神事に捧げるどぶろくを造る神社は全国で30社ほどといわれる。能登半島でも3社が連綿とどぶろくを造っている。天日陰(あめひかげ)比咩神社は12月5日の新嘗祭で、能登部神社は11月の神事「ばっこ祭り」でそれぞれどぶろくをお神酒としてして参拝者に振る舞っている。また、能登比咩神社は、神社の御祭神が能登を訪れた神々を「ひえ粥(がゆ)」とどぶろくでもてなしたという言い伝えがあり、造り続けている。この3社は半島の中ほどにある中能登町にある。町の観光協会ではこの地こそ能登のどぶろくの発祥地として、「どぶろくルーツ展」(来月1日から26日)を初めて開催する。
その前哨戦としてきょう「10月26日」に「どぶろく利き酒交流会」が神社で開催された。「10月26日」は数字の語呂合わせで「どぶろくの日」とされている。どぶろくファンが金沢などから30人余り集まり、利き酒を行った。会場には石川県のほか、富山県と和歌山県の計14種類のどぶろくが用意されていた。中能登町は9年前の2014年に「どぶろく特区」に認定されていて、3つの神社のほかに民宿や飲食店を営む農家がどぶろくを造っている。無農薬のコメを原料として使う生産者の話を聞きながら、どぶろくファンたちは飲み比べを行っていた。
どぶろくファンの中で女性が目立った。金沢から訪れた女性から話を聞いた。どぶろくを飲むきっかけは、この酒が、ふくよかなつやつやした美肌になると聞いてからだとか。どぶろくの旨味成分であるタンパク質「アルファ-EG」が皮膚のコラーゲン量を増やすという作用があるのだという。
どぶろくは蒸した酒米に麹と水を混ぜ、熟成させた酒。ろ過はしないため白く濁り、昔から「濁り酒」とも呼ばれている。どぶろくは簡単に造ることはできるが、明治時代にできた酒税法によって、自家での醸造酒の製造を禁止され、現在でも一般家庭では法律上造れない。
これも会場で生産者の一人から聞いた話だが、構造改革特区制度を活用した「どぶろく特区」が全国の市町村で増えている。生産者は、農家レストランや民宿を経営する農家が酒造免許を得てどぶろくを造ること決まりとなっている。ご当地の観光資源や「ふるさと納税」の返礼品として活用されていて、全国的にどぶろくブームになっているのだとか。
冒頭で紹介した中能登町の観光協会が主催する「どぶろくルーツ展」では来月18日に町の3つの「どぶろく神社」をめぐり、生産者を訪ねる「どぶろくツアー」(定員25人)を企画したところ、全国から希望者が集まり、ほぼ満員の状態とか。「たかがどぶろく、されどどぶろく」。確かにブームが起きているのかもしれない。(※写真は、中能登町の天日陰比咩神社のどぶろく藏で)
⇒26日(木)夜・金沢の天気 くもり
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