ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

一献の系譜

2015-09-24 23:29:17 | あ行

先日、家で利き酒ごっこをしてみたんですよ。
「天」と「楯野川」と「獺祭」。

後者ふたつは、意外に……似ていた。
一応、当たったけど。

********************************


「一献の系譜」70点★★★★


********************************


石川県の能登で酒造りをする
「能登杜氏」たちを追ったドキュメンタリー。

厳しくも美しい能登の風景とともに、
半年間蔵にこもって酒造りをする人々の姿が
写し出される。


もっと教科書的かと思ったんですが
解説も少なく

酒造りのハウツーものではなく
そこに携わる人の“空気”も密封した、というのでしょうか。


派手さやPR臭、お勉強とも違う、
映る対象自体の精錬と佇まいが、
自ずと染みてくる映画、という感じ。


「四天王」と呼ばれる超スターな杜氏たちを追いながらも
淡々と、彼らの日常や家族も映したりして。

最初こそ、つなぎがパラパラかなと
ちょっと気になったけど
だんだんと核となる杜氏たち自身に惹かれてゆくんですねえ。


常に感覚を研ぎ澄まし、責任も全て負う
杜氏もすごいけど

酒造りには
半年間を一緒に過ごす蔵人たちとの「和」が大切なんだと
よくわかりました。

あと
「杜氏や蔵人たちがなぜみんな腕時計をしてるの?(邪魔じゃね?)」と
不思議に思ったけど

観ているうちに
なるほど酒造りには「時間」がすっごく大切なのだ、
ということもわかりました。


ほかの地域ってどうなんだろう
全国各地の杜氏シリーズも
ありなんだろうか
観てみたいなーと思いましたよ。


★9/26(土)から新宿武蔵野館ほか全国順次公開。

「一献の系譜」公式サイト

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 草原の実験 | トップ | バードピープル »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

あ行」カテゴリの最新記事