縁側でちょっと一杯 in 別府

東京から別府に移住してきました。
のんびり温泉に浸かり、美味しい魚で一杯。
夢に見た生活を楽しんでいます。

店が変わって変化したもの ~ 江戸蕎麦「ほそ川」の場合

2006-03-29 19:35:12 | おいしいもの食べ隊
 そばが好きだ。そば屋の雰囲気も好きだ。そば屋といえば、やっぱり日本酒。焼き味噌、鳥わさ、てんぷらなどをつまみに軽く酒を飲む。そして締めはせいろ。形から入っていると言われればそれまでだが、好きなのだから仕方がない。

 さて、先週からのお友達繋がりということで、今日は両国「ほそ川」を紹介する。
 埼玉の吉川から二年程前に東京に移転してきた。玄そばと十割にこだわっている店である。玄そばは産地を巡り歩き、茨城、長野などのそばを選んだそうだ。自家製粉、石臼挽き、勿論手打ちである。つなぎはまったく使わない。ご主人のお眼鏡にかなった良質な玄そばを使っているせいか、十割でも のど越しは滑らかである。食べてみると、もたつくような野暮ったい感じはなく、洗練さ、上品さを感じる。せいろを頼み、まずは真ん中あたりのそばを2、3本つまみ、つゆに付けずに食べ、そばの旨さを味わって欲しい。

 不思議なことに、そばの旨い店はつまみも旨い。ここ「ほそ川」もてんぷらや焼き味噌といった定番に加え、穴子の煮こごりまであり、酒飲みには堪らない。そばがきもおいしかった。又、酒の品揃えも悪くない。

 ただ、味以外で、二つ不満がある。まず一つは立地というか店の佇まい。お店は両国の表通りからちょっと入った住宅街にある。店の外観はそば屋には見えない。高級和食店といった趣である。そば屋と思って探していると前を通り過ぎてしまいそうだ。店の中もモダンというかシックな感じで、吉川の純和風な佇まいから大きく変わった。
 二つ目は値段。東京と吉川とで差があるのが当然かもしれないが、東京に来て、値段が1、2割上がった気がする。まあ両者の地価・賃料等の違いを考えれば頑張っていると評価すべきかもしれないが。いずれにしろそば屋で軽く一杯というには、店構え同様、ちょっと敷居が高い。

 店が新しくなると、値段が上がる一方で味の落ちるケースが多い。そば屋だと九段下の○○庵(もっともここは店が新しくなってもう十年以上になるが)や築地の○○○○の里など。資金回収のために値上げしたり、原価を抑えたりするのであろう。しかし、ここの味は変わっていない。ご主人のこだわりはそのままである。
 ところで、もう何年も行っていないが、「虎の門砂場」という古いそば屋がある。建てやも相当年季が入っていた。あの店には改築することなく、いつまでもあのままであって欲しいと思う。皆さんにもなるべく早く行くことをお勧めする、店も、味も、そして値段も変わらないうちに。