点が被害にあった場合には動きがとれなくなります。リスク分散は防災の鉄則です。
市役所は重要な防災拠点ですが、それとともにより安全な中央公園周辺も防災拠点としての機能を持たせるべきです。中央公園はサンライン、グリーンパーク道路に接し、高速のインターチェンジにも近く、芝広場は緊急時のヘリポートにも指定されています。中央グラウンドは緊急車両の駐車場として活用できます。
東御清翔高校を通る道路が防災に役立つことは否定しませんが、それはあくまでも市全体の防災対策の一つに過ぎないことを認識すべきです。全体としての防災計画の一つの選択肢に過ぎません。道路をつくることが何か防災にとって必要欠くべからざる施設のように言うのは何か違和感を覚えます。
そして私が気になっているのは市民病院と助産所のことです。市民病院や助産院は土石流が発生した所沢川沿いにあります。この地域はハザードマップでも緑色で示された浸水想定域となっており、市民病院の北側の保健センターの東側は天井川になっています。確かにハザードマップでは洪水被害は川の東側となっていますがはたしてそれでいいのでしょうか。
3・11の大災害で私たちは想定外という言葉を何度も聞きました。そして自然が人間の想定をはるかに凌駕し大きな被害をもたらしました。人間の小ささ、自然の強大さを思い知らされました。そうしたことを考えるとさらなる見直しが必要ではないかと思うのです。
ハザードマップでは高速道路が堤防の役割を果たすことが期待されているようです。高速道路より北側はすべて土石流警戒区域となっていますが、南側は高速道路の土手の開口部からの土石流を想定しています。しかし土石流が高速道路の土手を乗り越えてくることはないのでしょうか。土手を崩して流れ下るということはないのでしょうか。最近の雨の降り方の激しさや山が一気に崩落する災害も起きていることを考えると気になります。
各施設の耐震改修を行うとともに、災害対策本部となる市役所や東御清翔高校を含め広域避難場所となる各施設の連携を強化し、舞台が丘地区全体を一体的な災害時の拠点とするため、新たに市道県・東深井(あがた・ひがしふかい)線の延伸計画を進めることとしました。
それでは大規模災害が起きた場合どのような被害が想定されているのでしょうか。市で作成したハザードマップを見てみましょう。下記はハザードマップの一部です。薄茶色の斜線は土石災害警戒区域です。川沿いの緑色の部分は浸水想定区域です。
この地域でもし大規模災害が起きるとすれば北側の山の崩落による土石流です。江戸中期、寛保2年(1742年)8月1日に発生した「戌の満水」(いぬのまんすい)と呼ばれる大災害では所沢川(しょざわがわ)が山崩れによる鉄砲水で大氾濫し、祢津で60人、金井で113人が流死しています。
祢津小学校の東側、所沢川近くの農地に「八間石」と呼ばれる巨石があります。これはそのときのなごりで500m流されたとされています。また金井では犠牲者を弔うため火祭りが行われています。土石流は常田・田中宿を直撃し、本陣など100軒以上の建物を押し流しました。田中宿の壊滅で、海野宿が本宿機能を持つようになり、田中宿の回復には20年以上かかったとされています。
ハザードマップをもう少しよく見てみましょう。土石災害警戒区域は市役所のすぐ上まで伸びています。針の木川、求女(もとめがわ)川では河川の浸水が想定されています。一方東御中央公園や武道館、体育館、東部中学校などは土石災害警戒区域外となっていることがわかります。確かに中央公園周辺は高台になっています。
こうしたことを考えた場合、防災拠点をすべて市役所周辺に集約することは必ずしも適切ではないのではないでしょうか。ここには求女川、針の木川が集中し、ここからの浸水も考えられます。防災拠点を一ヶ所に集中することは作業効率上はいいかもしれません。しかし防災拠点が被害にあった場合には動きがとれなくなります。リスク分散は防災の鉄則です。
市役所は重要な防災拠点ですが、それとともにより安全な中央公園周辺も防災拠点としての機能を持たせるべきです。中央公園はサンライン、グリーンパーク道路に接し、高速のインターチェンジにも近く、芝広場は緊急時のヘリポートにも指定されています。中央グラウンドは緊急車両の駐車場として活用できます。
東御清翔高校を通る道路が防災に役立つことは否定しませんが、それはあくまでも市全体の防災対策の一つに過ぎないことを認識すべきです。全体としての防災計画の一つの選択肢に過ぎません。道路をつくることが何か防災にとって必要欠くべからざる施設のように言うのは何か違和感を覚えます。
そして私が気になっているのは市民病院と助産所のことです。市民病院や助産院は土石流が発生した所沢川沿いにあります。この地域はハザードマップでも緑色で示された浸水想定域となっており、市民病院の北側の保健センターの東側は天井川になっています。確かにハザードマップでは洪水被害は川の東側となっていますがはたしてそれでいいのでしょうか。
3・11の大災害で私たちは想定外という言葉を何度も聞きました。そして自然が人間の想定をはるかに凌駕し大きな被害をもたらしました。人間の小ささ、自然の強大さを思い知らされました。そうしたことを考えるとさらなる見直しが必要ではないかと思うのです。
ハザードマップでは高速道路が堤防の役割を果たすことが期待されているようです。高速道路より北側はすべて土石流警戒区域となっていますが、南側は高速道路の土手の開口部からの土石流を想定しています。しかし土石流が高速道路の土手を乗り越えてくることはないのでしょうか。土手を崩して流れ下るということはないのでしょうか。最近の雨の降り方の激しさや山が一気に崩落する災害も起きていることを考えると気になります。