ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

天国の日々

2011-08-30 23:42:01 | た行

誰だかわかります?これ。
リチャード・ギアですよ!(笑)


「天国の日々」85点★★★★


40年間で5作品しか作っていない
テレンス・マリック監督。
1978年製作の第2作目が、リバイバル上映!

「ツリー・オブ・ライフ」がわかんなかった人でも
こちらはぜひ!



1914年ごろのアメリカ。

血気盛んな青年ビル(リチャード・ギア)は
恋人のアビー(ブルック・アダムス)と
幼い妹(リンダ・マンズ)を連れて、
仕事探しの旅に出る。


ビルは行く先々で、
アビーも妹だと紹介していた。
そのほうが通りがよかったからだ。

3人はテキサスの農場で
麦刈りの季節労働をすることになる。

朝から晩まで
過酷な労働につくビルたち。

だが、そんな日々に変化が訪れる。

若き農場主チャック(サム・シェパード)が
アビーを見初めたのだ。


いまの暮らしから抜け出したいビルは
恋人アビーに
チャックと付き合うよう薦めるのだが……。



日本公開は1983年だそう。

番長、ちゃんと見たの初めてでしたが、
いや~~ホントに素晴らしかったです……。


33年前に作られた作品なのに、っていうのもなんですが、
あまりにも
いま観ている現代人の呼吸に合っているような
このみずみずしさは何?!

話だけ見るとメロドラマですが、
底知れぬ深淵を醸し出している。

その要因はタイトルどおり、
天国の1ページのような映像の力でしょう。


陸橋を渡る汽車のシルエット、
グリーンと金色の二層になった麦畑の美しさ。

石炭で動く鋼鉄そのもの、の農耕機械の猛り。

そして火の海となった麦畑で、
火車となって走り去る馬車――。



そのなかで繰り広げられるドラマは
「神」など言葉に出ないのに
まさに神の息を感じる様相です。


春がきて、秋になり
また麦を刈り、
そして冬がきて雪が降る。


こうしたマクロ視点や
生命のサイクル感覚は
新作「ツリー・オブ・ライフ」に
そのまま通じています。

「ツリー・オブ~」より
ドラマがわかりやすいので、おすすめです。

神は33年前から、すでに“ネ申”なのね……。

★8/27から新宿武蔵野館で公開。

「天国の日々」公式サイト

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