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エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

小淵沢便り・・・弐章

2013年11月19日 | ポエム
小淵沢便りの二回目である。
それで・・・と云っては失礼であるけれど、今日は哀しい報告である。

一つの銘菓が、市場から消えた事を報告しようと思う。
「厚焼木の芽煎餅」である。
大月と初狩のそれぞれの場所で、焼き続けられてきた堅焼の煎餅である。

堅いけれど、口の中で転がしていると山椒の香りが鼻を突く。
誠に美味しい煎餅であった。



この煎餅は、初狩のSAと談合坂PAで売られていた。
ぼくは必ず、買い求めて帰京したものだった。
更に言えば、姿を消す運命であるとは知らず、真剣にブログで紹介した事も無かった・・・。

けれど、考えてみれば今から約十年前に初狩の「三河屋」という和菓子屋さんが店仕舞いした時に気付くべきであった。
その後は、大月の「栄月製菓」さんの御主人が一人で細々と焼いていたと云うのだ。
知らなかった・・・。
いつまでも市場で売られると思っていたぼくが迂闊であった。

今回、中央高速の上下線のSAやPAで探したのだけれど、どこでも売られていない。
そこで、売店の店長と思しき方にお聞きしたところ、実は栄月製菓の御主人が健康を崩され焼いていないのだという。
体調不良が続けば、この木の芽煎餅は全く消えゆく運命だと云うことになる。
なんということであろうか。

ご主人の、一日も早いご回復を祈るしかないのである。
しかし、それにしてもこういった状況になると余計食べたくなる。

堅い煎餅を割り、口に放り込む。
その至福の時間よ!






栄月製菓主人へ!

「煎餅割り口に投げ込む秋至福」




中央高速から見える富士山は、いつもと変わらないけれど・・・。
美味い物が、この世から消えていくのはかなり寂しい。
味覚が覚えている「木の芽煎餅」の近況である。



      荒 野人