
もっとこわもてな人物かと思ってました。

その意外性に、好感。

「聯合艦隊司令長官 山本五十六 ―太平洋戦争70年目の真実―」68点★★★



1939年、夏。


日独伊三国同盟を締結させようと
世論が盛り上がるなか、
海軍の山本五十六(役所広司)は、
同盟締結に反対していた。


「日本がドイツと結べば、必ずアメリカと戦争になる。
それは避けなければならない……」
が、1940年
ついに日本はドイツと手を組むことに。



そして1941年の夏、
アメリカとの対決が避けられないと悟った五十六は
ある作戦を立案した。

それは
「真珠湾攻撃」。

武士道精神を重んじる五十六は、
「必ず米軍に通達をしてから攻撃せよ」と
命じていたのだが――?!

戦艦が出てくるにも関わらず
ドンパチが非常に少ない、いやほとんどない、
静なる戦争映画でした。


それは
山本五十六という人の人柄の描き方にありまして
意外なことに
いかつさよりも、柔らかさが際立つ人物。


えばったりせず、
どこか飄々としていて、情にあつく
なにより平和主義者。

甘党で下戸なところや、
名誉欲も出世欲もないところなどを丁寧に見せていくので
好感度アップするってもんです。


演じる役所広司氏の得意技というか
「ちょっとお茶目」感もうまく出ている。

実際、五十六を知る海軍大将は
その人となりを聞かれて、まず
「茶目ですな」と言ったんだそうで。
その人物像に呼応するように
終始静かな演出なんですね。


それは開戦前のややのんびりした時代から
「真珠湾攻撃」を経て戦争に至っても変わらない。
ただ、歴史の歯車が悪いほうに回っていく恐ろしさは
十分に伝わってきます。


「真珠湾」で奇襲をかけるつもりなどなかったのに、
結果そうなってしまったり、

わずかな誤算やボタンの掛け違いから、
ズブズブと戦争に至ってしまう様が
よく描かれていました。

なんといっても
歴史オンチの番長にとっては
名前だけは知っている
「三国同盟」やら「ミッドウェー海戦」やら
「カダルカナル島」を静かに学ぶことができたのが
とても助かった。

ちょっと長かったけど
勉強になりましたよ。


★12/23(金)から全国で公開。
「聯合艦隊司令長官 山本五十六 ―太平洋戦争70年目の真実―」公式サイト
成島監督はどの作品でも小道具を効果的に使います。
今回は、魚。いくら戦時中とはいえ山本家の食卓にはたぶん麦飯と粗末なおかず。1匹のカレイの煮つけを親子5人で分ける。そして、戦勝の記念と妻がわざわざ注文したタイの尾頭つきにあえて手をつけないとは。心憎い演出です。
ひとつ気づいたことがあります。この作品には敵国の飛行機や選管は出てきても、兵隊の姿はただの一人も出てきませんでした。これは、ひょっとして、本当の敵は今戦っている相手ではなく、身内の日本人にありとうい隠喩でしょうか?
評価 丁寧な作りです。ただ、ひねりなし。
蛇足ですけど、この作品も年齢層は高そうですね。映画慣れしていない高齢の方々には少々長い。今回も途中でトイレに立つ方が..。
ついでですからベストワーストを。
邦画部門(1位から順に)
少女たちの羅針盤、冷たい熱帯魚(1位タイ)、歓待、八日目の蝉、東京公園、阪急電車、あぜ道のダンディ、マイ・バック・ページ、大鹿村騒動記、毎日かあさん、次点ある飛空士との追憶(アニメ)
ワースト 源氏物語、太平洋の奇跡
ドキュメンタリー(5位まで)
Peace、沈黙の春を生きて、インサイドジョブ、祝の島、チェルノブイリハート、次点二重被爆
ワースト エンディングノート、ライフ
歴史オンチの番長にもわかりやすく、
歴史好きの空気人形さんも納得、だとすると
かなりクオリティ高し、ですね。
人気があるんですね。
未読ですいません。
この映画みて
「山本五十六ってホントにそんな人だったのかナー」と
少々疑いを持って
本を少し探ってみましたが
実際、お茶目なところがあったそうですね。