シリーズ「ブログの技術」では身近なテーマをいかにブログ化していくかという点にこだわって解説している。実はこのシリーズを始めてアクセスIP数(訪問者数)が徐々に増えている。ブログを始めたものの、書き方がよく分からないというユーザーも多いのではないかと思う。そこで今回は身近なテーマの決定版である「食」を取り上げる。
テーマ「食に食文化の味付け」
ブログではラーメンの食べ歩きの感想や、どこそこのコンビニ弁当がうまい-などといった記述が多い。食は身近な、というより毎日2回から3回は接している日常である。これをブログ化するというのは簡単そうで実は難しい。難しいというよりネタがすぐ尽きてしまう。ただ、以下の点に心がければブログとしての広がりができる。
<記述例・1>冬の金沢名物の一つが「だいこん鮨」である。取り寄せたものをお気に入りの器に盛り付けた。もちろんブログ用の写真を撮るため。携帯電話のカメラ(1メガピクセル)でも彩りがよければそこそこに映る。だいこん鮨は冬のダイコンに乾燥ニシンをのせ重石で加減しながら塩、麹(こうじ)を入れて漬け込んだ庶民の味だ。シャッキとくる歯触りがいい。日本酒に実に合う…。
上記の表現だったらグルメ調だが、これに以下の食文化の味付けをしてみたい。
<記述例・2>金沢の冬を代表する味覚の横綱が「かぶら鮨」ならば、さしずめ大関は「だいこん鮨」と言ったところか。だいこん鮨が大関なのはともに漬ける魚がニシン、横綱のかぶら鮨は出世魚のブリだから。ニシンは北陸で獲れる魚ではない。江戸時代に日本海を行き来した北前船によって北海道から運ばれた食材だ。 ところでこの時節、近所のあいさつは「上手く漬からんね」とか「もっと寒ならんとだめやね」と言った、だいこん鮨やかぶら鮨の漬かり具合が母親たちの会話となる。それほどに庶民の味なのだ…。
「文化の味付け」はもったいぶったものではない。ちょっとした歴史的な文言や、人々の生活とのかかわりを記述するだけでも、広がりができる。歴史は縦の、生活は横の広がりである。つまり、話をいかに膨らませるか、という技術なのだ。記述例の1と2をつなぐとコラム風になる。
⇒9日(金)朝・金沢の天気 くもり