エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

ベンチの至福

2013年11月14日 | ポエム
秋!
ベンチは至福の時間を過ごしている。



軟らかな日射し。
そう、小春日和の昼下がり。
日向ぼこ、の心地よさ!



落ち葉は、語りかけるように優しく降り積む。
何処からともなく、ブィオロンのため息が聞こえて来る。
ヘッセの詩が耳に響いて来る。



秋の気配は、母の心音である。







「秋の午後ヴィオロン流る母の声」







秋風は秋彩のメロディー。
落ち葉は秋いろの褥。
小春日和は母の背中。
日向ぼこは父の抱擁。
秋の気配は愛する人との逢瀬。
ヴィオロンのため息は季節の移ろい。



ベンチは、その全てを知っているのだ。
ベンチの至福は、彼岸の向こう岸にあるのだろうか。



荒野人