予想を超えて、いい映画!
「あなたの名前を呼べたなら」79点★★★★
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インドの大都会・ムンバイ。
ラトナ(ティロタマ・シューム)は
高層マンションで住み込みのメイドとして働いていた。
ラトナは田舎出身。
19歳で嫁に出され、しかし相手があっさり死んでしまい
若くして未亡人になった身だった。
田舎では未亡人=オワコン、とされていて
ラトナはそれにたまらず、都会に出てきたのだ。
彼女には「自立したい」という夢もあった。
ラトナの雇い主は
建設会社の御曹司アシュヴィン(ヴィヴェーク・ゴーンバル)。
彼には婚約者がおり、ラトナは彼の新婚家庭で
働くはず・・・・・・だった。
が、直前でアシュヴィンの結婚は破談になってしまう。
傷心のアシュヴィンをラトナは
静かに献身的に見守るが――?!
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インドの大都会・ムンバイを舞台に、
富裕層青年とメイドが思わぬうちに心通わせて・・・・・・という話。
「身分違いの恋?」と、ちょっと甘やかさを想像すると
そんなに甘いもんじゃないんじゃ!という
インドの階級社会、慣習や現実がずーん、とも迫ってくる。
そこに女性の自立問題なども含まれ、
実によく織られた映画だと思いました。
99分という尺も、とてもGood。
田舎の村に生まれ、若くして嫁に出され
しかし嫁いだ相手があっさり死んでしまい
あっという間に未亡人となったヒロイン・ラトナ。
村にいられず、都会でメイドをしながら
「せめて妹には学を」と送金して学校に通わせている。
さらに自分も裁縫を習い、
デザイナーとして自立することを夢見ているんですね。
ラトナが田舎から都会に向かうバスのなかで
なぜか、アクセサリーとして腕輪を手にはめるシーンが実に印象深い。
実は田舎では未亡人は
腕輪ひとつ着飾ることも許されていないそうなんです。
だからラトナは、都会でしかそれを身につけることができない。
雇い主のタワマンで家事をしながら
チャリチャリと鳴るそれは耳障りのようでいて、
彼女の自由と自立への静かな決意表明なのだ。
そんな彼女は
雇い主であるダンナ様とほのかな恋心を通わせる・・・・・・んですが
現実は苦いことも、よくわかっている。
インドではそうした階級差の恋は双方にとって「恥!」であり
万が一、互いの想いが成就しても
一生「メイド上がりの妻」と言われ、
周囲のからかいの目にさらされるのは必須なんですね。
そんななか、まだ何も始まってない二人はどうするのか?
そして、最後をどう収めるのか?
意外と「こうきたか!」となるラストもいい。
その最後の最後、雇い主からの電話に出て、
初めて彼を「ダンナ様」はなく、名前で呼ぶそのシーンには
多くの意味が込められている。
かすかに明るい未来の、示し方も見事だなあと感じいりました。
雇い主のダンナ様役のヴィヴェーク・ゴーンバル氏も
すごくいいのですが
彼、「裁き」(17年)のあの弁護士さんなんだって!
ぜんっぜんわからなかった!(笑)
「AERA」の「いま観るシネマ」で
ロヘナ・ゲラ監督にインタビューをさせていただきました。
なぜ、この物語を作ったのか。
現在のインドでこれがどう受け止められるのか。
さまざまな背景を伺いましたので
ぜひ、映画と併せてご一読ください~
★8/2(金)からBunkamura ル・シネマほかで公開。
久々、胸を熱くした作品で、今のインドでしか描けないと思います。長さもちょうどよく、無駄がなく、踊らなきゃいられねえよ、って気持ち、初めてよ~~く分かりました。映画友達皆に激お薦めしました!
初コメント、ありがたく
嬉しく読ませていただきました~!
本当にこの映画は
予想以上の驚きと深さに満ちていて
よかったですよね。
今年はこれまでにもまして
インド映画&インドルーツ俳優の活躍がめざましく
すごいことになってます!
なかなか更新が追いつかず
もだえ苦しんでおりますが
なるべく多く紹介していきたいと思っております。
またぜひ、のぞきにきてくださいませ~