これは
「見たいものを、ちゃんと見せてもらえた!」
というドキュメンタリー。
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「氷の花火 山口小夜子」72点★★★★
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1970年代にパリコレに舞い降り、
「東洋のミューズ」として脚光を浴び
その後、舞踏やパフォーマンスにも活動を広げ、
2007年に57歳で亡くなった
モデル・山口小夜子さんのドキュメンタリー映画。
1970年代、おかっぱで和風一重目の女の子は
多くが
「小夜子さんみたいね」と言われたのではなかろうか。
そして、当時はまだそのことを
当事者がそんなに嬉しいと感じなかった時代でもあった。
でも振り返ると、この方は
本当に美しく凄い人だと、改めて思います。
監督は小夜子さんの仕事仲間だった松本貴子氏で、
実にさまざまな人に取材してる。
東京都現代美術館での
「山口小夜子 未来を着る人」展を見ていたこともあり
その歴史には重なる部分もあったけど
映画ならではのおもしろさもたくさんあった。
特に少女時代を知る方が語る
エピソードが面白かったですねえ。
あと、クライマックスでの
小夜子さんを再現するようなコンセプトでの
撮影の風景もいい。
丸山敬太氏の最後の涙にうるっときました。
映画を見て、心の底から
こんなふうにスッと美しく生きて、去っていきたいと
本当に思った次第。
おなじみ『週刊朝日』(今週発売11/6号)の「ツウの一見」で
映画にも登場されている
資生堂のヘア・メーキャップアーティスト
富川栄さんにお話を伺いまして
光栄!かつ、とても興味深かったのです。
誌面にも載っていますが、ワシが一番気になったことは
映画の冒頭で、没後8年を経て、
小夜子さんの遺品が開封&公開される様子が映されていること。
展覧会用の公開だったようですが
でもね
先の
「ヴィヴィアン・マイヤーを探して」でも感じたのだけど
死後に自分の段ボールを空けられるのなんて
自分だったら、絶対にイヤ!なんですよ。
(全っ然、立場違うだろワレ。笑)
実際、小夜子さんを知っていた監督や富川さんは
このことをどう思ったのか、ということを
ワシはすごく聞きたかったのです。
で、聞いてみたところ
富川さんはおっしゃってました。
「遺品はすべて『幼少期に見た本』『少女時代に影響を受けたもの』など
きっちりファイルされて、きちんと分類されていた。
たぶん、小夜子さんは生前から、自分の展覧会を考えていたのだろう、と思った」と。
小夜子さんを知る方々が、みんなそういう思いで
映画や展覧会のために動いたんだと知って
なんだか、心が解放された気になりました。
よかった~。
★10/31(土)からシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開。
「氷の花火 山口小夜子」公式サイト
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