ステイホームで酒量が増えていませんか?
ちょっとアイタタタ・・・・・・かもしれません
「アナザーラウンド」73点★★★★
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デンマークの高校に務めるマーティン(マッツ・ミケルセン)は
どうにも冴えない教師。
教えることに飽きてしまったのか
はたまた中年クライシスなのか
授業は支離滅裂で、
生徒や親たちに呼び出され
「先生の授業では進学できない」と直訴される始末。
そんな彼は、あるとき同僚の教師から
「人間は血中アルコール濃度を常に0.05%に保つのが理想。
さすれば活力がみなぎり、能力が発揮できる」という
ある学者の理論を聞き
仲間と4人で、その実験をすることになる。
すると、たしかにヤル気が湧いてきて
生徒たちを惹きつける魅力的な授業ができるのだが――?!
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第93回アカデミー賞®国際長編映画賞受賞作。
「偽りなき者」(12年)も素晴らしかった
トマス・ヴィンダーベア監督×マッツ・ミケルセンのタッグです。
飲酒にまつわるこの手の話は
かなりシャレにならないので
よくこの題材を描こうと思ったなと感じましたが
さすがヴィンダーベア監督、
ちゃんと伝えるべきことがあり
シャレにならん、では終わらないので
ホッとしました。
で、アルコール人体実験に取り組んだマーティン先生(マッツ・ミケルセン)は
ノリもよく、人当たりも堂々し、
生徒たちを魅了する授業をしていく。
倦怠気味だった奧さんともうまくいっちゃったり
たしかに、学術論文どおり「仕事もプライベートも良好」。
ほかの先生も同様にキラキラしていく。
酒飲みは往々にして、お酒を飲まない方から
「なんで、お酒なんて飲むの?」
「いやなことから逃避してるんでしょ」
と言われた(怒られた)苦い経験があると思うのですが(苦笑)
いや、こういう効能は確かにあるんですよね。
でも、だからこそ飲めてしまう人は
どこをリミットにするかが難しい。
そこが、やっかいなところでもあって
4人の実験を見ながら
自制と開放のバランスの難しさをヒシヒシと感じました。
まさに、体を張って実験していただいた感じ。
それにまず冒頭、高校生たちがビール祭りで大騒ぎ!な場面が出てきて
「え??」と思いますが
デンマークでは飲酒に関する年齢制限がなく
ビールやワインは16歳から店でも買えるそう。
なるほど
そういうことか、と。
なので、飲酒に歯止めがかからなくなっていくマーティンに
奥さんが言う
「この国の人たちはみんな飲んだくれてるものね」がまた痛いんですね。
ヴィンダーベア監督が、言いたいことのひとつもそこかなあと。
そして、ラストまでいくと
どうしようもない顛末の裏に
達成感に乏しく、評価もされず、疲弊し、摩耗してゆく
「教師」という仕事の大変さと
やれどもやれども、な無力感がずしりとのしかかる。
そしてそれは、教師の仕事に限ったことじゃないわけで。
それでも最後には
教師という仕事は
若者の心に何かを残すことが出来るのだ――という希望がある。
あなたの仕事も、人生もそうかもしれない。
あらゆる中年にむけて
誇りを持て!ということなんだとも思います。
そして主演のマッツ・ミケルセン。
かなりくたびれたおやじっぷりで、また新たな顔を見せてくれるし
それにダンスが、すごい!
実はマーサ・グレアムのもとでダンスを学び、
演劇学校に入る31歳まで
プロのダンサーとして活動していたそうな。
すご!
★9/3(金)から新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町、渋谷シネクイントほか全国で公開。
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