縁側でちょっと一杯 in 別府

東京から別府に移住してきました。
のんびり温泉に浸かり、美味しい魚で一杯。
夢に見た生活を楽しんでいます。

わが家の掟(てんぷら編)

2006-03-22 23:45:02 | おいしいもの食べ隊
 わが家、もとい“おいしいもの食べ隊”の掟。てんぷらやすしは出されたらすぐ食べる。別にいやしいわけではない(少しだけ?)。ただ、おいしいものを、おいしく食べたいだけである。目の前に置かれたまま話に夢中になり、てんぷらが冷めてしまったり、すしねたが乾いてしまうようでは、“おいしいもの食べ隊”に入る資格はない。というわけで、今日はてんぷらの話。

 僕のてんぷらの歴史は麻布十番の「よこ田」から始まった。てんぷらを心底おいしいと思ったのはこの店が最初である。かれこれ20年近く前だろうか、何かのご褒美で会社の先輩に連れて行ってもらった。
 この店で初めて知ったものも多い。てんぷらをカレー塩で食べる。カラッと揚がったエビの頭を食べる。外側はしっかり揚がっているのに真ん中がレアなほたて。そして天茶。こまめに油を変えるせいか、ここの天茶にはほとんど油が浮いていない。又、完全予約制ということもあって、ご主人が名前で呼んでくれるのも心地よい。特に連れがいるときなど、本当は安くはないので頻繁に通えないのだが、常連と思われ尊敬のまなざしで見られて良かった。
 逆に最大の難点はお酒。おそらくご主人はお酒を飲まないのではないだろうか。そう思わせるようなお酒の品揃えだった。もう一つはご主人の醸し出す雰囲気。最近は年とともに丸くなったという噂も聞くが、当時僕はまだ若く、てんぷら初心者だったため、ご主人はとても恐かった。てんぷら道(?)を究めるではないが、俺が一生懸命揚げるから、おまえも心して食え、といった一種威圧感を感じた。

 実は最近はあまり「よこ田」に行かなくなった。一つは遠いこと(もっとも、これは大江戸線開通により緩和されたが)。もう一つは値段。夜しかやっていないので、お酒を飲むとそれなりの値段になってしまう。で、今のお気に入りは京橋の「深町」。大げさかもしれないが、ここのてんぷらは、てんぷらの概念を変える旨さである。
 最大の特徴は衣が軽いこと。この年になると、てんぷらを食べると胃がもたれるが、「深町」にそんな心配は要らない。二つの鍋の油を頻繁に入れ替え、常に新しい油で揚げている。特に野菜がおいしい。冬のほくほくの金時(さつまいも)、ゆりね。春はたらの芽やふきのとう。野菜主体のコースがあるのも有難い。
 我々が行くのは週末のお昼が多い。白ワインを飲みながらコースをいただく。お昼なので、胃だけでなく、懐にもやさしい。ご主人は山の上ホテルのご出身だそうだ。一度、本家の山の上ホテルにも行かねばと思う。

 先日、話を聞いていたら、ここのご主人は両国の蕎麦屋「ほそ川」のご主人と知り合いらしい。てんぷらの揚げ方を教えたことがあると言っていた。お互い専門は違っても、良い料理人は良い料理人を知るということか。料理人の「友達の輪」があれば、おもしろいかもしれない。