縁側でちょっと一杯 in 別府

東京から別府に移住してきました。
のんびり温泉に浸かり、美味しい魚で一杯。
夢に見た生活を楽しんでいます。

中国に期待すること

2006-03-28 18:20:27 | 環境を考える
 今週は中国の環境問題について書くと言ったが、正直言って途方に暮れている。何から書けば良いのだろう。
 中国の大気や水質の汚染は、まさに危機的状況にあると言わざるを得ない。昨年の終り、大気汚染が原因で中国では年間40万人が死亡とのニュースがあった。砂漠化や水不足も深刻である。又、中国に起因する酸性雨や黄砂など、わが国への影響も年々増大している。
 新5ヵ年計画策定にあたり温首相が環境問題への懸念を表明し、エネルギー消費20%削減や、窒素酸化物(NOx)・硫黄酸化物(SOx)など主要な汚染物質の排出総量10%削減などの目標を示した。先週書いた通り、成長を優先し環境対策の実効性に疑問は残るが、その強力な推進を今度こそ期待したい。

 中国の環境問題の全貌を書く知識も能力もないので、今日は私の個人的な経験から環境問題を考えてみたい。
 初めて中国に行ったのは93年。北京、上海、香港と回った。以後、中国には、主に仕事だが、10回以上行っている。私が環境問題に関心を持ったきっかけは、実はこの中国との係わりである。

 93年当時は北京や上海ですら自動車が少なかった。それもタクシーがほとんどで一般の車は極めて稀だ。その代わり、大通りを自転車が5重、6重になって走っていた。今の中国のひどい車の渋滞からはまったく想像できない。空気も澄んでいた。又、街中に限らず、全体に緑が少ないとの印象を受けた。聞けば、昔から木という木は燃料にと悉く切って来たから、その影響だと言う。

 その後、90年代の終り、中国の石炭火力発電所の脱硫装置に関するプロジェクトのお手伝いをしたことがある。中国は石油とともに大量の石炭を一次エネルギーとして使っている。硫黄分の多い石炭を使う発電所も数多くあるが、脱硫装置を付けている発電所は少ない。脱硫装置自体の費用のほか、消耗品やメンテなど運転に掛かる費用もばかにならない。脱硫装置があってもなくても当然電力価格は変わらない。であれば、そんな装置は要らないということになる。
 電力不足の中国で電力会社の力は強い。地方政府や共産党との結び付きも強いかもしれない。煙突からもうもうと上る排煙はいわば成長の印であり、誰も硫黄酸化物の量など気にしない。電力量の確保という大命題を前に、環境問題などは二の次、三の次なのである。おそらく今もそれは変わらないであろう。

 大気汚染が原因で40万人もの人が死亡しているという現実を前にしても、中国は変わらないのであろうか。全体から、13億人から見ればごく一部、取るに足りない数字とでも言うのだろうか。過去の歴史認識、あるいは中華民族としてのプライドが問題なのかもしれないが、そんな悠長な事態ではない、中国には是非日本を見習って、いや日本と協力して環境問題に取り組んで欲しい。