実話というのが凄すぎる。
「博士と狂人」71点★★★★
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1872年、ロンドン。
元アメリカの軍医にして、博学&聡明な
ウィリアム・チェスター・マイナー(ショーン・ペン)は
しかし、南北戦争での過酷な体験で幻覚を見るようになり
それがもとで、ある男を殺めてしまう。
法廷で、心の病により無罪となったマイナーは
精神病院に拘禁される。
同じころ、オックスフォード大学では
頓挫しまくっている「英語大辞典」の新たな責任者選びが行われていた。
新たに浮上したのが、ジェームズ・マレー博士(メル・ギブソン)。
苦学の末、独学で多くの言語をマスターした彼に
この大仕事の舵が任されることになった。
が、すべての単語とその変遷を収録することを目的とした辞典の作業は
あまりに膨大で
あっという間に、マレーは壁にぶつかる。
そんなマレーがとったある方法が、
精神病院にいる眠れる知の巨人・マイナーと
マイナーとをつなぐことになるのだが――?!
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第一版発行まで70年以上を費やした
オックスフォード英語大辞典(=つまり日本でいえば国語辞典ですね)の誕生秘話。
辞書作りは、マジで忍耐と狂気の沙汰だ!と
堪え性のない我が身からすると、つくづく感じるし
本当に、関わる全員が神でしかない(笑)
しかも、実話というのがスゴイなあ。
独学で言語学者になったマレー博士が
辞書編纂を任されて、思いついたのが
「市井の人々に協力してもらう!」という方法。
どんな方法かというと
マレー博士は出版されるあらゆる本に
「あなたが見つけた単語や出典を手紙で送って?
ぜひ世紀の辞書作りに協力を!」と呼びかける手紙を挟んだんですね。
で、いろんな人が、それに協力する。
そんななか、殺人犯にして精神病棟に収監されていた
マイナー(ショーン・ペン)もそれを手にする。
で、
彼の驚異的な記憶力と分類能力のおかげで
不可能、と言われていた辞書作りに光が見えてくる――!という展開なんですね。
しかし、話はそう簡単にハッピー!にはいかず
精神を病んでしまっているマイナー博士の苦しみも
しっかり描かれている。
もちろん主演の二人は素晴らしいのですが
(まあ、構想から20年かけたというメル・ギブソンさんは
毎度な感じですが、ちょっと力入りすぎな感じも・・・笑)
なにより、本作は脇役がいいんですよ。
マイナー氏の精神病院の看守は
「おみおくりの作法」(13年)のエディ・マーサンだし!
学士号も持たない、と当初鼻にもかけられなかったマレー博士を推し、
絶妙にサポートする大学側の要職者フレデリックを演じる
スティーヴ・クーガンもいい!
「メイジーの瞳」(12年)名作!とか、「あなたを抱きしめる日まで」(13年)とかにも出てます。
どちらも顔を見れば、あ、あの人!と思うはずです。
先日、朝日新聞の朝刊広告で
金田一秀穂さん×ロバート・キャンベルさんの対談をまとめさせていただきました。(これで読めるかしら?)
言語の達人たちが語る、本作への思い
すごーくおもしろいです。ちょっとショートバージョンですがぜひ!
★10/16(金)からヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国で公開。
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