民主化の遅れや人権問題からミャンマーが孤立化の度合いを深めている。昨年の終りからのミャンマー関連のニュースを整理すると次の通りである。
11月 首都機能移転(ヤンゴンからピンナマへ)発表
12月 国連事務総長ミャンマー担当特使ラザリ氏、任期切れに伴い辞任(その後後任決まらず)
1月 ASEANからの民主化視察特使サイドハミド氏の受け入れ拒否
2月 中国とエネルギー、資源開発での協力強化
3月 インドネシア・ユドヨノ大統領訪問、民主化促進へ支援を表明
軍政を敷くミャンマーは、民主化運動指導者ア・ウン・サン・スー・チーさんの自宅軟禁問題など、国際社会から非難を受けている。その中で、人権問題に無頓着で、かつ、エネルギー資源獲得に貪欲な中国が擦り寄っている、という図式である。ASEANではマレーシア、インドネシアがミャンマーの民主化問題で強硬派と言われ、因みに上記のラザリ氏、サイドハミド氏はともにマレーシア人である。マレーシアの面目は丸潰れだが、一方でユドヨノ大統領のミャンマー訪問が実現したことは大変喜ばしい。民主化への変化に繋がることを願う。
以前、仕事でミャンマー人のアテンドをしたことがある。皆、人の良い、好感の持てる人達であった。彼らは敬虔な仏教徒である。日本人も同じ仏教徒であるが、信仰の強さというか、日々の生活への浸透度が大きく異なる。政府関係の人間なので、皆、軍に所属していたが、彼らと軍政ミャンマーとはまったく結び付かない、程遠い存在のように思えた。ある意味、国家の強大さに対する個人の圧倒的な無力さを感じた。
彼らとは食事を一緒にしたり、工場の見学に行ったり、そして京都観光にも行った。一緒に過ごした中で驚いたことを二つ紹介したい。一つ目、グループのリーダー(空軍の大佐クラス)は、アメリカ空軍でトレーニーを受けた人間だった。ミャンマーは1988年民主化運動により社会主義政権が崩壊し、翌年のクーデターで軍政に移行したが、彼がトレーニーを受けたのはおそらく軍政の初期であろう。中国に近いミャンマーの軍事的重要性からアメリカが梃入れしていたのだと思う。アメリカの世界戦略の奥深さを感じる。
二つ目、そんな彼から金箔をもらったこと。勿論それは高価なものではない。彼から、ブッダに祈りながら金箔を体の悪い所や痛い所に張れば治る、と真顔で言われた。英語を流暢に話す優秀なパイロット、そんな現代的イメージとブッダへの篤い信仰心とのコントラストが面白かった。僕はそんな彼が好きだ。
ところで、皆さんは上に挙げたニュースをいくつご存知だっただろう。ミャンマーは遠い、関係の薄い国だろうか。
実は彼らと食事に入った店に偶然ミャンマー人の店員がいた。メンバーの一人と田舎が同じらしく話は盛り上がった。店員の彼女がどのように日本に来たのかはわからない。ミャンマーの民主化が進み、人々がもっと自由に行き来できるようになれば良い。
しかし、今の状況でも案外身近な国なのかもしれない。
11月 首都機能移転(ヤンゴンからピンナマへ)発表
12月 国連事務総長ミャンマー担当特使ラザリ氏、任期切れに伴い辞任(その後後任決まらず)
1月 ASEANからの民主化視察特使サイドハミド氏の受け入れ拒否
2月 中国とエネルギー、資源開発での協力強化
3月 インドネシア・ユドヨノ大統領訪問、民主化促進へ支援を表明
軍政を敷くミャンマーは、民主化運動指導者ア・ウン・サン・スー・チーさんの自宅軟禁問題など、国際社会から非難を受けている。その中で、人権問題に無頓着で、かつ、エネルギー資源獲得に貪欲な中国が擦り寄っている、という図式である。ASEANではマレーシア、インドネシアがミャンマーの民主化問題で強硬派と言われ、因みに上記のラザリ氏、サイドハミド氏はともにマレーシア人である。マレーシアの面目は丸潰れだが、一方でユドヨノ大統領のミャンマー訪問が実現したことは大変喜ばしい。民主化への変化に繋がることを願う。
以前、仕事でミャンマー人のアテンドをしたことがある。皆、人の良い、好感の持てる人達であった。彼らは敬虔な仏教徒である。日本人も同じ仏教徒であるが、信仰の強さというか、日々の生活への浸透度が大きく異なる。政府関係の人間なので、皆、軍に所属していたが、彼らと軍政ミャンマーとはまったく結び付かない、程遠い存在のように思えた。ある意味、国家の強大さに対する個人の圧倒的な無力さを感じた。
彼らとは食事を一緒にしたり、工場の見学に行ったり、そして京都観光にも行った。一緒に過ごした中で驚いたことを二つ紹介したい。一つ目、グループのリーダー(空軍の大佐クラス)は、アメリカ空軍でトレーニーを受けた人間だった。ミャンマーは1988年民主化運動により社会主義政権が崩壊し、翌年のクーデターで軍政に移行したが、彼がトレーニーを受けたのはおそらく軍政の初期であろう。中国に近いミャンマーの軍事的重要性からアメリカが梃入れしていたのだと思う。アメリカの世界戦略の奥深さを感じる。
二つ目、そんな彼から金箔をもらったこと。勿論それは高価なものではない。彼から、ブッダに祈りながら金箔を体の悪い所や痛い所に張れば治る、と真顔で言われた。英語を流暢に話す優秀なパイロット、そんな現代的イメージとブッダへの篤い信仰心とのコントラストが面白かった。僕はそんな彼が好きだ。
ところで、皆さんは上に挙げたニュースをいくつご存知だっただろう。ミャンマーは遠い、関係の薄い国だろうか。
実は彼らと食事に入った店に偶然ミャンマー人の店員がいた。メンバーの一人と田舎が同じらしく話は盛り上がった。店員の彼女がどのように日本に来たのかはわからない。ミャンマーの民主化が進み、人々がもっと自由に行き来できるようになれば良い。
しかし、今の状況でも案外身近な国なのかもしれない。