ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

孤独な天使たち

2013-04-17 22:57:32 | か行

巨匠のあまりにフレッシュな新作に
どびっくりしました。


「孤独な天使たち」69点★★★☆


**********************


14歳のロレンツォ(ヤコポ・オルモ・アンティノーリ)は
ちょっと変わった少年。

人と関わらず、一人を好む彼は
母親に「学校のスキー合宿に参加する」と嘘をつき

こっそり自宅マンションの地下室に隠れて
悠々自適な1週間を過ごそうする。

しかし、そこに
なぜか異母姉のオリヴィア(テア・ファルコ)が
転がり込んできて――?!

**********************


「ドリーマーズ」(03年)後、病気のため現場から遠ざかっていた
ベルナルド・ベルトルッチ監督。

その10年ぶりの新作は
みずみずしいドローイングといった趣き。

かつ、背景はしっかり重厚な油絵で、
同じ手なのによくこんな絵かけるよなあ・・・と驚きました。


主人公少年が使ってるのがiPhoneだから
舞台は現代らしいとわかるけど、

ザ・キュアーやレッチリがかかって、
なんかいい感じのなつかし感がある。


そんな雰囲気のなか、
ちょっと風変わりなその主人公少年が、
スキー合宿をサボってマンションの地下室で隠れ家生活を送る。

うん、それだけで
ワクワクしちゃうシチュエーション!(ワシもそういうの大好き。笑)

そこに珍客である
母違いの姉貴が転がり込む。

不思議なことに
人は自分より困った人間を前にすると
しっかりしだすもので(笑)

そして
彼は困った姉貴の面倒を見つつ
実は芸術家である姉貴によく感化もされ、
事態は少しマシになっていく・・・という話。

しかし姉貴のほうはどうなんでしょうね、と
予感を残すラストも、妥当だと思いました。


にしても。
昨今、オーバー70主人公が多い映画界。

40代や、もっと若い世代が
オーバー70歳をテーマに映画を撮れば
こうして72歳の巨匠が、14歳をテーマに映画を撮る。

映画ってホントに
おもしろいものですよね。


★4/20(土)からシネスイッチ銀座ほか全国順次公開。

「孤独な天使たち」公式サイト

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2 コメント

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Unknown (空気人形)
2013-06-10 22:19:44
冒頭の母親との食事のシーン。

14歳の彼がある背徳行為を話題にしようとするが、母親はそれをはぐらかす。このシーンをどこかで生かすと思っていたが、それはなかった。
 
私の考え過ぎなのかもしれないが、彼に決定的に欠けていたのは“性的”興味。突然乱入してきた義姉に対して何も妄想しなかったのであろうか?(中学生円山的な妄想ではなく、女体への関心ではあるが)

簡単に言えば、面白くなかった。

ここから、いつもの番長スルー物件。

奇跡のリンゴ  お勧め度 微妙な1.98

中村監督はこの作品を撮りたかったのか頼まれたのかどっちだろう?
確かにそつなくまとめていますが、「は~そうですね」で終わりでした。 
収穫と言えば、パーマネントの紬ちゃんが成長していたことかな。
返信する
なるほどー。 (ぽつお番長)
2013-06-11 20:23:11

都合良く
フレッシュにすぎた、ということでしょうかね。

「奇跡のリンゴ」
残念ながら見逃してしまいました。
だいたい予想がつく感じではありますが・・(笑)

監督業をやっていくのは
大変なのです実際。
返信する

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