アキ カウリスマキ監督の映画作品はどれもよい。フィンランドの映画監督である。「ル-アーブルの靴磨き」も秀作だcつた。見ていると、映像に違和感がある。たとえば、東条する人間はまばたきをしない。喜びや悲しみは表にださない。表情演技は抑制されている。小道具が時代とマッチしていない。このような違和感が独特な世界を作りだしている。
現代世界の政治的テーマをあぶりだしながらも、映像が醸し出すのは悲喜劇であり、働くものの品位ある善意である。
フランス北部の港町ル-アーブル。そこで妻に苦労をかけながら靴磨きの仕事をヴェトナム人の男とやっている主人公。その町にコンテナーに隠れたアフリカからの難民が発見される。その難民の子供一人がロンドンにいる母のもとにいくため、コンテナから逃げ出すことから二週間ほどの話が始まる。現実感と非現実感が縦糸と横糸で織られたような映像である。アキ カリウスマキ監督の個性溢れる判断。他人を真似ることのない独自の映像が堪能できる。ヨーロッパとアメリカはちがうのだ、ということもわかる。ノスタルジーも感じる。
ぜひお奨めしたい映画である。明日は同監督の「過去のない男」を見るぞ。