エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

枯尾花

2013年11月12日 | ポエム
実は、枯尾花は冬も深まった時期の季語である。
けれども、このところの初雪の便りを聴いていると、肌が冬を感じるのである。



先達の俳句は、見事に省略が効いていて口をつむぐしかないのである。



枯尾花野守が鬢にさはりけり
           蕪村

落柿舎のひとむら芒枯れにけり
           鬼城



落柿舎は、芭蕉の高弟 の京都嵯峨野にある別邸である。
芭蕉は、この落柿舎を気に入っていたようである。



いわゆる三冬の枯尾花である。
表現としては、枯尾花、芒枯る、枯薄、尾花枯る、冬芒とある。







「尾花枯る旧知の友と酒を酌む」







芒の枯れゆく姿は、何かしら寂寥を感じさせる。
同時に、己が姿を投影して嘆息を漏らす。

芒が持つ、固有のオーラが飛散するのであろう。
絮ではない。
個性の極みと言って良かろう。



       荒 野人