日本のアニメ史総ざらい、という意味で
けっこう貴重です。
「アニメ師・杉井ギサブロー」61点★★★
「グスコーブドリの伝記」(公開中)の
杉井ギザブロー監督(71歳)の人生を、
「YOYOCHU SEXと代々木忠の世界」の
石岡正人監督がドキュメンタリーにしたもの。
1940年に生まれ、
東映動画から手塚治虫氏の虫プロを経た
ギザブロー氏の人生は
それ自体がそのまま日本アニメの黎明期の記録であり、
非常におもしろい。
なかでも
手塚治虫氏との話が
かなりのボリュームを占めていて、
いまや神格化される氏の実像も
本人インタビュー映像などを交え、よくわかるんですよね。
「ディズニーを超えろ」を合い言葉に、
しかし人員問題などから
動きを滑らかに見せるフルアニメーションをあきらめ、
それでも面白い「鉄腕アトム」を作ったこと。
さらに
虫プロの経営破綻や実は深刻な後世への功罪など、
知らなかったことがポロポロと出てきて
「へえ~~」の連続。
こうやって
“世界に誇れる日本アニメ”が
出来上がっていったんだなアと興味深かったす。
ただ
本来の目的であるはずの
「杉井ギサブロー」本人にはあまり迫れておらず、
タイトルやバランスを考えると、ちょっと未熟感がある。
また
カメラにもちょっと雑さがありましたが
全体に録音がよくなかった。
ギザブロー氏が35歳で放浪したことなど
おもしろい部分はありそうなのに
実のところ、本人が
アニメは語っても自身を意外に語りたがらないという
ドキュメンタリーには最も難しい対象だったことが
観客にもだんだんわかってきてしまうんですよね。
監督もまとめるの大変だったと思いますが。
それでもアニメ史としては
価値ある一本かと。
★7/28(土)から銀座シネパトスほかで公開。全国順次公開。
「アニメ師・杉井ギザブロー」公式サイト
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