自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★「能登の再難」水害拡大させた地震、豪雨、そして流木による無慈悲な連鎖

2024年09月25日 | ⇒ドキュメント回廊

  先日(今月22日)、記録的な大雨の現場となった輪島市を巡った。同市門前町浦上地区での被災現場で地元の人たちが語っていた言葉が印象的だった。元日の地震で自宅が半壊し仮設住宅で生活しているシニアの男性は、今回の大雨で大量の流木が押し寄せて集落地区そものものが半壊状態=写真・上=となったことに、「神も仏もない」と涙ぐんでいた。たまたま、話を横で聞いていて自身も胸が痛くなった。災難が2度やってきて、なすすべなく悲嘆にくれる心境を感じた。

  けさの地元メディアの報道によると、能登半島の北部、奥能登を中心とした大雨でこれまで死者は9人、行方や安否が分からない人が6人いる。また、土砂崩れで道路などが寸断されて孤立している集落が46ヵ所・367人に上る。また、停電は2860戸。この停電の影響による水道施設の停止や水道管の破裂などで5216戸で断水となっている。

  21日の大雨は予想外だった。気象台の予測では、能登地方は24時間で150㍉の雨だったが、実際に降った雨は輪島市で午前8時から午前11時の3時間で220㍉、まさに「ゲリラ豪雨」だった。気象庁は21日午前10時50分に輪島市と珠洲市、能登町に大雨の特別警報を出したが、河川が一気に氾濫するなど手遅れの状態だった。22日午後10時までの48時間雨量は輪島市で498㍉、珠洲市で393㍉と平年の9月1ヵ月分の雨量の2倍余りに達した。

  冒頭の話に戻る。22日午後に輪島市を巡って見えたことは、山間地での流木の怖さだった。元日の震災で地盤が緩み、その後の大雨で山の中腹では土砂崩れが起きたのだろう、流木が人里にもなだれ込んでいた=写真・中=。流木の流れ落ちる角度が少し違っていれば、民家を直撃したに違いない。

  これらの流木は河川の下流で橋脚などに当たり、積みあがって今度は「ダム化」=写真・下=して、橋の周囲の街並みに広範囲に水害をもたらした。まさに、地震と豪雨が連鎖し、その媒体としての流木が水害を拡大させた。「神も仏もない」、まさに天地からの無慈悲な連鎖の構図が現地で見えてきた。

⇒25日(水)夜・金沢の天気    はれ

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