ひとつの正義のしめし方。
応援する!
「プロミシング・ヤング・ウーマン」74点★★★★
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真夜中のクラブ。
酔っ払った男たちの目が
ソファーでだらしなく酔い潰れる
キャシー(キャリー・マリガン)に注がれていた。
「お前、いってこいよ」
一人の男性がタクシーで、キャシーを送り届けることに。
彼はフラフラに酔っているキャシーを自宅に連れ込み、
ベッドに押し倒す。
が、そのとき
キャシーがカッと目を見開いた――!
キャシーは実家暮らしの29歳。
昼間はカフェでだるーく働く彼女は
夜な夜なバーに出かけては
「酔った女には何をしても許される」と思っている男たちに
鉄槌を下していた。
なぜ、彼女はそんなことをしているのか?
そして、
物語は意外な方向へ――?!
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キャリー・マリガン主演、マーゴット・ロビーが製作、
女優でもあるエメラルド・フェネルの
長編監督デビュー作。
女性たちのパワーが集結した快作です。
ピンク色のファンシーと
過激っぽくみえる印象で、ピンとこない方もいるかもと思うけど
これは、意外に意外なことになるので
ぜひ観ていただきたいなぁ。
ひとつの正義のしめし方、手痛いお仕置きって感じなのです。
ネタバレはしないように
ちょっと内容を説明してみる。
主人公キャシー(キャリー・マリガン)は
夜な夜なバーで酔ったフリして、わざわざ「お持ち帰り」され
そこで彼らに鉄槌を下す、ということをしている。
何の目的で?は、この時点ではよくわからず
加えて、普段の彼女は
カフェで働きつつも
すべてにダル~くて、つまらなそうで
あまり感情移入できないんですよね。
やっていることも、かなりモラルすれすれ(笑)
でも、だんだん彼女が
なぜそんなふうになったか、が明かされていく。
彼女は7年前、医大に通う
有望な若い女性(=プロミシング・ヤング・ウーマン)だったんですね。
しかし、ある事件がきっかけで大学を辞めてしまった。
夜な夜なの危険なミッションも
そのへんに理由があるのかな、と明かされていく。
しかし、このへんは、まだまだ一層め。
この話の地層は、まだまだ10はあります(笑)
そんなある日、キャシーはカフェにやってきた
大学時代の知り合い・ライアン(ボー・バーナム)と再会するんです。
ぜーんぜん興味なかった男だけど
意外に「いいヤツ」っぽく
ここで映画はなんだかロマンチックラブストーリーの方向に転調していく。
世の中、ロクな男いないと思ってたけど
意外に、当たりもあるかも?
そして、ライアンとの再会で
キャシーはある行動を始める――のですが
いやいや、ここからもまだまだ、話は転がっていく。
「ほ~ら、”女だてら”にやりすぎるから・・・・・・」なんて思わせて
そこもまた罠だったり。
逆回転していくとパーツがピタリとハマる
オリジナルな構成がうまく
アカデミー賞脚本賞受賞も納得です。
それに物語は、過激に、映画的にしてあるけれど
いや、日本を見回しても
この話はリアルに多く、ニュースにもなっている。
すねに傷ある男ども、
それを「見ていただけ」の男たち
さらに
そんな男性社会に同調してきた女たちに対しても
居心地悪さを味わいやがれ!という強烈な挑戦状。
そして
「もうこんなことは許さない!」という
若い女性たちへの約束、という思いが
映画に込められていると感じた。
キャリー・マリガンが
この役を引き受けたってのも
理解できるなあと、思うのでした。
★7/16(金)からTOHOシネマズ日比谷、シネクイントほかで公開中。
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